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2020年03月01日19:56

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知性を磨く[読書日記767]

題名:知性を磨く 「スーパージェネラリスト」の時代
著者:田坂 広志(たさか・ひろし)
出版:光文社新書
価格:760円+税(2015年2月 6刷発行)
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目次に「なぜ、高学歴の人物が、深い知性を感じさせないのか?」とあったので、手に取りました。

目次を紹介します。

 第一話 なぜ、高学歴の人物が、深い知性を感じさせないのか?
 第二話 「答えの無い問い」に溢れる人生
 第三話 なぜ、「割り切り」たくなるのか?
 第四話 「割り切り」ではない、迅速な意思決定
 第五話 精神のエネルギーは、年齢とともに高まっていく
 第六話 「固定観念」を捨てるだけで開花する能力
 第七話 なぜ、博識が、知性とは関係ないのか?
 第八話 頭の良い若者ほど、プロフェッショナルになれない理由
 第九話 なぜ、優秀な専門家が、問題を解決できないのか?
第一〇話 「スーパージェネラリスト」とは、いかなる人材か?
第一一話 「垂直統合の知性」を持つスーパージェネラリスト
第一二話 スーパージェネラリストに求められる「七つの知性」
第一三話 なぜ、経営者がスーパージェネラリストになれないのか?
第一四話 「予測」できない未来を「予見」するには、どうしたらよいのか?
第一五話 なぜ、「目標」と「ビジョン」が混同れるのか?
第一六話 「志」と「野心」は、何が違うのか?
第一七話 なぜ、「戦略」とは「戦わない」ための思考なのか?
第一八話 なぜ、優れたプロフェッショナルは、「想像力」が豊かなのか?
第一九話 「知性」を磨くための「メタ知性」とは何か?
第二〇話 なぜ、古典を読んでも「人間力」が身につかないのか?
第二一話 あなたは、どの「人格」で仕事をしているか?
第二二話 なぜ、多重人格のマネジメントで、多彩な才能が開花するのか?
第二三話 なぜ、スーパージェネラリストの知性は、現場にあるのか?
第二四話 なぜ、人類は、二〇世紀に問題を解決できなかったのか?
第二五話 「二一世紀の知性」とは、いかなる知性か?

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印象に残った文章をいくつか引用します。

【第一話 なぜ、高学歴の人物が、深い知性を感じさせないのか?】から。
“「知能」とは、「答えの有る問い」に対して、早く正しい答えを見出す能力のこと。(略)
 現在の「学歴社会」において受験競争を勝ち抜いてきた「高学歴」の人間とは、この意味での「知能」が高い人間のことに他ならない。
 これに対して、「知性」とは、この「知能」とは全く逆の言葉。
 二つを並べて述べておこう。
 「知能」とは、「答えの有る問い」に対して、早く正しい答えを見出す能力。
 「知性」とは、「答えの無い問い」に対して、その問いを、問い続ける能力”(14p)

【第三話 なぜ、「割り切り」たくなるのか?】から。
“「知能」が、「答えの無い問い」に直面したとき、何が起こるか?
 端的に言おう。
 「割り切り」
 「知能」は、それを行う。
 すなわち、考えてもなかなか答えの出ない問題を前にしたとき、「知能」は、この「割り切り」という行為に走る”(24p)

【第四話 「割り切り」ではない、迅速な意思決定】から。
“「精神の弱さに流されない迅速な意思決定」とは、何か?
 それが、昔から語られる、もう一つの言葉である。
  「腹決め」
 すなわち、「これで行くしかないか……」と、腹も定まらず、受動的に意思決定するのではなく、「これで行こう!」と、腹を定め、能動的に意思決定することである”(31p)

【第七話 なぜ、博識が、知性とは関係ないのか?】から。
“「知識」とは、「言葉で表せるもの」であり、「書物」から学べるものである。
 「智恵」とは、「言葉で表せないもの」であり、「経験」からしか学べないものである。(略)
 例えば、「直感力」「洞察力」「大局観」などと呼ばれる能力”(54p)

【第八話 頭の良い若者ほど、プロフェッショナルになれない理由】から。
“なぜ、書店に「プロフェッショナル論」の本が溢れているにもかかわらず、実際に「プロフェッショナル」としての力を身につける人材が少ないのか?
 その理由は、書物で「知識」を学んだだけで「智恵」を掴んだと思い込む病”(68p)

【第九話 なぜ、優秀な専門家が、問題を解決できないのか?】から、ノーベル賞級の研究者を様々な分野から多数集めた、サンタフェ研究所:コーワン博士の言葉。
“「この研究所には、専門家(スペシャリスト)は、もう十分にいる。
  我々が本当に必要としているのは、それらの様々な分野の研究を『統合』する『スーパージェネラリスト』だ」”(78p)

【第一七話 なぜ、「戦略」とは「戦わない」ための思考なのか?】から。
“「戦略」とは「戦い」を「略(はぶ)く」こと。
 すなわち、「戦略」とは、「いかに戦うか」の思考ではなく、「いかに戦わないか」の思考に他ならない”(137p)

【第一九話 「知性」を磨くための「メタ知性」とは何か?】から。
“なぜ、彼の「経験」が、「体験」になっていないのか?
 「反省の技法」を身につけていないからである”(159p)

【第二四話 なぜ、人類は、二〇世紀に問題を解決できなかったのか?】から。
“二〇世紀の「知の在り方」は「三つの分離の病」を抱えていた。
 第一は「知と知の分離」。言い換えれば「専門主義」の病。(略)
 第二は「知と行の分離」。言い換えれば「分業主義」の病。(略)
 第三は「知と情の分離」。言い換えれば「客観主義」の病”(214p〜215p)

【第二五話 「二一世紀の知性」とは、いかなる知性か?】から。
“哲学者たちは、これまで世界を「解釈」してきたにすぎない。
 大切なことは、それを「変革」することである。[カール・マルクス]”(220p)

自信に満ちた語り口に、やや閉口しましたが、書いてある内容には賛同しました。

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田坂 広志(たさか・ひろし)
1951年生まれ。'74年東京大学卒業。'81年同大学院修了。工学博士(原子力工学)。
'87年米国シンクタンク・バテル記念研究所客員研究員。
'90年日本総合研究所の設立に参画。取締役を務め、現在同研究所フェロー。
'00年多摩大学大学院教授に就任。同年シンクタンク・ソフィアバンクを設立。代表就任。
'08年世界経済フォーラム(ダボス会議)のGACメンバーに就任。
'10年世界賢人会議・ブタペスト・クラブの日本代表に就任。
'11年東日本大震災と福島原発事故の発生に伴い内閣官房参与に就任。
'13年「スーパージェネラリストの7つの知性」を学ぶ場「田坂塾」を開塾。著書は国内外で80冊余。

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