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2020年02月19日15:52

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水道管の耐用年数は40年? 数字に踊らされず危機に備える必要あり

 下記は、2020.2.19 付の 産経ニュース の記事です。

                       記

 和歌山市で1月、漏水した水道管の修繕工事に伴い市全体の5分の1に当たる約3万5000世帯(約8万人)に及ぶ大規模な断水が計画され、市民が大混乱に陥る騒ぎがあった。結局断水は回避されたが、この際、クローズアップされたのが「敷設から40年」という水道管の法定耐用年数だ。全国の水道管の15%超が耐用年数を超えているとのデータもあるが、実際には水道管の材質や敷設場所などにより更新時期には差があり、必ずしも「40年」に縛られることはない。関係者は「優先順位をつけて対策することが重要」と指摘する。(大森貴弘)

 「水道管修繕待ったなし/耐用年数超え全国で15%超」(1月21日付産経新聞大阪夕刊)

 「老朽化進む水道管/事業収益悪化/更新困難」(同日付毎日新聞朝刊)

 和歌山市で断水騒ぎがあった1月下旬、新聞各紙は老朽化する水道管の問題をこぞって取り上げた。

 背景には、高度成長期に敷設された水道管が一気に老朽化している半面、自治体の予算不足などで更新が遅々として進まないことへの危機感がある。和歌山市だけの問題でなく、全国どの自治体でも発生し得ると問題提起する内容だった。

 その際に水道管の老朽化を示す指標として用いられたのが「法定耐用年数」だった。総務省が減価償却の計算のため構築物に適用しているもので、水道管の場合は40年。これをもとにすると、平成29年度には全国の水道管の16・3%が耐用年数を上回っている。

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 だが、実際に水道管を管理する自治体からは、異論もある。

 「40年という数字は、ほぼ意識していない。40年以内の更新など無理な話で、それこそ現実的でない」。東京都水道局の担当者はこう語り、年数よりも水道管の材質を重視して更新作業に当たっていると明らかにした。

 水道管の種類の一つに、内側をモルタルでコーティングし耐久性を高めた「ダクタイル鋳鉄管(ちゅうてつかん)」がある。主に昭和30年代以降、全国で使われるようになった。

 東京都の場合、昭和20年代まで主流だった鋳鉄管をダクタイル鋳鉄管に取り換える作業に注力しており、現在の更新率は99・8%に達している。担当者は「例え昭和40年代に敷設されたものだとしても、高級鋳鉄管であれば更新してきた。材質で優先順位をつけている」と話した。

 この言葉を裏付けるようなトラブルも、実際に起きている。

 平成30年7月、東京都北区で水道管の漏水事故が発生し、付近の民家約30戸が浸水する被害が出た。耐久性に劣る高級鋳鉄管の破損が原因だったという。

 さらに、水道管が敷設された場所も加味される。

 東京では、首都直下地震が今後30年以内に70%の確率で起こるとされている。耐震性を備えた水道管の敷設も急務だが「災害時に司令塔となる官庁や病院に直結する箇所など、優先エリアを決めて対応している」という。

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 全国の水道管を管轄する厚生労働省も「法定耐用年数は40年」という数字の独り歩きを懸念する。

 同省の担当者は「一定の基準は必要なので(法定耐用年数を)目安として示しているが、40年で一律に使い物にならなくなるわけではない。具体的な更新計画は自治体ごとに決めてほしい」と語る。

 実は厚労省では「あくまで目安」(担当者)としながらも、実際の使用に耐えうるか否かを基準にした水道管の材質ごとの耐用年数も示している。先に挙げたダクタイル鋳鉄管は、最大80年間使用可能。耐久性に劣るとされる鋳鉄管も、40〜50年は使えるという。

 一方で、自治体などが担う水道事業の先行きは、決して楽観できる状況にないのも事実だ。人口減少などの影響で、水道事業者の統廃合や運営権の民間委託はすでに各地で起きている。水道料金の値上げなども現実味を帯びる。

 ある日突然、蛇口から水が出なくなる−。そんな事態を招かないためにも、数字に踊らされずに住民自身が自らの住む地域の水道事業に関心を持ち、設備更新が計画的に進んでいるか冷静にチェックする姿勢が必要といえそうだ。

 https://www.sankei.com/premium/news/200219/prm2002190003-n1.html
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