2013年10月17日(木)
野口悠紀雄『虚構のアベノミクス –株価は上がったが、給料は上がらない』(ダイヤモンド社)を、読了。
『超整理法』以来の野口先生。
経済学者としてのこの先生の著書を読むのは初めて。
内容は表題どおり。
経済学のタームや数式で分らないところもあったが、そう難解でもない。
「日銀が長期国債の買い入れに踏み切った」とはつまりどういうことか。
やっと分って、得心がいった。
「ムードで実体経済を動かすことはできない」という主張にも納得。
「資本と労働の利害対立という古典的図式が、新たな装いで復活している」。
その通り、その通り。
しかしそれではどうやって、実体経済をたてなおすか。
そこになると説得力がない。
重厚長大産業を捨てて、ソフト経済化せよ。
ものづくりでは新興国に勝てるはずはない。
古いタイプの製造業は「減反」せよ。
雇用は減少するだろうが。
新しい需要が育つ。
そのための教育立国だ。
大学と大学院はすべて英語で講義をするくらいが当たり前だ。
…。
おいおい。
新味がない。
ワタクシなどがいちばん反感を感じるタイプの議論だ。
それに第一、こういう「日本のシンガポール化」みたいな構想は、アベノミクスの成長戦略そのものなんじゃないのか。
英語ペラペラ、IT大好きの「日本版スティーブ・ジョブズ」を作れっていう。
そんなのは聞き飽きたぜ。
(2013年10月17日午後10時55分記)
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