トンプソン真理子のまりとん塾
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パン屋さんについて誤解している方がまだ一定数いるようなので、再掲します―。
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パン屋さんには2種類あります。 いわゆる「街のパン屋さん」と、大手企業がが経営するチェーン店としてのパン屋さんです。
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街のパン屋さんは、皆さんが想像される通り、パン生地を作るところのイチから仕事を始めます[=スクラッチ方式](モノを一から作ることを、英語でmake it from scratch という)が、チェーン店のパン屋さんは、本部の工場から送られてきた冷凍生地をそこで簡易的成形〜二次発酵〜焼成のみを受け持つ[ベイクオフ方式]をとります。
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でも、消費者には、焼きたてのいい匂いがお店いっぱいに漂っているので、そこで最初から作っているのか冷凍生地を焼いただけなのかは、一見わかりません。
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しかし、冷凍生地は、輸送・日持ちもするように作られているため、はっきり言ってヤマザキやシキシマなどのスーパーのパンと何ら変わりない、油脂・デキストリンなどの、パンには本来必要のない添加物がいろいろと入っています。(試しに原材料のところを見てごらんなさい)
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それを「手作りのおいしい焼きたてパン♪」として売るのは、はっきり言って詐欺商法だと思います。 しかも、現在では利便性、生産性、立地性、効率性などの面からこのベイクオフ方式が主流になりつつあると言います。
具体的には、ヴィ・ド・フランス(山崎パン)、アンデルセン、リトルマーメイド(両店ともタカキベーカリー)、ドンク、神戸屋ベーカリー、サンジェルマン(日本たばこ産業!)、イオンベーカリー(イオンの中に入っているパン屋さんです、例え個性的で素敵な名前が付いていても)などがその代表格です。 また、Pasco (敷島)など、業務用冷凍パン生地を街の小さなパン屋さん(作るのを省きたい、作り手の高齢化など?)に卸しているような会社もあります。
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ちなみに、行列ができる、焼きたてクロワッサンが人気の店でも、段ボールから取り出す冷凍生地を確認することができます。焼きたてパンを販売している駅前のコンビニエンスストアでは、成形さえその場でせず、パンの形になったものが冷凍で運ばれてきて、スチームオーブンなどで焼くだけという例もあります。
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パン屋というお仕事は、本当は大変な仕事なのです。小麦粉から作っているパン屋さんであれば、最低開店の4時間前から準備する必要があります。 焼きたてパンを売る店の人に、「朝は何時から準備しているのですか」と尋ねてみたらいいでしょう。 従業員が開店の1時間前くらいに店へ入っているようなお店は、間違いなく工場から届いた冷凍生地をパンの形に丸めてオーブンで焼いているだけ、のはずです。
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最近は、町で細々とやっている個人のパン屋さんも、後継者不足だったり採算が取れないで店を閉めて、こういったチェーン店にどんどん取って代わられてきているようです。何とも寂しいことです。そりゃ、こっちは朝の3時起きで作っているのに、工場パン屋と手間も値段も同列に考えられていたら、アホらしくてやめますよ・・
ともあれ、消費者はそういったことを分かった上で、パン屋さんを選んで利用してくださいね。
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