これは銀行のATMに限った話ではない。レジの決済、信号機、防犯カメラ、空調設備――。私たちの身の回りのあらゆるものがネットワークでつながり、管理されている時代だ。
それらのシステムが次々と老朽化、修復できる人もいないとなれば、突然サービスやインフラが停止したり、暴走して街中がパニックになる可能性もある。
あと5年で変われるか
こうした「システム崩壊」の近未来が予測されるなか、「2025年の崖」越えを果たすために、先手を打った大企業がある。メガバンクの一角、みずほ銀行だ。今年7月、統合当初からの課題だったシステム刷新を果たしたのだ。
広告
inRead invented by Teads
これまでみずほ銀行のシステムは、むしろ他のメガバンク2行に比べて「周回遅れ」と揶揄されることも多かった。
「特に、旧第一勧銀から引き継いだシステムは'88年から稼働しているもので、その老朽化は明白でした。結果、'02年と'11年の2度、みずほは大規模なシステム障害を発生させたのです。
これを受け、'11年6月からシステム統合計画を本格化させましたが、一向に完成せず、『IT業界のサグラダ・ファミリア』と言われたほど。
4000億円以上を投じながら一時は頓挫するとの噂も流れましたが、フタを開けてみれば、前例のない規模のシステム刷新だった」(前出のシステムエンジニア)
計画開始から8年、最後の1年では実に9回もATMを停止させたみずほ。3連休中の一時停止ということもあって、口座を持つ人からすれば不便極まりなかっただろう。
Photo by GettyImages
だが、「みずほは何をやっているのか」と顧客からの批判を浴びても、システム刷新を成し遂げる必要があったのだ。
「今回、紆余曲折ありながらも、みずほはメガ3行で最先端に立ったということができます。
システム障害のリスクや維持費の軽減を先んじて行ったわけですが、もうひとつ示したことがあります。それは、システムを一新するには、膨大な時間と費用が必要だということ。他の大企業が、あと5年のあいだにこれだけの大ナタを振るうことができるでしょうか」(金融コンサルタントの高橋克英氏)
システムの老朽化と深刻な人材不足。「2025年の崖」からいくつもの企業が転げ落ちれば、日本が沈没しかねない。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/68749?page=6
ログインしてコメントを確認・投稿する