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2019年11月22日08:51

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初冬の東京で3つの展覧会を見物する 



蝶人物見遊山記第324回

1)都美術館にて「コートールド美術館展」

快晴の水曜日に上野に行ったらシルバー無料日で大助かり。そのうえ「魅惑の印象派」てふ惹句なんざあふふんとせせら笑っていたのに、思いのほかの充実ぶりに驚く。これはキャッチフレーズ通りの素敵な展覧会でした。

まず入り口に並んだゴッホの「花咲く桃の木々」の精妙な色彩美にうっとり。続くモネの2作、セザンヌの9連発!!に完全にノックアウトされちまいやした。セザンヌの「カード遊びをする人々」は、家にある画集でみて、陰気でつまらないな絵だと思っていたのですが、その実物がなんと生気と深々とした色彩に満ちた魅力的な名品だったことか!向き合った2人の男の性格まで描き出しているようでした。

思いがけない邂逅に胸がときめいたのはわが偏愛の日曜画家ルソーの「税関」。自分の職場であるはずが、この世のどこにもない時空を超えた不可思議な現象として成立してしまっている魔術的玄妙さにいたく感嘆しました。

その他ルノワールの傑作「靴紐を結ぶ女」、「座敷席」、ドガの「舞台上の二人の踊り子」、ロートレック、スーラ、モディリアーニ、ゴーガンなどの名品がずらずら並ぶ。これらの作品を選んだコートールド選手はよほどの目利きだったのでしょうね。

彫刻はロダンの傑作が出品されていましたが、ドガとルノワールの小品が珍しいだけではなく彼らならではの個性と魅力を伝えていて持って帰りたいほどでした。(12月15日まで)

2)上野の森美術館の「ゴッホ展」

いつものように1000円払うはずの都美術館がタダになり、そのうえ中身が抜群のコレクションだったのに気を良くして、上野の森美術館のゴッホ展も見物したのですが、こちららはなんと入場料が1800円もする。おまけに会場はいつものことながら古くて狭くて暗い。

肝心のゴッホは40点弱しかなく、有名な「糸杉」は来ていたが別にどうという感銘も無く、私的には1988年の「男の肖像」を除けばまあどうということもないいわば寄せ集めでした。

「ハーグ派」の画家たちの影響を受けたゴッホが、農民画家に憧れるが、やがてパリ、次いでアルルに赴いて真の自己に目覚め、人知れず天才を発揮するまでの経緯を証しだてようとする狙いは分かるのですが、その割に材料が乏しくて説得力も無い。その大半がハーグ&クレラー=ミューラー両美術館からの出品ですが、これほど失望落胆したゴッホ展もありまへんでした。産経新聞、金返せ!(来年の1月13日までどすえ)

3)「SEI HASHIMOTO新作絵画展」

それから、上野を後にして訪ねた新宿伊勢丹6階のアートギャラリーで私の昔の上司、SEI  HASHIMOTO氏の新作絵画展を観賞しました。

「パリ、多くの細道」という副題がついているとおり、パリのあちこちの懐かしい風景を描いた味わい深いパステル画と版画を愛するファンは多いようで、初日だというのに何点かには早くも売約済みの印がつけられていました。

久しぶりに拝見したのですが、以前と比べて大家らしい堂々たる風格も漂うようになっったようです。

なお同展は来る11月26日まで好評開催中。

    民草を守るはずの警察が香港にては学生を殺す 蝶人

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