ネタバレ『楽園』

本日見て参りました。とても格調があって見応えがありましたね。見る前はイーストウッドの『ミスティック・リバー』をなんとなく連想してたんですけど、見てみますと、パズルのようにピース（場面）をバラバラにして物語の謎を深めているところにエドワード・ヤンの『恐怖分子』を、善良な人物が殺人を犯すに至るまでの魂の彷徨を
じっくりと描いているところに『クーリンチェ少年殺人事件』を、少し連想してしまいました。なかなか凄かったです。■途中で、もしかして『64‐ロクヨン‐』の少女誘拐殺人事件のように、この作品の少女失踪事件もいわゆるマクガフィン、物語を起動さすための中身のないただの口実なのかと疑うところもあったんですけど、結果としてはそうではなかったので、よかったと思いました。・・・ただやはり気になるのは、事件当時に杉咲花（じゃなくて子役の女の子ですけど）は同級生が綾野剛と去って行くところを見ていたのなら、その12年後であろうと綾野剛と親しく接触するのは不自然だと思いますし、綾野剛の方も、優しい言葉をかけてくれた小学校低学年の女児をまさか殺しただなんて理解できません。ただ、そういうことをしたというのなら、その場面は見せてもらいたいですし、暗示で留めるのは非常に不誠実で下劣だと思います。■それと、中盤というかラストにも出てくる場面の中で、村上虹郎が「楽園」の語を発するんですけど、なんか文脈的に不自然でとってつけた感じがしました。綾野剛が発する「楽園」の方は正にタイトルにぴったりの意味（反語ですけど）がありましたね。