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2019年10月04日06:57

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自画像

自画像(ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ)
糸川草十郎

「ゴッホは自画像のひと」
そんなイメージを ぼくはもっている
生活に苦しく モデルに恵まれなかったせいだろうか
ゴッホは自画像を多く残している
自画像には彼の人間像が色濃く投影されている
逆三角形のような痩せた面立ちには
自分に厳しかったであろう 彼の性格が偲ばれる
恥を忍んで 弟テオに仕送りを頼まねば やってゆけない生活事情
誰ひとり才能を認めるものがいない世界で
ああも気高く生きられたのは 何故だろう?
テオだけが励ましの言葉をくれた
自分を信ずること それが出来さえすれば
どんな酷評にさらされても生きられた
彼の画を評する時 よく「背景を観よ」と言われる
彼の自画像の背景に描かれている渦巻きやさまざまな色彩
その時の想いがそのまま表れているのは明らかだが
そこに彼の霊的なほどの情熱が感じられると 多くの人はいう
生前誰も評価しなかった彼を
手のひらを返したように絶賛する批評家ども
彼らの面の皮をキャンバスに塗りつけてやりたいような
怒りをも感ずるもてはやしぶりだが
ゴッホのその霊的な画はそこから一線を画した
天上世界にある
画は地上にあるが地上にはない
魂はもう天の上なのだ
ゴッホはそうなっていったゆえに報われたのだ
誰の束縛もうけない世界である
そこには弟テオドルもいる
それで十分なのだ 何もいらない

20191004
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