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2019年10月02日22:59

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13.(1月5日追記)能力障害を克服したら障害者と認められない?眼瞼痙攣年金裁判

9月30日に東京高等裁判所で控訴審第一回のやりとりがありました。
といっても毎度同様に事前に準備書面を出し合っているので儀式的な開廷ですが。
さて、今回も長いのでやりとりの内容を要約します。

こちら原告から出した控訴理由
・本来機能障害そのもので判定せねばならないところを能力障害の克服まで入れて「日常生活に著しい制限でない」としたのは「考慮すべきでないことを考慮している」として、第一審判決は不当である。
例えば画面読み上げ機能や白杖や日傘、遮光グラスといった道具や聴覚や触覚を駆使したり、誰かに助けを求めるといったことで成し遂げたことをもって健常者と同等と見なすのは不当であるといったように。

・第一審で国が心療内科カルテに書かれた生活状況や原告本人の陳述から、「こんなこともできている、こんなふうに目を使えていた」として、あたかも「健常者並にできていた」と評価するのは不当。

例えば網走経由で札幌の実家に帰ったから自由に移動できるとしたのは不当。
実際は網走まで友人の介助、飛行機や電車も交通機関の係員の介助で移動できたにすぎないといったように。

ひどいものでは、視覚障害者向けパソコンボランティアをやっていたとか、ブラインドヨガやサウンドテーブルテニスといった盲人向けレクリエーションをやっていたとすることから「自由に外出できた」と評価していたことが挙げられます。

そこ、「原告は視覚障害者に画面読み上げ機能を教えられるくらい原告も習得していたのであり、言い換えれば習得せざるを得ないくらい重症だった」「ブラインドレクリエーションも、健常者向けのものができないからブラインド向けのものに参加した」と評価すべきでしょう」と。

また、「できた」とするだけで、回数、時間、スピードといったことは一切考慮にいれずに抽象的に評価しているに過ぎないと。


さて、ここから用語解説です。
キーワードは機能障害と能力障害。
この二つの用語を出して意見書を書いてくださったのが山梨県視覚障害を考える会の加茂純子先生。
イギリスの視覚障害支援と国際基準FVSに精通しておられ、FVSは次回の視覚見直しで採用が検討されているものです。
さて、本題の用語解説ですが、機能障害というのは障害そのもののことです。今回は「視覚を用いての」活動能力の制限のことです。
例えば視力でいうなら視力が低ければ低いほど機能障害が重いということになります。視野でも同様です。

一方能力障害というのは日常において何がどれくらいできないかといったものです。英語ではdisabilityといい、こっちの方がピンときやすいかもしれません。

例えば目が悪くても画面読み上げ機能や白杖、触覚や社交能力を駆使して結果的に文字の読み書きやネット活用、家事や外出などができれば能力障害は克服したということになります。
ただ、大抵は本人に機能障害がない状態と比べれば「どうにかできるようになった」とはいえ、スピード、正確さ、安全性は圧倒的に劣っているというのが現実です。

このように見ると視覚障害者の世界では機能障害が重くとも、その制限の割にはハイレベルな能力を身につけている人もおり、結果的に軽症の機能障害者よりも能力障害disabilityが低いといったことも起きます。
そういった、特殊な道具やスキルを駆使した結果、外出、パソコンでは私よりすごい全盲者もいるくらいです。
ではその人達の視機能障害が私より軽いと言えるのか?
そんなことはありませんよね。

つまり、能力障害は機能障害に必ずしも比例するものではなく、本人の習得具合や環境によって変動するものです。
私でいうのなら、まだ軽症だった時よりも重症化して画面読み上げ機能を習得してからの方が文字情報処理の分量が増しています。
よって、もしも能力障害で障害年金等級が決められるのなら軽症時代の方が等級が重くなるといったことが起きてきます。
そういったことから能力障害ではなく機能障害で認定するのが正当であろうと。


そして、国側の反論は以下の通り。
・特段の理由がない限り、国の定めた基準に従って障害認定するのが正当である。我々の決めた基準は医学的に合理的に決められた基準であるのだから。
・我々は原告の主張するような「考慮すべきでないことを考慮して」とか、間違った評価で認定したのではなく、しっかりと原告の生活状況を見て正当に判定した。
・他、細かい上げ足取り。主に「視覚リハビリによる能力障害克服よりも目を適宜使って生活できていた」
ちなみに視覚リハビリというのはまさに特殊な道具を使い、触覚や聴覚などを駆使して生活能力を引き上げることです。

ざっとこんな感じです。

相変わらず国の主張方法は「我々の決めた基準が正しい」「できてることが多いのだから日常生活に著しい制限とはいえない」「原告自身だって目を適宜用いてると言っているではないか」といったものです。

もちろんこちらから視力視野の障害者だって全盲でなければ目を使いますよと主張しましたが。

さて、当日担当弁護士さんはかなりイライラして対応していたと、終わった後におっしゃっていました。普段はおっとりした喋り方する方なのですが。
国はさして深い審理などせずにさっさと結審してほしい。多分裁判官もそうしたいといった中でこっちはまだまだ国からしっかりとした反論は出てないぞ、もっと続けましょうやといった駆け引きであったのです。

そして、今回のような機能障害と能力障害についての議論、裁判では初めてではないかと弁護士さん。
もしも本人の努力によって克服した結果の能力で障害年金や手帳の認定をされることがスタンダードになってしまったら???

とんでもないことです!障害者、難病のみなさん!由々しき事態ですぞ!!!!
みんな、裁判官にテレパシー送って下さい!!!!
ネットに加え、リアル署名集めも始めました。
詳しくはこちら
https://g-frontier.xyz

また、次回期日は12月18日東京高裁808号法廷14時スタートです!
それまでに署名出します。

1月5日追記
控訴審の判決日が決まりました。2020年2月19日午後1時50分東京高裁808号法廷です。
1月いっぱいまで署名を集めて提出します!引き続きご協力よろしくお願いします。

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第一審判決模様
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1972060451&owner_id=17622495

Top裁判報告1
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1951837357&owner_id=17622495


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