（２０１９年９月３０日）
父が自転車の荷台で運べる下駄の数は限りがあります。この商売で生計を立てることは難しい時代になりつつありました。区切りをつけた兄は 車時代の到来を感じ運転免許を習得するべく自動車学校へ通いました。父は下駄の製造はやめて下駄の加工（経木や竹皮を貼ることや桐下駄は本家から融通してもらいながら細々ながら続けました。加工する際は時間との闘い（膠（にかわ）を溶かすのは手間暇かかりとっても厄介）で時間がかかります。溶けたら溶けている間に作業しないと固まってしまうのですから手早く二人三脚の相棒が必要でした。日曜日は姉と私の役目になります。嫌で嫌でたまりませんでした。姉と一緒ならまだ愚痴りながらも手伝いますが姉はバレー部で活躍していましたから姉がいないとバレー部は困るわけで学校からお迎えが来るのです。結局一人で手伝うこともしばしば、音痴の大きな声で校歌を何度もうたいまくりました。それなのに今、歌詞が思い出せません。経木貼りが終わると父は乾いたか確かめ下駄に沿って形をあわせ やすりで経木を切り落とします。そしてうわ薬を塗ります。乾いたら私たちのまたもや出番です。紙やすりで表面を磨きます、下駄は左右で１足ですから１００人分なら２００の数を磨くのです。仕上げまで同じ作業を２度繰り返します。竹皮貼りはボンドを使います。５列に５足？程 重ねて万力にはめ込みしっかり貼り付けるのに時間がかかりますから その間は手伝うことはなく嬉しかった。 姉は手伝いを嫌がらず、文句を言うこともなく 偉いな〜。私とは大違いでした。
本題からはそれましたが、 父の自転車の荷台に積みきれない注文の下駄を私が運ぶようにほぼ、命令でした。自転車の荷台にすでに積荷されている下駄を運ばなければなりません。嫌だと歯向かうことはできないことは顔見てわかりました。大勢の人が待つバスの停留所は 日曜日なので 誰もいないことだけは救われます。南京米の袋で包まれた（傷がつかないように）二段重ねの下駄は目立ってすごく恥ずかしかったのです。配達先でお茶をご馳走になり、、花緒の問屋さんではスルメイカを素敵な形になる焼き方を教えてもらったり、塗りもの屋さんを回ったり、場所がわかれば学校帰りに私でも用が足せるように仕込まれたのかもしれませんがソフトクリームで笑顔。
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