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2019年09月25日22:47

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M.Caillaudレトロプロブレム傑作選(04)

(3) Michel Caillaud (Die Schwalbe 66, 12/1980)
dedicated to L.Ceriani
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Release the position (11+10)

 なくなった駒は白がRRBSSの5枚で、黒はQRBSSPの6枚。また、白は黒のRa8,Bf8を取っていることが明らか。Pg3も駒取りをしているので、ここまでで白は、少なくとも3枚駒取りをしていることが分かる。一方、黒はPb2で白駒を1枚取っている。

 では、本作最大の謎に迫っていこう。その謎とは、言う迄もなく「黒Kはどうやって白陣に侵入したか」である。どう考えても、一旦黒Kc1とする必要があるので、b1に遮蔽駒を挟み込む必要があるのだが、さてそれはどの駒だろうか?
 一見、白Bb1/黒Kc1の形からBc2+ Kxc2とすれば簡単にできそうだが、実はこれはダメ(白は成駒を作れないので、2枚目の白枡Bはillegal)。白駒だとすると残りはSしかないが(Rは遮蔽駒の役割を果たせない)、これだとKc2としたあと動けないし、後から黒駒で取ることも不可能だ。従って、b1の遮蔽駒は白駒ではなく黒駒だったということになる。
 この場合、後で白がその駒を取る必要があるので、b1から動けなくなるBやSでは不適当で、黒Pが成っていないこと(これは実際に作意順を見れば明らか)を考慮すると、それはQしかない。
 しかし、よく考えてみると、Qb1,Kc1の状態からKc2とするとその瞬間、白Kにチェックがかかってしまうではないか!この受け方がSd3-c1しかないことに気付いたとき、漸く左下の局面のほぐし方が見えてくる。

フォト

 つまり、上図からSd3+ Kc2+ Sc1 --- Sd3 Qxc1+ Sxc1... という手順を辿ったのだ。ちなみに、この局面からはPc2xSb3 Pb3-b2として以下黒Ra2と白Qa1を外へ出してからPa2-a3と戻すことで、黒Kを解放することができる。(すぐ目につくPc2-c3 Pc3xRb2??では、膠着状態がほぐれないのに注意)

 ここが分かれば、後は簡単。出題図からの逆算手順は、例えば以下のようなものになる。
Retract: 1.Ph2xPg3 Pf4xBg3 2.Bh4-g3 Ph7-h6 3.Bg3-h4 Pf5-f4 4.Bb8-g3 Pa7-a6 5.Bg3xRb8 Ra8xSb8 6.Sa6-b8 Rb8-a8 7.Sc5-a6 Ra8-b8 8.Sd3-c5 Rb8-a8 9.Sc1-d3 Ra8-b8 10.Sd3xQc1 Qb1xSc1 11.Sc5-d3 Rb8-a8 12.Sd3-c1 Kc1-c2+ 13.Sf4-d3+ ...

 このような駒取りの連鎖(sequence of capture)は、Cerianiが追求したテーマの一つ。(2)もそうだったが、Caillaudの初期作品にはL.Cerianiの強い影響が読み取れる。本作も、明らかに以下の作品を意識したものだ。

(3-a)Luigi Ceriani (Die Schwalbe 10/1969, 2nd Prize)
フォト
Release the position (13+12)

Retract:1.Pg4-g5 Pf6-f5 2.Pg3-g4 Pf7-f6 3.Ph2xPg3 Ph4xBg3 4.Bb8-g3
Ph5-h4 5.Bf4xRb8 Ra8xSb8 6.Sc6-b8 Rb8-a8 7.Se5-c6 Ra8-b8 8.Sd3-e5
Rb8-a8 9.Sc1-d3 Ra8-b8 10.Sd3xQc1 Qb1-c1...

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(4)Michel Caillaud (Die Schwalbe 67, 02/1981, 4th HM)
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#2 (13+12) b)Sb4→c6

白はキャスリング可能でしょうか? a),b)それぞれについて考えてみて下さい。
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