かつて吉本新喜劇に在籍していた芸人が、
吉本喜劇の一回の出演料が450円だったことを明かしていた。
厳しい芸の世界を思わせる数字といえばそれまでだが、
所属芸人という立場で、ステージで笑いをとって認められ、
出演回数が増えていくと、やがてテレビ局からお呼びがかかる。
まさに他者を押しのけ、蹴落としながらの
のし上がり人生そのものだ。
そんなチャンスに恵まれるのが、ほんの一握りであることは、
競争社会、人気商売のつねであろう。
収入が安定することもなく、典型的な浮き草稼業で、
それもまた吉本喜劇の伝統的な
芸人育成育の手法であるといえなくもない。
こうした低賃金と待遇が闇営業の引き金になったのではないか。
契約書は存在せず、口約束が昔ながらのやり方だという。
正式な契約を結んでいないのに、
闇営業が掟破りであると一方的に断罪することにも、
一般常識に照らすと疑問があるのではないか。
私には何よりも、芸人に対する人権の軽視を感じる。
お笑い芸人の限らず、総じて芸人とは
つねに体制に逆らう反社会性が魅力であり、
管理されることになじまない。
反社会勢力とのつながりは、問題あるかもしれないが、
芸をみせてなんぼの世界の芸人は、基本個人商店である。
今回の吉本の対応は、組織防衛ばかりが優先され、
筋の通らないところが多すぎる。
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