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2019年04月07日23:03

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戦艦大和が遺したもの

技術史的な観点からドキュメンタリーを書いておられる前間孝則氏の著書「戦艦大和誕生」。
そこには「戦艦大和」だけでなく、日本の船舶建造史を元技術者の観点から見た、数々の教訓が書かれている。
戦略的には巨大戦艦は時代遅れだったし、戦術的にも使いどころが難しく「戦争のための船舶」としては成功だったとは言い難い。

が、戦艦大和を建造するために作られた呉の大ドックをはじめとする施設、そこで開発され、使われた技術、そこで働いた人々や、戦艦の乗組員、彼らを支えたご家族の訓練、努力、ご尽力はのちの日本にものすごく大きな恩恵をもたらしてくれた。

軍人・軍属として戦争で勇敢に戦ったひとびとがいるからこそ、アメリカをはじめとする連合国は戦後も日本人に一目置いてくれた。ただ単なる元敵国ではなく、三流国としてでもなく、勝者と敗者という区別はあっても、それなりに対等に扱ってくれたし、技術移転なども行ってくれた。

呉のドックなどの施設は戦後NBC呉(アメリカの造船企業)と播磨造船所が引き継ぎ、戦後も造船を続けた。
それだけでなく、ブロック化工法、溶接、実物大モックアップ製作、部品の統一化・共通化をはじめとする近代的な工法が開発されたし、工程管理手法として西島亮二氏が考え出した「西島カーブ」は現代でも(適切な指標があり、管理がいきとどくという条件が揃えば)大変有効な工程管理法だ。ぶっちゃけいうとガントチャートよりも有効だったりする。
そういった技術遺産を遺した「戦艦大和建造」は決して無駄ではなかった。

その裏側で「モーレツ社員」やら「過労死」につながる社会的な問題も残したことは反省したほうがいいのだが・・・

戦艦大和だけではなく、太平洋戦争が現代のわれわれに残してくれたものは多い。
「本物の教訓」はまだまだ学ぶことができる。

■沈没から74年、戦艦「大和」追悼式=「心から消えることない」と元乗員−広島
(時事通信社 - 04月07日 15:30)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=4&from=diary&id=5571267
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