今日も漢詩講座を聞きました。その中から一つ。時期外れですが、色のコントラストが鮮やかなものを。南宋・趙師秀の「客と約するも来たらず」です。尚、色のコントラストを表すため、漢文書きでは以下の通りにしました。
約客不来
黄梅時節家家雨
青草地塘処処蛙
有約不来過夜半
閑敲棊子楽灯花
黄梅の時節、家家の雨/青草(せいそう)の地塘、処処の蛙/約有るも来たらず、夜半を過ぐ/閑に棊子(きし)を叩けば、灯花落つ。
約客=客が来るのを約束する。地塘=池の堤。処処蛙=至る所の蛙。閑敲棊子=碁を打つ。
灯花=灯火の燃えカス。
今の暦の6月ですね。梅の実が黄色くなるころ、家々は雨にたたられ、とじこめられる。青草が茂る池の堤では、蛙たちがにぎやかに鳴く。友が来ると約束したが、夜半を過ぎてもやって来ない。暇つぶしの碁を打つと、灯の燃えカスが落ちた。
前半は描写が美しいですね。黄色い梅の実と、家々に降り注ぐ雨。勢いよく茂る草と、元気よく鳴く蛙たちが本当に見えるようです。後半は待ちぼうけ。当時は車もなかったから、そういう事も多かったと思います。
字からも色が判る。楽しんで下さい。調べましたが、以上に合う中国の写真はなかったです。写真がなくても、判るものですね。
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