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2019年03月15日16:59

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「天真療法」案内21

今回は前回の『菜根譚』の引用に引き続き、「重態の時」の具体例を挙げています。
患者が重態に陥って、心臓が弱くなり、脈拍が衰えて来ると、
患者も、看護人も、医者も、狼狽して、(天真療法 P.11)
と、心臓が弱くなっている状態を想定しています。そして、慌てて次のような薬を投与する場合を考えます。
それヂガーレン、それカンフルと、強心剤の注射をしたり、飲ませたりする。(天真療法 P.11)
ここに出て来る薬品について、当時春充が「強健術」や「天真療法」の参考にしていた、『集成薬物学 全五巻』伊勢錠五郎 翻訳者謙発行者 明治28年発行及び『薬物学 増訂第十六版』森島庫太著 南江堂書店 昭和4年発行(初版は明治45年発行)からそれぞれの薬効についてみて行きたいと思います。(カタカナ及び一部漢字をひらがなに改めています)
・ヂガレーン(Digalen)
これは『薬物学』によればジギタリスという植物の葉から抽出したジギトキシン(Digitoxin)という成分でからできた薬で(P.435)、『集成薬物学』によれば、「医療上の応用において心臓衰弱に対する無上の良薬」(巻五 P.284)だそうです。
・カンフル(Camphora depurata)
これは一般によく知られた薬ですが、『薬物学』では、「強心薬ならびに興奮薬として広く応用」(P.443)されるとあります。また『集成薬物学』には「体温の減降を徴する所の薬物なり」(巻五 P.100)とも書かれています。ちなみに、Comphoraは日本語では「樟脳」のことでクスノキからとれます。
続いて、
熱が下がらなければ、
キニーネ、アンチピリン、フエナセチン、ピラミドンと、解熱剤の連用をしたり、(天真療法 P.11)
と熱が下がらない場合を想定しています。
・キニーネ(Chinin)
これも有名な薬で『薬物学』には、「キニーネはマラリア病に対する特効薬なり」(P.668)とあります。また、「キニーネは解熱作用を有し、これを熱性患者にあたうる時は著しき体温低下を来す」(P.671)ともあります。さらに、『集成薬物学』には「第一にはマラリア疾患に対する特効薬となし、第二は種々の熱性病に対する解熱薬」(巻四 P.16)とも説明されています。
・アンチピリン(Antiphyrinum)
『薬物学』には「解熱作用」(P.338)とあり、『集成薬物学』には「人工解熱薬中すこぶる有効にして最も不快の副作用すくなき物質」(巻四 P.30)とも解説されています。
・フェナセチン(Phenacetium)
『薬物学』には「解熱、沈痛、鎮静作用あり」(P.348)とあります。また『集成薬物学』には「解熱薬および鎮痙(ちんけい:ひきつりを抑える)鎮痛薬として良効を奏す」(巻四 P.44)とも書かれています。
・ピラミドン(Phiramidonium)
『薬物学』には、「アンチピリン」と同作用にして効力2,3倍す。(中略)実に「アンチピリン」の有能なる代用薬の一たり」(P.343)とあります。
さらに、熱が下がらない場合に、使用する薬がまだ続きますが、それは次回に見たいと思います。
(写真は、『集成薬物学 巻一』表紙)
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