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2019年03月13日22:19

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3/10 没後50年藤田嗣治 本のしごと@東京富士美術館

昨年目黒区立美術館でやっていたのを見逃したので、八王子まで行く羽目になってしまった。最初藤田嗣治はもう随分と見たからいいか、と思っていたから始まってからも見送っていたのだが、マイミクさんが藤田の別の面が見られると絶賛していたので行きたくなったのだ。藤田といえば乳白色の裸婦像と猫だが、お裁縫や可愛いハンドメイドも沢山残している。本の仕事もそうしたお茶目で可愛い面が見られるのかな、と期待。
八王子まで行く羽目になったとはいえ、東京富士美術館は所蔵品展も相当素晴らしい。ここも4回目。久しぶりだったせいか、おなじみの人気作品に加えて過去観たこともない作品もあって充実。近代以前のはほぼ写真撮影可なので、気に入ったのを撮ってきた。アルバム作りました。あとでよかったらどうぞ。

さて、フジタ。なかなかの見応えであった。作品のほとんどは、複数点ある版画やエディション付きの本または廉価本なので油彩絵画より手に入りやすかったにせよ、目黒区立美術館が相当所蔵している。あとは、個人蔵以外、近美と富士とベルナール・ビュフェ美術館。ビュフェ美術館には残念ながら行ったことがない。
それにしても、フジタがこれほどまでに豪華限定挿絵本や本、雑誌の表紙、挿絵に情熱を注いでいるとは知らなかった。また、日本に置いてきた最初の妻とみに宛てた手紙や、最後の妻君代の渡米に力を貸したシャーマンへの絵手紙は、マメという以外他なく、情熱とユーモアに満ちた軽妙な絵は「フジタ漫画」と名付けたいジャンル。以前DIC美術館でフジタ展を見たときに彼の絵手紙の面白さは体験済みであったが、特に後者は面白く、所蔵品展と合わせて休憩なくたっぷり3時間。館内は人もまばら、これは実に勿体無い。八王子駅からはバスが2ルート、ひよどり山トンネル経由の方が早い。是非オススメしたい。

http://www.fujibi.or.jp/exhibitions/profile-of-exhibitions.html?exhibit_id=3201901191
フォト
2018(平成30)年、藤田嗣治の没後50年を迎え、大規模な回顧展が開催されるなど再び藤田芸術に注目が集まっています。この機会に東京富士美術館では、藤田の画業の中でも特筆すべき分野の一つである挿絵を中心に紹介する展覧会を開催する運びとなりました。当館には藤田の生涯を通じてフランスで出版された貴重な挿絵本をほぼ網羅する50冊がまとまって収蔵されており、そのコレクションはこの藤田の美しく愛すべき「本のしごと」を紹介する本展の一章を担っています。
 1886(明治19)年、東京に生まれた藤田嗣治は、東京美術学校(現在の東京藝術大学)の西洋画科で学んだ後、1913(大正2)年にフランスに渡ります。1919年にサロン・ドートンヌに出品した6点すべてが入選。エコール・ド・パリの代表的な画家として活躍し、とりわけ1920年代初頭に発表した乳白色の肌をもった裸婦像は藤田独自の表現として当時のヨーロッパで高い評価を得ました。
 フランスで画家としての地位を確立した藤田は、絵画だけでなく挿絵本の仕事にも積極的に取り組みました。19世紀後半から20世紀にかけて、希少性の高い挿絵本は愛書家たちの収集対象となっており、藤田がパリに渡った当時のヨーロッパは挿絵本の興隆の時代でした。1919年、藤田は初めての挿絵本『詩数篇』を手がけ、1920年代には30冊以上の挿絵本がフランスで出版されました。これは当時のフランスでの藤田の人気を反映したものであると同時に、藤田自身が挿絵本の世界に魅せられていたことを物語っています。
 本展では戦前のフランスで発行された藤田の挿絵本、1930年代から40年代の日本での出版に関わる仕事、1950(昭和25)年フランスに移住した後の大型豪華本の挿絵などの「本のしごと」を中心に、絵画や版画といった「絵のしごと」、さらには藤田が友人に送ったハガキや絵手紙、手作りのおもちゃ、陶芸作品なども同時に展示し、藤田の幅広い制作活動を紹介いたします。

1パリでの出版
2日本での本に関わる仕事と様々な制作
3戦後フランスでの出版
4藤田嗣治と猫

《詩数篇 小牧近江》フォトフォト
19世紀後半から20世紀にかけては、エディションナンバーがついた豪華挿絵本の蒐集が流行った時代。この本が作られた年にはサロンドートンヌに出品した作品が全て入選し、乳白色の肌が絶大支持をされた。フジタはこの本より挿絵本を手がけるようになる。仕事が舞い込んだというより、フジタ自身が本のしごとを好んだようだ。

《イマジエ(猫)》フォト
フジタの木版画。硬質な板を彫った毛並みはフジタの猫の雰囲気がよく出ている。
今回得たプチ知識:カルコグラフィーとは、銅版画のことだが、ルーブル美術館所蔵の銅版画の原版コレクション及び作品のみを示す言葉で、フジタには2点カルコグラフィーがある。自画像と裸婦だが、どちらの作品にも猫がいる。

《平行棒 ミシェル・ヴォケール》フォト
楽しい絵

《エロスの愉しみ ジャック・ブランドジョン=オッフェンバック》
フォトフォト
テキスト側にさしこまれた天使の絵がキュートで可愛い。

《日本昔噺 編・訳藤田嗣治》フォト
明治期の洗練された浮世絵のような絵にピンク、水色、クリームのパステルカラーが素敵。フランスで大人気だった。

《イメージとのたたかい ジャン・ジロドゥー》フォト
水彩画《眠る女性》1点のみをそれぞれ違った部分のクローズアップにして、ページをめくるごとにスライドショーのように繰り返し現れる仕組み。美しい本だなぁ。

《腕一本 藤田嗣治》フォト 
1929年に帰国したフジタは戦前に3冊の自著本を出している。その中の一冊。腕一本でパリにわたり成功した自負があったのだろう。屋根の上に猫。

《巴里の昼と夜 柳澤健》フォト
表紙のフジタの顔、土門拳が撮影

《書簡(フランク・シャーマン宛)》フォト
本展で最も面白かった作品(と言えるのか?)。戦後日本からフランスへ戻ろうと決意したフジタ。一足先にハワイに飛び、そこで君代夫人と合流する手筈。それを斡旋、手配してくれるのが、GHQの民政員のシャーマン氏。シャーマン氏のおかげで一足早く出国できたフジタは、ハワイでの暮らしぶりを克明に伝えることによって感謝を表し、同時に君代夫人と早く会いたい気持ちをユーモアを交えて伝える様子は、遠慮がちにシャーマン氏に催促しているようで、フジタという人が切なく、可愛らしく、感謝を知る遠慮深い好感の持てる「日本人」だとしみじみ感じる。書簡だが、絵手紙というべきか、便箋びっしりの絵は可愛いイラスト。食卓で向き合う君代夫人は本当はまだここにいない透明人間だったり、君代夫人が乗った飛行機をでっかい磁石で吸い寄せようとするフジタを描いたり、溢れる想いを絵に託して、微笑ましい。
フォト
《キス・ミー》という手作り玩具は、そのシャーマンの旧蔵品。これもまた、フジタと君代夫人なのかな。
こうした手作り品の展示も何点かあり、出色は《円形テーブル》
フォト
メガネ、パイプにマッチ、ハサミに手紙、こうした小物はフジタの自画像でもあるが、象嵌で描かれている。このテーブル、ちょっと欲しい。

最後の展示室は「藤田嗣治と猫」猫の絵が10点並ぶ。
《夜と猫 エリザベス・コーツワース》フォト

《白い猫》フォト
背景の水色が綺麗。

猫で締めくくるこの展覧会、猫好きにはたまりません。

3月24日まで

ひさしぶりの所蔵品展。過去に見たもの、今回初めて見るものなど色々。気に入った&気になった作品を撮ってアルバムに載せましたので、よろしかったらどうぞ。
https://photo.mixi.jp/view_album.pl?album_id=500000105979492&owner_id=2083345

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