18950715 NO2747 朴泳孝が日本公使館に潜伏との疑いについて
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駐韓日本公使館記録 6巻 六. 朴泳孝不軌事件 (4) [朴泳孝の京城脱出に関する報告]
文書題目 (4) [朴泳孝の京城脱出に関する報告]
文書番号 機密第七参号
発信日 明治二十八年七月十五日 ( 1895年 07月 15日 )
発信者 臨時代理公使 杉村濬
受信者 外務大臣臨時代理 文部大臣 侯爵 西園寺公望
(4) [朴泳孝の京城脱出に関する報告]
機密第七参号
本月七日早朝、朴泳孝が京城出奔に臨み当館へ立ち寄ったため、朝鮮人は同人が我が公使館に潜伏しているかのように噂しているものと見え、朴泳孝引き渡しに関し同日午前金允植外部大臣より「別紙甲号」の通り照会してきましたので、朴泳孝は現在当館にはいない旨直ちに同大臣宛「別紙乙号」の通り回答しておきましたが、同日午後になって今朝当国巡検で日本兵二十余人が、朴泳孝及びその党類五、六人を擁護して南大門を出たのを目撃した旨当国警務使より申し出ているので、これはどのような次第なのか明答するよう「別紙丙号」の通り照会がありましたので、一応馬屋原・守備隊長に尋ねましたところ、これは我が守備隊の一部分が当時ちょうど南門外に行軍していたのを見誤ったものであるように推察されますので、「別紙丁号」の通り、本件は恐らく事実を錯認したものであろうと致回答えましところ、当国警務使も疑念が晴れたのかその後何等の申し越しがありません。したがって別紙を添えましてこの顚末を具報いたします。 敬具
明治二十八年七月十五日
臨時代理公使 杉村濬
外務大臣臨時代理 文部大臣 侯爵 西園寺公望 殿
[別紙 甲号]
文書題目 [朴泳孝逮捕勅旨通報と拿交 要請]
照会第拾五号
(二十八年七月七日接)
大朝鮮外部大臣金為照会事照得有告密于宮内府者備告内部大臣村泳孝不軌之謀情形甚急我
大君主即降勅命免官緝捕令法部審査得実奈該犯風閃躱現聞在貴公館云諒
貴署理公使篤於友誼其ノ在同悪之義必不容庇叛人而館中員役多与該犯面熟倉猝之際不無保納之
慮玆以備文照会請煩
貴署理公使査照将該犯拿交幷望飛飭駐参港貴国領事官不准於貴国船隻塔載該犯以便拿獲可也須至照会者
右照会
開国五百四年閏五月十五日
印 大日本臨時代理公使 杉村
〈＊私訳〉
大朝鮮外部大臣・金は照会します。
宮內府への密告によると、内部大臣・朴泳孝の謀反事件があったようです。その状況が非常に切迫し、我が大君主におかれては直ちに勅命で彼を官職から罷免し逮捕令を下したのであるが、法部で審査させその実情を明らかにするようにしました。
ところがどうしたことか、その犯人・朴泳孝が風のように姿を隠して、現在聞くところでは貴公使館内にいると言います。貴署理公使におかれては友誼を敦篤になさり、彼のような行動を憎む義憤を共にして、必ず反逆犯人を庇護することはできないことであることをよく見極められ、公館任員たちの多数がこの犯人と面識があるので思わず受け入れて保護しようとする考えが起きた可能性があり、ここに公文を整えて照会するので、煩わしいことですが貴署理公使におかれて事実を調査しその犯人を捕らえ我が政府当局へお渡しいただくことを要請します。
さらに釜山•仁川•元山の三港口に駐在している貴国領事館にも迅速に通知し出航する 貴国船舶にこの犯人の搭載を許可しないようになさり逮捕するよう便宜を図っていただけることをお願いします。以上の通り照会します。
開国 504年 閏 5月 15日
(1895年 7月7日 接手)
[別紙 乙号]
文書題目 [右件 日館隱匿の否認と逃避防止措置の准飭回答]
第八拾七号
書翰を以て啓上します。
貴国人・朴泳孝が当館に潜匿致しているとの風聞があるとしてこの引き渡しについて開国五百四年閏五月十五日第十五号を以て御照会がありましたが、この朴氏には現に本館におりませんので御承知いただきたい。もっとも朴氏の乗船させないよう港領事へ命令する件については御来意のように早速それぞれに電訓いたしておきました。
明治二十八年七月七日
臨時代理公使 杉村濬
外部大臣 金允植 閣下
即時発送漢訳文を付さなかった。
[別紙 丙号]
文書題目 [日兵の 朴泳孝 護送に 対する抗議及び 解明 要求]
照会第拾六号
大朝鮮外部大臣金為照会事照得頃以朴泳孝事当経照会在案刻又拠我警務使声称在本日上午七点鍾半朴泳孝与其ノ徒五六人向南門出去有 貴国兵二十余人簇擁而保護之我巡検等不敢下手任他過去爾時事状路上軍民衆目難掩等情拠此査本大臣於本日早晨既経面晤貴臨時署理公使確認 貴国兵丁無保護我国犯人之理承有准諾乃有此 貴兵擁護之挙殊堪疑異尚望 貴臨時署理公使査照将如何事由明�深�覆可也須至照会者
右照会
開国五百四年五月十五日
大日本臨時代理公使 杉村（＊宛）
〈＊私訳〉
照会 第16号
大朝鮮外部大臣・金は照会します。先に朴泳孝事件で照会したことがありましたが、今回また我が警務使申告によれば、本日午前7時半ころ、朴泳孝がその追従者 5、6名とともに京城南門を経て脱出したのだが、貴国の兵士20余名が群がってこれを擁護・保護して行くのを見かけたのだが、わが巡検（＊警察官）たちはあえて手を出さないまま、彼らが過ぎ去ることを放任したのだが、その時の状況は路上にいた軍•民たちが目撃しており隠すことは難しいことです。上のような申告に従ってこれを調査しようと、本大臣は本日早朝に貴臨時署理公使を訪ね、貴国の兵士たちが我が国の犯人を保護したということはなく、そのような許諾をされたはずがないという確認を受けたいのですが、それでもどうしても 貴国の兵士たちが我が国の犯人を擁護する挙動をなしたというようないぶかしさを禁じることができないので、貴臨時署理公使におかれてこの事実をはっきりと調査なさりどのような理由なのかをはっきりと明らかにして回答なさるよう願います。ここに照会します。
開国 504年5月15日
大日本 臨時代理公使 杉村
[別紙 丁号]
文書題目 [日本公使館の朴泳孝・保護を否定]
〈＊私訳〉
第八八号
書翰を以って啓上いたします。貴暦開国五百四年閏五月十五日貴部第十六号照会に接し読ませてもらいましたが、「内開頃以朴泳孝事当経照会在案刻又拠我警務使声称在本日上午七点鍾半朴泳孝与其ノ徒五六人向南門出去有貴国兵二十余人簇擁而保護之我巡検等不敢下手任他過去爾時事状路上軍民衆目難掩等情拠此査本大臣於本日早晨既経面晤貴臨時署理公使確認貴国兵丁無保護我国犯人之理承有准諾乃有此貴兵擁護之挙殊堪疑異尚望貴臨時署理公使査照将如何事由明�深�覆可也（「先に朴泳孝事件で照会したことがありましたが、今回また我が警務使申告によれば、本日午前7時半ころ、朴泳孝がその追従者 5、6名とともに京城南門を経て脱出したのだが、貴国の兵士20余名が群がってこれを擁護・保護して行くのを見かけたのだが、わが巡検たちはあえて手を出さないまま、彼らが過ぎ去ることを放任したのだが、その時の状況は路上にいた軍•民たちが目撃しており隠すことは難しいことです。上のような申告に従ってこれを調査しようと、本大臣は本日早朝に貴臨時署理公使を訪ね、貴国の兵士たちが我が国の犯人を保護したということはなく、そのような許諾をされたはずがないという確認を受けたいのですが、それでもどうしても 貴国の兵士たちが我が国の犯人を擁護する挙動をなしたというようないぶかしさを禁じることができないので、貴臨時署理公使におかれてこの事実をはっきりと調査なさりどのような理由なのかをはっきりと明らかにして回答なさるよう願います。（＊ここまで私訳）」云々の御申し越しになりましたことを一読しましたが理解できないことでした。
そもそも我が守備隊はそれぞれ厳重な規則によって検束いたしておりますので、決して漫然と御申し越しのような挙動にでるはずがないと確信しておりますが、貴警務使より申し出の内容もありますので、念のため我が守備隊長に尋ねましたところ、同守備隊は時々その部隊を城外に行軍させることがあり、昨日午前も常のようにその一部隊を南門外に行軍させたとの返答に接しましたので、貴巡検はあるいはこれを見誤ったのではないか推察されます。
また昨朝貴大臣を御面談の折は、本臨時代理公使においては当時御承諾に及びましたとおり、それぞれ取り計らい置きましたのでさよう御諒承いただきたく存じます。 敬具
明治二十八年七月八日
臨時代理公使 杉村濬
外部大臣 金允植 閣下
[別紙 丁号] [漢訳文]
文書題目 [漢訳文]
為照覆事照得現准貴暦開国五百四年閏五月十五日貴部第拾六号照会内開云々(中略)等因准此一閱之余殊深怪訝抑査我守備隊紀律甚厳検束備至本臨時代理公使深信其ノ断無漫然出於如来文所述之挙惟以貴警務使既有所声称故特詢詰我守備隊長乃拠該隊長覆称本守備隊時有以其ノ部伍行軍于城外向以為例査於昨日上午亦曽照常遣一部隊行軍於南門外等情拠此本臨時代理公使因思貴国巡検或偶瞥見之無乃非錯認以為然乎若夫昨朝与貴大臣面敍一節則本臨時代理公使均経照所認諾弁理矣相応備文照覆請煩貴大臣査照可也須至照復者
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