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2019年03月07日20:16

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「エレンディラ」

読書日記
「エレンディラ」
G.ガルシア=マルケス
 作

やはりマジックレアリスムという言葉はマルケスのためにあると思ってしまう。圧倒的に不思議で魅惑的な短編集。
文庫解説によると、マルケスは幼い頃祖父母の家に預けられて育ち、迷信深い祖母から様々な民話や伝説を聞いて育ったとのこと。どうやらその体験がそのままマルケスの作品に反映しているらしい。まるで水木しげるののんのん婆体験のようではないか。なるほどあの特異な幻想・日常からの飛躍はそんな原体験があったからこそ生まれたのか。

弱った天使が泥の中に落ちてきたり、海がバラの香りで満たされたり、絶世の美男である大男の水死体が打ち上げられたり、目には見えない幽霊船が港に乗り上げてきたり、全て現代の民話であり、古風で迷妄で前近代的な社会ならではの(現代でも相変わらずの)出来事だ。

怪物的な祖母にとらわれて身体を売る暮らしを強いられる少女エレンディラの行く末はいかに?中編「無垢なエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲惨の物語」これはただごとではない。
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