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2019年03月02日10:21

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「天真療法」案内8

今回は、前回の『天真療法』の具体的方法に続いて、「序」に引用されている次の古典を見て行きたいと思います。
人は名位の楽しみたるを知って、名なく、位なきの、最も真たるを知らず。人は飢寒の憂たるを知って、餓えず、寒(こごえ)ざるの憂いの更に甚だしきを知らず。(天真療法 P.5)
多く蔵するものは、厚く失う。故に知る。富は貧の慮(おもんばか)りなきに如(し)かざることを。高く歩むものは、疾(と)く斃(たお)る。故に知る。貴は賤の、常に安きに如かざることを。(天真療法 P.5)
最初の文は『菜根譚』前集67(岩波文庫は66)、次の文は『菜根譚』後集52(岩波文庫は53)からの引用です。
現代語訳すると次のようになるでしょう。
人は名誉や高い地位の楽しみは知っているが、名もなく位もない者のほうが、真の楽しみがあることを知らない。人は、餓えや寒さが憂いであることは知っていても、餓えや凍えを遠ざける物や財産を持つことによる心配、憂いのさらに甚だしいことを知らない。
多く財産を持つ者は、失うものもまた多い。だから多くの財産を持つ者は、貧しい者が物を失うことを心配しなくてもよい気楽さには及ばないことを知るのである。また地位の高い者は、その地位を失うことも早い。だから高い地位の人は、貧しい者が常に安心していられることには及ばないことがわかるのである。
なんだかどこかの自動車会社の前会長を思わせる文ですが(笑)、ここでは、前回触れた春充の言葉にあるように、病気の時には淡泊な食事をとって養生すればよいのに、「金をかけ、時を費やし、体に余計な仕事を負わせながら、人は病気の素をセッセと努力しつつ注ぎ込んで居る」ことをこの言葉で例えています。
次回は、これらを踏まえ春充が天真療法のエッセンスを語っている文を見ます。
(写真は、春充と信水が建立した父と母への「記恩碑」)

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