mixiユーザー(id:10258677)

2019年01月17日23:59

196 view

「家へ帰ろう」70年ぶりに海を越えて友を訪ねる旅

マイミクさんのお勧めの映画。
主演がお爺さんの地味ながら後味のいい作品。

「家(うち)へ帰ろう」 ★★★★☆
http://uchi-kaero.ayapro.ne.jp/

アルゼンチンの88歳のアブラハム(ミゲル・アンヘラ・ソラ)
子供たちが家を売り、老人ホームにという話が出ている。
具合の悪い右足の切断手術も迫られている。

家の片付け中に示された1着のスーツ。
ポーランド人の友達にと、最後に仕立てたもの。
子供たち家族が帰り、彼は急にその夜に飛び立つ。
70年の音信不通の友への、約束のスーツを抱えて。

着いたのはマドリッド。ホテルで窃盗に合い無一文。
仲違いをしていた娘に渋々会いに行って、
お金を乞う羽目になるが、彼の思い込みも解ける。

飛行機で隣り合ったミュージシャンを助けて助けられ、
ホテルの不愛想な女主人(アンヘラ・モリーナ)にも
呆れられながら、2人に見送られてパリ行きの列車へ。

パリからワルシャワへ、ドイツを通らずに行きたい、
「Polonia」「No Germany」と書くが分からない。
窓口で係員を困らせ、係員の「飛行機で」という言葉に、
周りの人が思わず笑うと、「馬鹿にされた!」と怒る。
いる〜、こういう怒りっぽいお年寄り…。

言葉に困るアブラハムを助けてくれた女性はドイツ人。
そっぽを向き、ドイツの地に足を置きたくないという彼に、
駅のホームにシャツを敷いて踏まずに歩けるようにする。

車中の眠りの度に観る夢で、アブラハムの過酷な過去が、
徐々に明らかになる。何故そこまでドイツを嫌うのか、
故国ポーランドの友人とは? スーツは届けられるのか?

そしてワルシャワの病院の看護師も彼に親切だ。
町の名を聞いて、一瞬渋い顔、遠いらしい。

アブラハムという名でわかる通り、ホロコースト、
ゲットーを体験したユダヤ人の、家へのロードムービー。

1人の男性と3人の女性とのやりとりは、どこか軽妙で、
アブラハムの身勝手に見える要求を叶えようと動く彼女たちに、
頑固で偏屈な彼の心もだんだん解きほぐされて…。

ドイツを嫌う気持ちも当然と思える生涯の最後に、
南米からポーランドの家に帰る旅での出会いが、
彼の心も、この映画を観る私たちの心も温められた。

7 11

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する