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2018年10月13日12:32

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佐藤肇 考える葉(1962) (ラピュタ阿佐ヶ谷)

 観賞後、だいぶん時間がたってしまったが、個人の備忘録なので…

 Movie Walker https://movie.walkerplus.com/mv20495/

 Movie Walker のあらすじは、例のとおり、細かなところで映画と異なって
いるので、Wikiの原作のあらすじもリンクしておく。

 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%80%83%E3%81%88%E3%82%8B%E8%91%89

 松本清張の原作を鶴田浩二、江原真二郎の主演で、「吸血鬼ゴケミドロ」
などで特撮ファンにもおなじみの佐藤肇が監督したミステリー。

 ミステリーの中核は、太平洋戦争中に某所に隠された隠匿物資をめぐる
殺人事件。

 冒頭、夜の雑踏を歩くうらぶれた感じの鶴田浩二。それが突然、ショ
ーウィンドーを叩き割る、というショッキングな冒頭。

 鶴田浩二扮する井上代造は、戦場に魂を置き忘れてしまった元軍人。
戦後の朝鮮特需と、戦時のコネを利用してのし上がっていく、板倉
(木村功)に使われており、ショーウィンドーを叩き割ったのは、
板倉のために「駒」となる適当な男を留置場で物色するためだった。

 名作「男たちの旅路」の元特攻兵とよく似た心理状況にある井上。
「駒」としてスカウトした、やはりあてもなく田舎からでてきた
崎津(江原真二郎)に親しみを感じ、板倉を裏切る。

 その結果、板倉の側近に撃ち殺されてしまうのだが、その間際の
戦後の波に乗り切れない苦しみが、鶴田浩二らしい味わいがある。

 しかし、前半で殺されてしまい、物語は井上の遺志をうけつぐ
かたちで、同じく狙われるようになった崎津による謎の解明にうつる。

 江原真二郎も若々しい好演だが、どうにも鶴田浩二の死があっけな
い。ミステリーとしては、井上の妹、美沙子の行方不明へと展開して
いくのだが、なぜ、美沙子が生かされていたのか、のが不合理で、
少しつじつまがあわない気がする。

 結末は、隠匿物資の謎があばかれ、板倉こそ死んだものの、
その背後にいた政治家はそのまま残る。どちらかというと
Bad End だろう。

 戦時中の隠匿物資をめぐる黒い影。ここは細かな矛盾には目をつぶり、
やさぐれた鶴田と、冷酷な木村、清張らしい地方の描写などを楽しむ
ごく平均的なミステリなのかな、と思った。
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