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2018年06月09日16:30

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「30年後の同窓会」〜戦友たちの“鎮”道中

2003年、かってベトナムでともに戦った男たち3人が30年ぶりに出会う。そのひとりドク(スティーヴ・カレル)は、息子が遠きイラクの地で戦死したことをミューラー(ローレンシュ・フィッシュバーン)とサル(ブライアン・クランストン)に告げ、その遺体を故郷まで連れて帰る旅に付き添ってくれと願い出る。監督は「6才のボクが、大人になるまで。」のリチャード・リンクレイター。

飲んだくれのサルが、終始オチャラケキャラで狂言回し役に徹しているにもかかわらず、つねにどこかで静かな哀しみを漂わせている男たちの旅、すくなくとも同窓会という雰囲気ではない。ふだんは饒舌な役柄が多いスティーヴ・カレルがもっとも無口(物語の設定上仕方ないけど)な男を演じているせいで、よけいにその印象が強くなっている。

いや、むしろ鎮魂の旅にしてはにぎやかで笑いがあると言うべきかもしれない。そして回顧ものによくありがちな、懐かしのヒット曲が次々流れるということはいっさいなく、それが物語全体の静けさに拍車をかけている。そのぶんエンドロールでは超大物ミュージシャン90年代の楽曲が流れ、物語全体の重さを一手に引き受けているような感じもする。

なのでこの邦題はいかにもノーテンキという気がしてくる。原題は「Last Flag Flying」、もちろんこのままカタカナにしたところで、我々日本人には言葉の意味がストレートに伝わってこないだろうけど。イラク戦争の時期からベトナム戦争を照らし出すという設定、戦場そのものの映像ではなく、3人のセリフによって、戦争の恐ろしさや愚かさを投げかけているように思いました。
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