mixiユーザー(id:6645522)

2018年05月29日14:40

249 view

岡本喜八監修 竹林進監督「遊撃戦」7回「老兵は死なず」(ラピュタ阿佐ヶ谷)

 岡本喜八特集。8本目。テレビシリーズ「遊撃戦」2本目。

 中国軍の補給基地で、ちゃっかり中国の軍服を盗み、中国軍になりすまして
悠々と進む遊撃隊の面々。とある岩山の麓にまでたどり着くと、中国兵の集団
が前方の岩山を攻撃しようとしていた。

 実は、岩山の洞穴の中に、日本兵の老兵がたったひとりで立てこもり抵抗を
続けていたのだった。火薬を豊富に所持し、機関銃をぴたりと下方の中国軍に
向けているため、中国軍は、犠牲をだすばかりでなかなか攻略できないでいた
遊撃隊は、中国軍にまじって攻撃するふりをして、日本兵への攻撃を
やり過ごすが、そのあいだに中国軍はほぼ全滅してしまう。

 そこで、日本兵と合流しようとしたのだが、なにせ、中国軍の軍服を
着ているため、容易に信用されない。すったもんだのあげく、洞窟には
入れてもらえたが、武器は放棄させられてしまった。

 その老兵(伊藤雄之助)は、実は、第一次桂林攻撃隊の生き残りであった。
捕虜になることを異様に怖れ、なにかに憑かれたようにあくまで抵抗を続ける
老兵。

 黒田は、「ノモンハン」の生き残りではないか?と問いかける。

 中国軍が新たな一軍をもって、岩山に攻撃をしかけてきた。そのときに、
日本語を話せる中国兵を捕虜にするが、捕虜の口から思いもかけない真実が
明らかに。

 やはり包囲されながら抵抗を拒む日本軍の一部隊がいたが、降伏勧告を
うけいれようとしたその隊長(少尉)が、部下に撃ち殺されたのだ、と。
 そして、老兵がためこんでいた火薬の下から、少尉の階級章をつけた
白骨が…

 老兵は中国軍に撃たれ、崖下へ転がっていく。遊撃隊の面々は、火薬で
の爆発を目くらましにつかい、その場を脱出する。あとには老兵が憤怒の
形相で横たわるのみであった。

 敵軍に包囲されながら、あくまで降伏を拒む老兵。実はその狂気は、
「ノモンハン」に送られ、地獄を見せつけられ、捕虜になった将兵が
軍法会議にかけられる、という泥沼の戦争体験からきたものだった。

 伊藤雄之助の、眼の焦点がさだまらないような、老兵が圧倒的な存在感を
みせる。
 火薬箱の下から、死体がでてくるところは思わずぞっとさせられた。

 「戦争は愚劣なものだ」という岡本喜八のメッセージが、極めて直接的に
現れた作品であろう。
 ここでは、遊撃隊の隊員たちは、あくまで脇役。老兵の「戦争」の証人、
という位置づけである。
1 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する