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2018年05月29日09:13

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世界第2の経済大国、中国にODA「完全卒業」を迫る好機だ 上海支局長・河崎真澄

 下記は、2018.5.29 付の産経ニュース【緯度経度】です。

                       記

 日本の対中ODA(政府開発援助)のうち、港湾や空港、鉄道の建設、上下水道などインフラ整備を中心に、低い金利でプロジェクト資金を貸し付ける「円借款」の新規案件の引き受けが2008年3月までに終了し、10年が経過した。

 1979年にスタートした日本の対中ODA。外務省によると、このうち円借款は承諾ベースで累計3兆3165億円に達した。

 一方、学校や病院の整備や、環境対策などの「無償資金協力」や専門家を派遣する「技術協力」は現在も継続中。円借款は返済が必要なのに対し「無償」「技協」は贈与の形となる。

 外務省が今年2月に発行した「2017年版開発協力白書」によると、中国に対して16年度は無償で98万ドル(約1億1千万円)、技協で600万ドル(約6億6千万円)を供与した。17年度、18年度も同水準の援助を行っているもよう。累計で無償は14年度までに1575億円、技協は15年度までに1840億円。合計で3415億円にのぼる。

 しかし、ODAをテコにGDP(国内総生産)で日本の3倍近い経済規模に膨らんだ中国に、なおも援助を続ける必要性を日本国民に説明するのは難しい。

 内陸の開発や貧困層の支援に真っ先に手を差し伸べるべきは豊かになった中国の政府であり、外国の役目ではない。「世界第二の経済大国になった中国が、いつまでも日本の資金援助を受け続けることは恥ずかしい」と考える誇り高き中国人も少なくないはずだ。

 円借款には、「グラント・エレメント(GE)」と呼ばれる贈与要素が25%以上ある。金利の減免や返済猶予期間などが事実上、贈与にあたる。仮に25%を贈与と想定すると約8300億円。これに無償や技協の累計を加えると、日本は1兆2千億円近くを中国に差し上げた計算だ。

 外交筋は、08年に円借款の新規案件を終了させた経緯について、こう話した。04年から05年にかけ町村信孝外相が李肇星外相(いずれも当時)に対して、「中国はそろそろ、日本の経済援助を受ける国から卒業されたらどうか」と持ちかけたところ、05年春に、「08年の北京五輪までに円借款を終了する」ことで合意した、と。

 現在、日中関係は改善に向かっている。13年の就任後、初めて公式訪日した李克強首相は安倍晋三首相との9日の首脳会談で、「波風が過ぎ去って晴天まで現れ始めた」と表現した。

 次なる外交ステップとして、外交筋は今秋の安倍首相公式訪中と、習近平国家主席による来年の訪日実現というシナリオを描く。

 新たな関係構築の推進力となり得るのが、習氏が旗振り役となってアジアから中東、アフリカ、欧州まで結ぶ新シルクロード経済圏構想「一帯一路」をめぐる日中間の協力だ。だが、対外支援を多国間で大々的に行おうとする中国に、なおも日本が2国間のODAを続けることは不自然だ。

 しかも年間、数億円の援助が、巨大な中国相手に“外交ツール”になるはずもない。

 安倍首相の訪中交渉が本格化する中で、河野太郎外相には、「そろそろ中国は日本のODAから完全に卒業されることを決断してはいかがか」と王毅外相に迫る絶好の機会が訪れる。ODAから完全卒業して初めて、日中は対等な関係になれるだろう。(上海支局長)
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 http://www.sankei.com/world/news/180529/wor1805290010-n1.html
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