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2018年04月09日18:57

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中国史のエポックメイキング

「キングダム」は、
かつて家族でスーパー銭湯に行った時に
やたら長風呂の女性陣を待つために
待合室で息子と漫画を読んで時間を潰したのだが
その時に10冊程度読んだ事がある。
なかなか読み応えがあったのと、元から疑問に感じていた点が
氷解したというか納得できた点で思い出深い作品である。

たった10冊でその作品の何が分かるのか、と
言われれば返す言葉もない。
暗黒の中国史を読み解くに当たって
征服者が滅んだ王朝の事を好き放題描くのが
彼らのやり方だとしたら(日本も同じである)
漢代に書かれたであろう、秦の時代の歴史書に
始皇帝はじめ当時の漢の高祖と対立関係にあった
楚の項羽などが悪辣に見えるような人物描写がされている事も
以外ではないだろう。

とりわけ、儒教を国教化するほどに漢王朝は儒家を保護したというのに
「焚書坑儒」という儒家弾圧を行った事で有名な秦の始皇帝・政を
クリーンで有能な君主であると描くはずがない。

中国統一を果たしてから僅か11年で始皇帝は急死し、
その5年後に秦は滅んでしまうのである。
その間、強力な軍事国家であった秦に抑圧されていた人たちが
強烈に反動してその後釜を狙い
漢の高祖である劉邦が中国初の長期統一国家の建国に成功するのである。

だが、秦がどれくらい強力な国家であったかは
現在の西安にある兵馬俑しかり秦始皇帝陵しかり万里の長城しかり
凄まじいスケールのものばかりである事から窺い知ることが出来るだろう

滅ぼされた国家の視点から正確に歴史をなぞる事は
大変難しい事であるが、秦の偉業の一つである「文字の統一」(篆書)のお陰で
記録はここかしこに残っている筈なのである。

さて、こうやって考えると
民草というか一介の民間人が国を統べるようになる事が
中国では特に少なかったと思う。
現在でも中国共産党の一党独裁が支配者層を形成しており
一般市民の政治への参画意識は極めて低い。
現代の中国が抱える最大の闇はそこである。
民間人に賛成意識がないのだから、
支配者層が民間人を満たしていく事が政治の仕事、という事になる。

世界中の一般常識が全く通じなくても
中国政府がどうにかして彼らを守り労り誘導して
内政が行われているわけだが
どうやら「中国式」が世界では通用しないらしい。。。という事実は
グローバルな活動をする中国人にはすっかりバレている。
それでもスタンスを変えない中国政府に対しては
「民は政府に従うのだから、政府は民に施しをせよ」
という不文律に突き動かされるのである。

「徳治政治」といって
徳がある者が為政者を務める、
徳が無い者は、徳がある者にとつて代わられるという
「徳の有無」が支配者層には求められるのである。

さて、秦始皇帝に高い徳があったのかどうか。。。
それを描いてくれるのであろうから
「キングダム」はいつか続きを読もうと思っている。

『キングダム』実写映画化決定 作者・原泰久氏、1年間脚本会議に参加「納得の脚本です!!」
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=54&from=diary&id=5061649
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