本日朝、先日自殺された評論家の西部邁氏について、
その自殺を幇助した人物がいる可能性があると。
この人が亡くなった時、思い出したのが黒鉄ヒロシ氏だったかな、
との対談で語っていたモーリス・パンゲ氏についての書評です。
ウィキペディアによると2013年。結構前だったんだなと。
西部氏は「モーリス・パンゲというフランス人の日本学者がいて、
『自死の日本史』という本が筑摩書房から出ています。
「それを読んで僕がもっともかなと思ったのは、こういう説なんです。
なぜ日本人は腹を切るか。モーリス・パンゲは、腹切りの思想がわかったと言うんですね。
それを僕の言葉で解説すると、
これ以上生きるほうを選んでいると、たとえば心ならずも僕が黒鉄さんを裏切るとか、
やっちゃいけないとつい1年前に言ったことを自分でやってしまうとか、
そういうことが起こり得ます。
つまり生きることには、何かしら裏切りとか、堕落とか、汚辱とか―
僕はピューリタンじゃないから、それを毛嫌いしているわけではないんですが―
そういう本来拒否すべきものが濃厚に伴いますよね、生き延びようとすると。
それがぎりぎりまでくると、神にも仏にも頼らずに、自分の命を抹殺してしまうことで、
汚いと自分の思っていることをしないですむというのです。
うろ覚えなんですけど、そのことをこういう言い方をしていた。
形而上学―この場合は宗教ですね―に頼らずに自分の生に伴う虚無感、
価値あるものは何もありはしないという虚無感を吹き払うために、死んでみせることを選び、
選んだことを一つの文化に仕立てたのは、世界広しといえども、世界史長しといえども、
日本人だけである。そういう日本礼賛なんですが、これはなるほどなと思いました。」
という事をおっしゃっていた訳で、自殺と言うニュースを聞いた時、ああ、と思いましたが、
今回の幇助と言う事態も、ここに思いがある方が関連したのではないかと。
奇しくも本日は西部氏の誕生日で、ご存命であれば79歳。
神にも仏にも頼られなかったけれど、最後の最後に頼れる人物はいたのだなと。
改めてご冥福を。
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