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2017年11月20日08:28

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救急車のサイレン

 ピーポーピーポーと救急車のサイレンが聞こえると、田舎の人はすぐに「何
があったんだ」と反応する。それが自分の部落ならなおさらで、「○○さんだ
べ」「いや、あそこのバッパは最近調子が悪いって聞いたぞ」と噂話になるの
に数分とかからない。向こう三軒両隣なら家まで確認に行くのが常で、「どこ
どこの病院がいいべ」と余計な心配までする。そういうプロセスを経て不幸を
耳にすることも多いので、「やっぱりか」となるわけだ。
 私も取材で都路に通っていた20数年前、ちょっとした体調不良で救急車を
呼んでしまったことがある。そのとき地元の人が「サイレンを鳴らさないで病
院まで運んでくれ」と伝えたのを聞いた。地域社会ほど変な噂は立てられたく
ない、という心理が強いのだ。静かに救急車が立ち去っていく場面は私も何度
か目にしており、ちょっと前まではそういう方法が常態化していたのだろう。
 でも、秘密にすることなんかできっこない。田舎の人は口が堅いようで、実
は大のおしゃべり好き。影では人の悪口の平気でいうし、誰から見ても尊敬で
きる人など存在しないのだ。自分がいないところで悪口をいわれたと知ってシ
ョックを受ける移住者も少なくないのだが、私ら夫婦は「自分がいないときは
よくいわれなくて当たり前」と割り切っている。悪口をいった側も、翌日はそ
んなこと忘れているというケースがほとんど。地域社会に住む人は、サイレン
を止めたくらいで噂は止められないと悟るべきである。
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