78年10月20日、寝屋川市民体育館のテレビ生中継、藤波辰巳の持つWWWFジュニア・ヘビー級王座に最強の挑戦者チャボ・ゲレロが挑んだ一戦。
この日のテレビ朝日、ワールドプロレスリングの放送はこちらのメイン1試合のみの放送でした。
猪木、坂口、ストロング小林の試合は放送前に終了、猪木のワンマン団体だった新日本プロレスのワールドプロレスリングが藤波一本で勝負に出ました。
生中継で猪木が欠場していなくて試合が放送されなかったことは非常に珍しく、それだけテレビ朝日が藤波に期待をしているということになります。
挑戦者チャボは赤、白、緑のメキシコの国旗をあしらったタイツで登場、藤波はもちろん黒のタイツです。藤波にとっては記念すべき10回目の防衛戦。防衛に成功すればWWWFより、現在使用のチャンピオンベルトが藤波に贈呈され、「ベルト永久保持」(タイトルではない)が認められることになりました。
実況はこの試合がビッグマッチ初のメイン実況となる古舘伊知郎アナウンサー、解説は桜井さん、ゲスト解説には猪木を迎えていました。
試合は61分3本勝負、1本目開始のゴング。古舘アナ「さて、桜井さん、先程両国国歌の吹奏がありましたが、2人の表情はどうですか?」
桜井さん「チャボ・ゲレロ、藤波君とも先程から普段の試合とは違って緊張していましたねぇ、特に藤波君の表情が硬かったですねぇ」
古舘アナ「さて、この試合の見所なんですが、とても一言で言い表せないと思うんですが、どうですか?」
桜井さん「そうですねぇ、チャボ・ゲレロのジャンピング・ヒップアタック、藤波君のドロップキックから、場外に落としてのドラゴン・ロケットと言った見せ場があるかどうかですねぇ」
両者ロープに飛んでのショルダータックル、藤波が打ち勝ち、もう一度ロープに飛びましたがチャボは自らテイクダウンしてのスライディング・レッグシザース。
古舘アナ「早い動きから足払いを見せましたチャボ・ゲレロであります」
桜井さん「早いですねぇ!」
古舘アナ「猪木さん、このシリーズ藤波と巡業で行動を共にしていて藤波のコンディションはどうですか?」
猪木「そうですねぇ、まあ、あのぉ〜、最初の頃は風邪を引いていたようですが、このところ回復してきているようですね。大分、(コンディション調整にに)気を使っていますので、今は体調がいいのではないでしょうか」
古舘アナ「昨日、京都で猪木さんとタッグを組んで試合をしましたから藤波の絶好調ぶりがわかりますね。一方のチャボ・ゲレロも絶好調じゃないですか?」
※寝屋川大会の行われた前日の10月19日、京都市長岡いずみやショッピングセンター駐車場特設リング大会のメインで猪木は藤波とタッグを組んでキラー・カール・クラップ、トニー・ロコ組と対戦し2-0で快勝している。
猪木「そうですねぇ、前に来た時(6〜7月のサマー・ファイト・シリーズ)は腰を痛めていたようなんですが、今回は絶好調のようですね」
チャボは左足をうつ伏せになった藤波の左足にフックしてのステップオーバー・トーホールド、さらにブリッジ、藤波は技をかけられながらも下からチャボの顔面をフェイスロックに捕らえにいきますがチャボはこれを嫌います。
古舘アナ「桜井さん、チャボ・ゲレロのブリッジなんですが、綺麗に弓なりになっていますね」
桜井さん「そうですねぇ、非常に切り込みが深く、ガッチリ決まっていますね。藤波君は外しにくいんではないでしょうか」
チャボは執拗に藤波の左足を取りにいきます。嫌がる藤波は余った右足でキック、ダウンするチャボですが、ニップアップを見せてスクッと立ち上がりました。
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