18940610 NO1537 朝鮮出兵の件に関する清国よりの通知
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駐韓日本公使館記録 4巻 一. 露日関係 一 (20) 我が国より朝鮮に出兵の件に関する総理衙門より照会、並びに清国より出兵の件に関する当該衙門よりの照会、その他往電写を添えて申し進む件
文書題目 (20) 我が国より朝鮮に出兵の件に関する総理衙門より照会、並びに清国より出兵の件に関する当該衙門よりの照会、その他往電写を添えて申し進む件
文書番号 機密第二二号信
発信日 明治二十七年六月十日 ( 1894년 06월 10일 )
発信者 臨時代理公使 小村寿太��
受信者 外務大臣 陸奧宗光
(20) 我が国より朝鮮に出兵の件に関する総理衙門より照会、並びに清国より出兵の件に関する当該衙門よりの照会、その他往電写を添えて申し進む件
機密第二二号信
一昨八日付「機密第二十号信」によって、我が国から朝鮮に出兵する件に関する来電、ならびに清国総理衙門への照会、その他往電写を提出以後、昨九日清国総理衙門・王大臣より「別紙甲号写」の通り回答があり、これと同時に、清兵韓国出兵の件は在東京清国公使・汪氏より我が政府に通知があったとの回答をもあわせて着信いたしましたので即日電信を差し出すつもりでしたが、暗号組み立てを済ませましたころは最早日没となり、当地の電信局は城外にただ一カ所あるのみで、日没時の城門関鎖後は発信することができず、止むを得ず今朝「丙号」の通り発信ました。
甲号の回答中「係保護属邦成例」殊に「断不可入朝鮮内地」などは穏当でない表現と見留めましたので、これに対し抗議を提出すべきものと考え、電信末文に「訓令」を伺いでた次第で、その「乙号・総理衙門よりの照会」に対し本官よりの返答には、単に承知した旨可申し伝えて置くこととは存じておりますが、「甲号」に対する「訓令」をお願いしているところですので一時差し控えております。
右申進候也
明治二十七年六月十日
臨時代理公使 小村寿太��印
外務大臣 陸奧宗光 殿
[別紙 甲号写]
文書題目 [六月 九日付 清国総理各国事務・王大臣が小村・日本国署理欽差全権大臣に送った日本軍の朝鮮出兵関連の回答 写本]
大清欽命総理各国事務王大臣 為
照復事本月初四日 准貴署大臣照会稱准
貴国政府箚開因朝鮮現有変乱派兵一隊応照両国定約行文知照等因前来査中国因朝鮮之請派兵助剿係保護属邦成例且専剿内地土匪事定即回現在仁川釜山各口情形安堵通商之地暫駐兵輸以資保護而已
貴国派兵専為保護使署領署及商民自無須多派且非朝鮮所請断不可入朝鮮内地致人驚疑更慮中国兵隊相遇言語不通軍礼各殊或致生事即希
貴署大臣電達
貴国政府為要為此照復須至照会者
右照会
大日本国 署理欽差全権大臣 小村
光�卞鷭叔�五月初六日
[別紙 甲号写] [日訳文]
文書題目 [日訳文]
四号
書簡をもって啓上します。
本月四日 (我が六月七日) 貴簡でもって、朝鮮国において現に変乱があるため若干の兵を派遺しなければならない件について、両国の条約に従いこの趣旨を知らせるべきと、貴国政府よりの訓命を受けられたとのことを御申し越しになったのですが、我が国では朝鮮の求めに応じて兵を派遺しその乱民討伐の援助をすすめる次第で、これは従来属邦を保護するという慣例があり、またもっぱら朝鮮内地の乱民を討伐するためであり、平定が終了次第直ちに引き揚げる予定で、目下仁川・釜山各港の模樣は静穏であるが、通商の地ですのでその保護のため暫く軍艦を止め置いているだけです。
貴国より兵を派遺されることは、専ら公使館・領事館および商民を御保護なさるためでしょうから、申すまでもなく多数の兵を御派遺なさる必要はなく、また朝鮮よりそれを請求したということでもないので、決して朝鮮内地へ進入して国内の驚きや疑念を起こされることのないようにいたしたく、さらに我が国の兵土と出逢い、言語不通、軍礼の差異があるため、ひょっとすると不慮の事件を生ずるような場合もあるのではないかと心配しておりますので、以上の趣旨を貴下より貴国政府へ電報にて御申し送りいただきたく存じます。以上、回答致します。敬具。
光�卞鷭叔�五月六日(我六月九日)
清国 総理各国事務 王大臣
日本 臨時代理公使 小村寿太�� 貴下
[別紙 乙号写]
文書題目 [六月 九日付
清国総理各国事務・王大臣が小村・日本国署理欽差全権大臣に送った日本軍 朝鮮の出兵関連の 照会 写本]
大清欽命総理各国事務王大臣 為
照会事案査光�匳衆貲�中日議定専条内云將来朝鮮若有変乱事件中国要派兵応先行文知照事定仍即撤回不再留防等語前月抄北洋大臣接朝鮮政府文開全羅道所轄民習兇悍付串東学�拡梟椽姐駈�縣邑又北竄陷全州前遣練軍往剿失利儻滋蔓日久貽憂於上国者尤多壬午甲申弊邦両次内乱咸�鮹翊�兵士代為戡定玆援案懇請酌遣数隊速来代剿俟悍匪挫殄即請撤回不敢續請留防致天兵久勞於外等情当由北洋大臣奏派直隷提督華志超太原鎭�以惹稘收�選帶勁旅馳往朝鮮全羅忠清一帶相機堵剿剋期撲滅務使属境又安一俟事竣仍即撤回並飭海軍提督丁汝昌派済遠揚威両船赴仁川漢城護商業由北洋大臣電致出使貴国
汪大臣知照
貴国政府在案相応再行備文知照
貴署大臣査照可也須至照会者
右照会
大日本国署理欽差全権大臣 小村
光�卞鷭叔�五月初六日
（私訳）
大清欽命総理各国事務・王大臣は問い合わせます。
光緒11年の中日議定書の該当条文を調べたところ、「将来朝鮮で変乱事件があって中国が派兵する必要がある時には当然先に書面で知らせ、平定されれば撤兵して再び駐留しない。」という文言がありました。それで先月北洋大臣が受け付けた朝鮮政府の公文書を抄録してみると、「全羅道（チョルラド）監察所轄の道民たちは習性が凶悪で荒っぽく、東学教匪に符合して群れをなして県邑を攻撃し陥落させました。また、北に移動し全州城（チョンジュソン）を陥落させたので、訓練された軍士を送って掃滅したのですが、損失が日増しに増え長い間騒々しい状態が続くので、中国に憂慮をもたらすことが非常に多いのです。
1882（＊壬午軍乱）・1884年（＊甲申政変）に起きた我が国の二回の内乱の時にも、皆中国援兵に依頼して我々の代わりに平定させたが、今また書簡で数個部隊の兵士を派遣して我々に代わって平定していただくことを懇請します。こうして凶暴な土匪が平定され世間が鎮静化されれば直ちに撤兵を求め、あえて引き続き駐留防衛することを求めて中国軍兵が永らく国外で苦労されることがないようにします。」といいました。
この要請に答え直ちに北洋大臣を経由して派兵を要請させ、直隷提督・葉志超と太原鎮�以次�聶士成に勇敢な兵丁を選定させ、これを率いて朝鮮の全羅（チョルラ）・忠清（チュンチョン）地方に急行させて土匪たちを掃蕩しこれらを必ず撲滅して、属邦が再び平安になるように努め、任務が終われば直ちに撤収するようにしました。
合わせて海軍提督・丁汝昌に命じて、済遠・揚威二つの軍艦を仁川・漢城に送って商人を保護するようにしました。これはすでに北洋大臣に電報を送って貴国に駐在する汪大臣に照会するようにした案件がありました。
これに伴い、再度貴国政府に文を備えて問い合わせるので、貴大臣はお調べになって照会されることをお願いします。これに対し照会します。
これを大日本国署理欽差全権大臣・小村に照会する。
1894年5月6日
[別紙 丙号写]
文書題目 [六月 十日付 小村公使の陸奧 外務大臣に宛てた清国総理衙門 回信 内容報告写本] ＊北京・小村臨時代理公使から陸奥宗光・外務大臣へ
Komura
to Mutsu.
Peking June 10th 1894. 7.30. a.m.
The reply to my communication of 六月七日 received from 総理衙門 六月九日 is as follows;
The despatch of troops from China at the request of Corea is in accordance with precedent of protecting tributary state and solely for the purpose of destroying rebels in the interior. They will be withdrawn immediately after the matter is settled.
Although the actual situation at 仁川 and 釜山浦 is quiet, Chinese men of war will be stationed at such open ports for the time being, merely as measure of protection. As Japan despatches troops exclusively for the protection of her Legation, Consulates and merchants, it naturally follows that a large number of them is not required, and moreover having been despatched without the request of Corea, they should absolutely abstain from proceeding into the interior, hereby causing the excitement of the people.
It is further apprehended that if they meet with Chinese soldiers, complications may arise in consequence of differences in language and military etiquette. I am requested to telegraph the above to my government. Another communication received on the same day states that 日本清国公使 has been instructed by telegraph to announce the despatch of Chinese soldiers. Shall I protest against the first communication? I ask for immediate instructions.
（私訳）
6月7日付本人（＊私）の通告に対し、6月9日総理衙門から受取った回答は次の通り。
「朝鮮の要請による清国軍隊の派遣は属邦を保護する前例従ったもので、もっぱら朝鮮内部の反乱を鎮圧するためのもので、事態が解決すれば軍隊は即時撤収する。
仁川と釜山浦の現在の情勢は平穏であるが、清国将兵は単純な保護措置としてこれらの開港に当分間停泊する。
日本はもっぱら公使館・領事館及び商民たちの保護のため軍隊を派遣したのであるから当然大規模兵力は必要ではなく、さらに朝鮮政府の要請のないまま派遣したのであるから内陸へ進入してそのため民衆を刺激することは絶対に避けなければならない。
さらにまた日本の軍人たちと清国の軍人たちとが遭遇したとき言語や軍隊の礼節の差異から紛糾の発生も心配される。」
本人（＊私）は上記の内容を本国政府に電送するようとの要求を受取った。
その日清国軍隊の派遣通告訓令を日本駐在清国公使に電送したとのまた別の通告を受けた。 最初の通告に対して本人（＊私）がどう対処すべきか、即刻訓令をお願いする。
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