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2017年06月24日11:19

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愛とは何でしょう。「私の求めているものに比べれば 金銀も美女もつまらない物だということです」

私の好きな漫画の「ヴィンランド・サガ」は、「プラネテス」でも知られる「幸村 誠」先生の作品です。

連載当初は「週刊少年マガジン」で始めるも、作者の執筆が間に合わないという事でわずか半年ほどで「月刊アフタヌーン」にて連載を再スタートさせています。

さて、今回はヴィンランド・サガより「愛とは何か?」という究極の問いに答えているシーンを紹介しましょう。


愛とは果たして何でしょう?
もしかしたら、聖書とかに載ってるのかな?
私はキリスト教徒ではありませんが、胸に刺さるセリフなのでどうぞご覧ください。


愛とは何か?愛とは。

このシーンは、第4巻から始まります。

それまでの話は省略します。

主人公の属するアシュラッド兵団は敵の軍隊からクヌート王子と王子の教育係であるラグナル、そして一人の神父を奪還。

敵の軍隊に追いつかれないよう撒きながら味方の領土へと帰還する最中の話です。

行軍の最中、兵達は口々に褒美の話をしていました。

それもそのはず、一国の王子を救ったのですから、それなりの報酬を期待しない訳がありません。

アシュラッド軍団の兵士たち

「けっこう苦労してんだ
農場のひとつも もらいたいもんだな」

「カッチョイイ剣とか」

「オレは銀がいい!これっくらいの大ダル一杯に銀がつまってたらサイコーだね!」


神父が欲しい物



神父は、元々王宮に努めており、王宮というものを想像すらできない一般兵達は神父に聞きました。

兵「王の家にはどんな物があったね?」
神父「・・・」

この問いに神父はこう答えます。

神父「これといって価値のありそうなものはなかったですよ」
これには、皆もびっくり!

兵「ウソ!?美女も!?」
神父「あー女性の奴隷はけっこういましたねー」

兵「女に興味がないのか?」

普通の男だったらハーレムに憧れる気持ちくらいわかるはずです!

しかし、神父からはそっけない返事しかありません。

神父「私の求めているものに比べれば
金銀も美女もつまらない物だということです」

兵「ぜひ教えてくれ

一体そりゃア何なんだ?」

そこで、神父は改まってこう答えます。

神父「愛です」


ラグナルの死

逃亡の最中、味方だと思っていた仲間の策略により、クヌート王子の教育係だったラグナルが殺されてしまいます。

絶対の信頼を置いて、何処へ行くにもいつも一緒だったラグナルを突然失い、目の前が真っ暗になる王子。

そして、懸命の逃亡も虚しく敵の追っ手にかかってしまう。

どちらの勢力も欲しいのは「クヌート王子の身柄」

激しい戦いの中で、クヌート王子はある夢を見ます。

ラグナル「・・・殿下
クヌート殿下・・・」

クヌート王子「ラグナル・・・! お前生き・・・・

・・・これは・・・夢なのだな?ラグナル・・・」

ラグナル「・・・はいお別れを申し上げに参りました」

ラグナルの最後

ラグナル「私めは・・・あなた様の教育係として失格でした」
ラグナル「あなた様を王者としてではなく ごく普通の・・・

それこそ農民が我が子を育てるがごとくにして参りました」

クヌート王子「僕は!王家になど生まれたくはなかったんだ!」

クヌート王子「僕はっ お前の子に生まれていたら

どんなに・・・よかったかと・・」

惜しい

夢から覚めた王子の目に映ったのは、仲間同士で殺し合う姿でした。

追っ手から逃げきれないと踏んだ者たちが、王子を手土産にして降伏しようと企んだのです。

神父「お体 痛みはございませんか?」
そんな中、神父は呑気に酒を飲みながら戦いの行く末を見守っていました。

クヌート王子「夢を見た ラグナルの夢だ」
クヌート王子「別れを告げられた

死んでまで律儀な男だ」

クヌート王子「もうこの地上に私を愛してくれる者はいなくなった」

神父「それは 大いなる悟りです。だが惜しい」


ラグナルの過ち

神父「ラグナル殿のあなたへの思いは愛ですか?」
神父「彼はあなたの安全のために62人の善良な村人を見殺しにした」

神父「殿下 愛とはなんですか?」

そうです。

実はラグナルは、逃亡の最中に食料調達のため立ち寄った村を襲撃し、口封じのために皆殺しにする姿を見過ごしていたのです。

もちろん、ラグナルが手を下したわけではありません。

しかし、王子の身を考えるあまり、食料調達・情報漏洩を防ぐにはそれしかないと容認していました。

ラグナルは王子を真の意味で愛してなかった



クヌート王子「ラグナルは私を愛していなかったというのか?」
神父「・・・・はい・・」

クヌート王子「・・・ならば問うのは私のほうだ

ラグナルに愛がないのなら 正しく愛を体現できる者はどこにいるのだ」

神父「そこに居ますよ ホラ」

そこで見たのは、一体の遺体でした。

神父「彼は死んでどんな生者よりも美しくなった
愛そのものといっていい」

神父「彼はもはや、憎むことも 殺すことも 奪うこともしません
すばらしいと思いませんか?」

神父「彼はこのままここに打ち捨てられ

その肉を獣や虫に惜しみなく与えるでしょう」



クヌート王子「・・ならば親が子を・・夫婦が互いを、ラグナルが私を大切に思う気持ちは 一体なんだ?」

神父「差別です 王にへつらい奴隷に鞭打つこととたいしてかわりません」


凄い言葉だな・・。

今まで、愛だと思っていたものは、ただその人のことを大切にしたいと思っていただけで愛では無かったんですね。差別です。勿論、多くの人は差別は良くないと言うでしょう。


ですが、どんな人でも、見ず知らずの人と家族や恋人だったら絶対、家族や恋人の方を優先しますよね。


その後のやりとり
その後はこう続きます。

神父「ラグナル殿にとって王子殿下は他の誰よりも大切な人だったのです。おそらく彼自身の命よりも」

神父「彼はあなたひとりの安全のために62人の村人を見殺しにした 差別です」


ここで、クヌート王子の中で何かが変わりました。

王子の覚醒です。

クヌート王子「そうか、わかってきた・・・まるで霧が晴れていくようだ・・・」

そして、地面に積もった雪を持ちこう話します。

クヌート王子「この雪が・・・愛なのだな」
神父「・・・そうです」

クヌート王子「なんということだ・・・世界が・・・神の御技がこんなにも美しいというのに・・人間の心には 愛がないのか」


愛とは何なのか?家族が伴侶や子供を大切にしようと思う心は、本物の愛ではなく、他者を差別し、王や貴族・いまで言うと会社の上司などに媚びへつらい、部下に鞭打つ・パワハラセクハラすることと大差ないのでしょうか?

勿論、上司が間違っていたら、それを進言したり、部下を大事にする人も多いでしょう。

ですが、それも本物の愛ではないのでしょうか?部下を大事にする人は、部下じゃない人たちは無下に扱う・・・例えば、企業の求人での圧迫面接。採用するまでは赤の他人なんですから、そこに愛など無いでしょう。

もし、コネで採用を決めて、それ以外の人を落とすのなら、まさにそれは間違った差別です。厳正な基準と称して、学歴で選ぶなら、それも学歴差別です。


なんだか、難しい話でしたが大筋は分かっていただけたかと思います。

愛って難しいですね。

「性悪説」でしたっけ?

「人は生まれながらにして悪である」

だから、どんなに善行をしたとしてもそれは全て裏のある偽善でしかない。

とかなんとかいう奴です。

人の心には愛はなく、あるのは差別だけって事ですね。

もし違うという人がいるのなら、今すぐ家族と縁を切り全財産を慈善団体にでも寄付しなさい。まあ普通の人はそんな事できませんよね。


それが出来なければ、その人の言う愛など偽善でしかないのです。

いまもアフリカなどでは戦争や飢餓で倒れている人がたくさんいます。国連だの「ユニセフだのが「マンスリーサポートプログラム」と称して、人々から寄付を集っています。

ですが、その集めた寄付は、日本ユニセフなどでは半分以上が運営経費・役員の報酬などに消えて、現地に行くのは僅かなものです。

現地の人たちだって、本当の愛がなく、わが身、家族が大事で援助を独り占めにしたり横流しして蓄財する人たちが居ます。

まあ、いまの日本にも、家族を大切にするのは当然の概念なのに、育児放棄や虐待などで自分の子供を傷つけるバカ親もいますが、そういう連中は、家族より自分が大事という犬畜生にも劣る屑ですね。


さて、話を戻します。

クヌート王子は父であるスヴェン1世から死ぬことを望まれていたのです。

この当時は流行病などがたくさんあり子供が大人まで育たずに病死することはザラでした。また王の一族は権力争いで暗殺されることもしょっちゅうです。クヌート王子には兄がおり、その兄が無事に成長した今、跡目争いが起きると困ると父王にとってクヌートが生きていることは邪魔でしかないのです。かといって自らの手で王子を暗殺するのは王としての評判が落ちるので躊躇います。

だからこそ、強敵相手のしんがりの大将を命じたのです。

ところが、一度は負けはしたものの、この戦闘のあと、敵の大将(まあもともとデーン軍から「俺より強い奴と戦いたい」との闘争本能だけで裏切っただけなんですが)を味方につけて、父王スヴェン1世の元にクヌートは帰還します。

スヴェン一世にしたらあてが外れた気分です。親子の間にもはや愛情など在りません。

そして、親子の対面、父王は息子に隠居するか死を選ぶかと脅します。

まあ、その後、主人公の宿敵かつ軍団のリーダーだったアシュラッドが暴走し、スヴェン一世をヤッチャイマス。

なんだかんだでクヌートは王位の半分を引き継ぎ、イングランドの王になります。
そして、兄であるデーンマーク王になったハラルドも暗殺し北海帝國を打ち立てます。

その後、クヌートは変死した父王、スヴェン1世の亡霊にたびたび悩まされます。




海老蔵が号泣会見「ずっと一緒にいたかった」
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=84&from=diary&id=4634972
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