18940715 NO848 その９ 事局は既にここに至った。将来不測の事態が生ずることがあったとしても日本帝国政府はその責任を取る事はできない。
http://db.history.go.kr/item/level.do?levelId=jh_003_0040_0060
駐韓日本公使館記録 3巻 四. 東学の乱と日清関係 参 (6) 朝鮮の善後策に関し日清両国妥協の事 ならびに諸外国の調停及び独力で朝鮮内政を改革するよう勧告の事 その９
七月八日に内務督辦・申正凞、同協辦・金宗漢、曹寅承の三名を改革取調委員に任命し、国王は内乱の原因を有司の失職（＊職を誤ること）と自身の不徳とに帰し、大いに弊政を改革しようと決意して次の詔勅を発した。
＊失職（百官有司奉法承令、以脩所職、失職有誅、侵官有罰。 全ての役人は法を奉じ令に承服しこれをもって職をまっとうし、職を誤れば誅罰を受け、官を汚せば罰があるのだ。
http://kanso.cside.com/yuukyou01.htm）
伝曰凡百為治之要惟 在乎懋実心与実政而已
惟予宵肝勤孜只是為民為国而迄不従欲愈遣其叢脞国計日益難絀民生日益困瘁騷訛胥興人心靡定駸々然莫可收拾者皆由予丕徳不克式干祖宗成憲綱紀不立恬嬉成習賞罰未信奸細多岐
今日為財而未有定規
用人任人 或非其材 百度（＊あらゆる制度や規則）隨以墮惰然
而内而凡百臣僚外而示伯守宰亦無職其職耳
長吏之多貪汚 而按廉之地袖手 而不欲斥黜有司所事之不勝任 而臺閣之臣 噤口而未聞謇諤所言者徒帰彌文所事者 惟是姑息 以至今日若是而国何以為国乎
予誠自顧慙恧 而亦不能無慨歎寒心者矣 苟非大更張大懲創 莫以矯積久之弊莫以振委靡之風此不在廟堂之責乎 其自廟堂会議 銓臣 将臣 材賦之臣 可以捄可以革可以罪凡係政府得失者各令条陳無或有隱隨即稟明施行其或当言而不言罪在所司言之而不亟従亦即予之過也其各悉心対揚無罹干罪予言不再
（私訳）
すべての政治の要諦は真心に努めと真心の政治に努めるところにある。 私が昼夜なしに取り組んできたことはひたすらこの民と国のためにあったが、いまだに思い通りにならなかっただけでなく、雑多なことだけ多くなって、国の策略は日増しに窮して、民生は日増しに辛くなり、騒乱と根拠のないうわさが一緒に起きて、民心が安定を失って、ますます収拾しにくくなった。
これら全ては私が不徳で代々引き継いできた法度をしっかり守ることができないところに基づくことで、政治の大綱が確立することができなくて、安逸さが習性になってしまい、賞罰に信頼がなくて、悪賢さが様々で、今日では財政に一定の規約がなく、人を起用し任命することにおいても、あるいは人材でない者があって、これに伴いあらゆる制度や規則が崩れてしまっている。
そして内では諸般の官僚と、外では方伯（＊방백、観察使）、守宰（＊수재、受領）に至るまで、その職責をつくすことがないのが実情であり、管掌（＊守令）や衙前（＊官庁の下級役人）の不正が多いのに、清廉だということを探らなければならない地位にある者が自分で手を下すことを嫌って傍らで見ているだけで追い払おうとせず、役人たちがことをまともにやり遂げられずにいるのに、内閣の臣下は口を閉じて直言をせず、話すことは取るに足りない弥縫策だったりしてただ目の前の安易なことだけ探す。このようにして今日に至ったのであり、これでは国がどのように国の役割を果たすことができようか。
私は自分自身をかえりみると、まことに恥ずかしく、また慨嘆と情けなさを禁じ得ない。 真に大更張（＊ゆるんでいた物事を大いに引き締めて、盛んにすること）、大懲創（＊大いに懲罰を与えること）なしでは、このように長く積もった弊害を直すことができず、このようにもつれてしまった風紀を正すことができないが、これは朝廷の責任があるのではないか。
朝廷で��臣(吏判 ＊吏曹判書の略称)・将臣(兵判 ＊兵曹判書の略称)・材賦臣(戸判 ＊戶曹判書の略称)の会議を招集し、正すことは正して、罰することは罰して、政府の得失と関係する全てのことはそれぞれ条目に掲げて陳述し、あるいは隠さず直ちに明らかにして施行しなさい。
万一当然報告すべきことを隠した場合、その罪は官吏にあるのであり、命じたのにすぐに従わなければその過ちはすなわち私にあるのであるから、それぞれ誠意をつくして一層力を尽くして、罪に抵触することが無いようにせよ。予言不再。
（私訳 終わり）
韓廷がこの処置に出たのは、多分清使・袁世凱にそそのかされて、一時こちらの攻撃を避けるための姑息の策にほかならないので、大鳥公使の七月十日及び十一日の両日、南山麓にある老人亭に朝鮮政府の改革取調委員と会い、改革綱目を説明し次の「定期実行案」を示した。
○次の事項は十日以内に決行すべきものとする。
一. 内外庶政を総理する機務はすべてこれを議政府に返し、六曹判書にそれぞれその分職を守らせ、また勢道執権の弊制を廃止すること。
一. 内外政務と宮中事務とを判然と区別し、宮中に奉仕する官吏には一切政務に干涉させないこと。
一. 外国交涉の事宜を重んじ、国家に代わってその責任を持つ大臣にこれを主宰させるべきこと。
一. これまでの格式を打破して広く人材を登用する門を開くこと。
一. 売官の悪弊を止めさせること。
一. 官吏の收賄し銭を求める悪習を厳禁すること
一. 京城と要港との間に鉄道を設置し、また全国重要の城市に通ずる電信を架設して通信往来の便を開く事
但し鉄道・電信の二工事は十日内に起工の決議を為し、準備出来次第其工を起すものとす。
○次の事項は六ケ月以内に決行すべきものとする。
一. 政事を施行するために必要な官庁を打ち立て、その他はすべて廃止し、または甲官庁の事務を乙官庁に合併して簡便に編成すること
一. 現在の府郡県制度はその数が多すぎるので、よく考慮してこれらを廃合し、民治に妨げがないまでの少数に止めること
一. 事務執行に必要な官吏員を残し、その他の冗員は整理すること
一. 時勢を考慮して官吏の俸給を定め、生活を助け、高潔を養うために差し支えがないようにさせること
一. 地方官吏が個人的な感情をもとに事務をすすめようとする傾向を正す法律を設けること
一. 国家の收入および支出を調査しその計画を立てる事
一. 会計出納を厳正にする事
一. 貨幣制度を改定する事
一. 不必要の支出を減らし、ならびに收入増加の方法を講ずる事
一. 外国貿易のために開かれた各港にある税関は、必ず朝鮮政府自らがこれを管理し他国の干渉を容れない事
○次の事項は二ケ年内に決行すべきものとする。
一. 各道の田畝を精査し租税を改定する事
一. その他の諸税法を改正し、あるいは新税を設ける事
一. 国道、要道を推し広めまた平坦に調える事
一. 旧法中時宜に適さないものは概ねこれを廃止し、あるいは新法を制定する事
一. 裁判法を改正して司法の公正を明らかにする事
一. 士官を養成する事
一. 旧式水陸兵はすべて廃し、今後財力の許す範囲で新式兵を増置する事
一. 京城および各城邑に厳正なる警察を設ける事
一. 時勢を考慮して学制を新定し、各地方に小学校を設立し子弟を教育する事
（＊ 一 小学校の設立を準備するのを待って、次第に中学及び大学を設立する事。）
一 学生中俊秀なる者を撰抜して外国に留学させる事。
これらの実行を迫ったが、委員たちはしきりに不同意を唱え、「期日を限り実行を促すことは内政干渉の嫌いがある。もし干渉しようとするのであれば、国とともに倒れるとしても従う事はできない」と主張し、公使の「期日を限って実行を促すのも勧告である。決して干渉ではない。そしてその勧告を聞き入れるかどうかはもとより朝鮮政府の権限内にある」との説明を与えてやっと委員などはやっとその意志を理解して帰っていった。
しかしながら朝鮮政府は清使・袁世凱に干渉されてぐずぐずためらい容易に決断することができなかった。
この間、在北京・英国公使は、清国の依�鬚鳳�じ在日本・英国代理公使を経て「もし日本帝国の意思が、朝鮮国の自主権及び内乱予防の事項を話し合うに止まり、清・韓両国間の隷属問題にくちばしを入れるのでないのならば、清国政府は日本帝国政府の提議に基き開談することを拒まないだろう」と伝達した。
帝国政府はこれに答えて「清国政府が朝鮮改革のため両国協同委員を任命することに同意を表明すれば、再び開談することもできる」と伝えた。
思うに我が国が�醉討任△襪里呂△�までも東洋全局の平和を望んでいるからである。
在北京・公使は帝国政府の意志を了解し、清国政府に先ず提議をさせることを承諾させ、在北京・小村臨時代理公使に清国の大臣と面談させたところ、清国の大臣は意外にも先ず「在朝鮮の両国兵員を撤退すること」を主張し、「撤退の後でなければいかなる協議もできない」と断言した。
我が政府はここに及んでまた前言を反覆する必要がないことは知っていたが、特に七月十二日、在清・日本帝国公使に電訓を送り次のように答えさせた。
「朝鮮国における内紛・変乱がしばしば起こる理由はその内政がおさまらないことに由来する。したがって日本帝国政府は韓国政府にその内政を改良させ、それによってその変乱の根源を掃絶させるしかないと信じる。
そしてこれを実行させるには朝鮮国と痛痒の関係を共有する日・清両国から助力を与えるほかないと考え、これを貴国政府に提議したのだが、思いもかけず貴国政府ははっきりと我が提議を退けられ、そしてただもっぱら日本の撤兵を促した。
また貴国駐箚・英国公使が貴我両国に対する友情を重視し、好意をもって仲介し、貴我の対立を解決しようと努めたのだが、貴国政府は依然として我が撤兵を主張するばかりで、いっこうに我が帝国の意見を容れる様子が見られない。
これは貴国政府か事を好んでいるのでなければなんであろうか。事局は既にここに至った。将来不測の事態が生ずることがあったとしても日本帝国政府はその責任を取る事はできない。」
清国はこの回答に接しても、やはり日本の妥協に応ずるように、また応じないように、ゆっくりと日本帝国の挙動と韓廷の処置とを観望している。
清国との応答はこのようなもので空しく時日を費やす間、朝鮮政府は弊政改革のために七月十五日校正庁を設置し、総裁六名委員十五名を任命した。その人名次の通りである。
総裁官 領府事 申応朝(＊1804〜1899)
同 領議政 沈舜澤（＊1824〜1906）
同 判府事 金宏集（＊1842〜1896 朝鮮の近代化の必要性を痛感し、1894年7月より甲午改革と称される内政改革に着手した。その内容は、科挙廃止を含む政治機構の改革、財政・税制面での改革など多岐にわたるものであった。1896年、反金弘集の立場をとる親露派両班の主導で民衆が蜂起、「朝鮮人のために殺されるのも天命である」として避難することを潔しとしなかった金弘集は民衆によって撲殺された。遺体は市中を引き回され、ボロ布のように扱われたという。）
同 領敦寧 金炳始（＊1832〜1898）
同 左議政 趙秉世（＊1827〜1905 1889年に右議政を、1893年に左議政を歴任。1894年の甲午改革で政治形態が変更されると辞職し、しばらく加平郡で隠遁生活を送った。1905年に大日本帝国・大韓帝国間で第二次日韓協約が締結されると、協約を締結した朝鮮側の政治家5人(後の乙巳五賊)の処刑を皇帝に申し出たが、日本の介入により失敗した。その後、閔泳煥らとともに宮廷に留まり協約の破棄を主張し続けたが、日本軍により解散させられ、これを不服とした趙は自害した。
同 右議政 鄭範朝（＊1833〜1897）
堂上官 中樞府事 金永壽
同 戶曹判書 朴定陽 （＊1841〜1904 1887年 協弁内務府事を経て、駐米全権公使に任命された。しかし袁世凱の圧力に出発を延期したが、その年の末に清国の妨害を顧みず米国大統領クリーヴランド（Cleveland, S. G.）に信任状を呈上した。続く清国の圧力で1889年に帰国。1892年典圜局管理、1894年戸曹判書・校正庁堂上・漢城府判尹を務めて、甲午改革で軍国機務処が新設されると会議員になった。この年11月第2次金弘集内閣の学部大臣となり、1895年金弘集内閣が崩壊すると、内閣署理大臣に就任し乙未改革を推進。同年7月内閣署理大臣を辞任して第3次金弘集内閣の内部大臣になり、1896年ロシア公使館播遷で金弘集が殺害されると、内部大臣で総理大臣署理と宮内府大臣署理を兼任した。この年9月内閣が議政府に改編されると参政大臣になった。1898年独立協会が主催する万民共同会に参席し、施政改革を約束するが守旧派の反対で挫折した。 同年11月皇国協会が暴力で独立協会を弾圧した事件が起こり、内閣が更迭されると再び内部大臣となった。朝鮮末期の不偏不党たる穏健中立派として進歩的開化思想を持って李商在等開化派人士たちを世話した。）
同 兵曹判書 閔泳奎 （＊1846〜1922）
同 大護軍 李裕承
同 同 金晩植 （＊1834〜1900）
同 漢城判尹 申正凞 （＊改革委員 1833〜1895）
同 吏曹判書 尹用求 （＊1853〜1939 1871年文科に登第し官職が礼曹・吏曹判書に至った。1895年乙未事変以後で法部・度支部・内務部などの大臣に十数回拝命されたが就任しないでソウル近郊の獐位山に隠居しながら‘獐位山人’と自ら称した。日韓合邦後日本政府から男爵を授与されたが拒絶して書画とコムンゴ、碁で自誤しながら杜門不出、世の中の事を避けた。）
同 大護軍 趙鍾弼 （＊1840〜 ? ）
同 協辦内務府事 沈相�癲福�1854〜1907 1884年甲申政変で高宗一行が景祐宮に臨時の居所として留まっている際に、京畿道観察使として景祐宮に行き、開化党に加担する振りを装いながら王と閔妃に密通し、事大党の人物と謀議して清の袁世凱・呉兆有を動かして行動を開始させ、独立党の革新政府を崩壊させた。同年忠清道観察使として東学教徒弾圧の先頭に立ち、1893年吏曹判書を経て、翌年宣恵庁堂上に昇った。1895年三国干渉以後、親露的傾向にある守旧党内で宮内府特進官の職責を担った。）
同 同 金宗漢 （＊改革委員 1844〜 ? ）
同 同 曹寅承 （＊改革委員）
同 同 金思徹
同 同 魚允中 （＊1848〜1896 어윤중 開化派。1894年からの甲午改革では，金弘集内閣で財政を担当。1895年内閣瓦解の際，乱民に殺された。）
��庁 副司果 金班鉉
同 同 鄭寅杓
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