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2016年12月11日17:14

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うなぎのいろいろ

この1週間、ずっと東京に出張してた。

で、昼はやけに緊張する会議やら、出てればいいだけの会議やらなんやらの日程をこなして。

夜は年末のこの時期なので、大抵飲み会が入ってた。

こちらも気のおけない仲間との楽しい会やら、職場の義理掛けやらなんやら。

店は銀座やら丸の内やらが多くて。

大阪なら料金半分ですむなあ、せめて新橋か八重洲にすればもっと安い店がいっぱいあるのにとか思いながら、そうはいっても東京の夜を満喫した。


でも、今回の遠征で一番美味いと思った食事は、実は自宅で供された料理だった。


こないだの日曜日の夕餉がうな丼だったんだよ。

妻  「今日は息子たちが二人ともいないから、とっときのを出すわ」

僕  「おっ、もしかして国産?」

妻  「そう、一尾だけなので、二人でわけるとちょうどよいのよ」

僕  「う〜む、2千円前後だな。スーパーの魚売り場でいつも横目に見てた」

妻  「ピンポ〜ン」


鰻を食したのは随分ぶりだった。 これが脂がのって実に美味かったのだよ。

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僕  「息子が一人でも帰ってたら、うな玉丼になってたところだな」

妻  「まあ、そういうことね」

我が家では鰻というと、たいていこれになる。 

鰻の身を小さくしてすませられるのが主因だと思われる。

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この鰻の蒲焼という料理。

我が浦和では名物になっている。

うなぎ祭りというイベントが毎年開催されるほどだ。

右の写真に写ってるのが街のマスコットのうなこちゃん。

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我が家から歩いてすぐのところにも、大きいのと小さいのの二つの鰻屋がある。

特にちっさい方の店がみてくれはさえないながら、昔からここで頑張ってるぜ的な風情があって、なかなかよい感じでね。

いつだったか一回入ってみたら、実際よい店だった。

オヤジさんが一人で腕を振るっていて、お手伝いのおばさんが横のテーブルで洗濯物を片付けたりしててね。

で、僕はおばさんに年来の疑問をぶつけてみた。

例えば、蕎麦屋のもりとざるは一見同じだけど、後者には刻み海苔がかけられているという違いがあるので、値段にも違いがある。

しかして、うな重とうな丼にはそういう違いはあるのだろうか。

そしたら、簡にして要を得た答えを返してくれた。

中身は同じで器が違うだけだと。

まあ、そこまで率直に教えてもらったからには、礼儀として高い方のうな重を頼んだけどね。

美味しかったよ。

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こういう風に人生の中では、ふとしたことで長年の疑問が氷解する瞬間というのがある。

mixiをやってると、特にそういうのが多い。

蒲焼という料理は東と西では根本的な相違がある。

大阪のまむしは素焼きで、江戸前は蒸してから焼く。 

これは常識の範疇で、僕は後者に軍配を上げるけど。

どっちかが背開きでどっちかが腹から割くという話を聞いてて、それがごっちゃになってた。

いつだったかそれを話題にしたら、マイミクの十九淵寅平さんがすぱっと教えてくれた。

武士の街の江戸前が背開き。 なぜなら腹から割るのは腹切りに通じるからだと。


ということで、僕もうなぎに関する豆知識をいくつか開陳したい。


かのスノッブの大家、伊丹十三が食に関する座右の書としていた子母沢寛の「味覚極楽」には、こんな一節がある。

おみやげにもって帰った鰻の蒲焼を蘇らせる術として、土鍋にいい酒を入れて強い火をかけたところに蒲焼を入れた後に静かにたれをかけて食べると、あたたかくやわらかくなかなかうまいということをこまごまと述べた後の文章。

「日本の料理として本当に自慢出来るのは、まずこのうなぎ、それから天ぷらにさしみ。」

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子母沢があげた三大日本料理の中で、天ぷらとさしみは寿司なんかと並んで海外にも専門店が随分出てるように思うけど、鰻屋の話はあまり聞かない。

その大きな理由はあのタレにあるんじゃないかな。

だいたいの鰻の名店は先祖伝来のタレを門外不出にして伝承している雰囲気があるので。


もっとも先祖伝来と言っても、その歴史はそんなに古くはないようだ。

僕の食の師匠、池波正太郎から教えてもらった。

江戸時代のある時期までは、うなぎは下賤な食い物だったそうだ。

師の代表作の一つ、「剣客商売」にそう書いてある。

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あれのレギュラーにうなぎの辻売りの又八というキャラがいる。

又八は頭はやや鈍いけど母親孝行のよい若者で、主人公の秋山小兵衛にかわいがられる。

その又八が売って歩くのがうなぎなんだよ。

これがぶつ切りにして焼いただけのもので、肉体労働に従事する人たちのエネルギー補給にうってつけという説明になってた。

蒲焼が開発されて武士や通人に喜ばれるようになったのは、それより後のことなんだと。


そういうガテン系な人らが集う店が赤羽にある。

鯉とうなぎのまるます家 総本店

孤独のグルメ第4話「東京都北区赤羽の鰻丼」に登場する店だ。

井之頭五郎が赤羽で朝の商用をすませてスーツ姿で飛び込むと、周りは朝から飲んでる職業不詳のおっさんたちで満員でくらくらさせられる話。

で、僕も相棒のろまさんと何回か行ったことがあるんだけど、まさに漫画通りの店だった。

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で、僕らは井之頭五郎と違って昼から酒を飲むために出向いたし、休日のジージャン姿だったので、すぐにワイガヤな周りに溶け込んで楽しく過ごした。

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で、最後だけ五郎に習って、うな丼で締めるのを常にしてた。

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そのろまさんのホームグラウンド、中野に佳い鰻屋がある。

僕も何回も連れてってもらってるんだけど、なんかはずれの方の路地にあっていつもわからなくなっちゃう。

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かつて、腋毛を伸ばして話題になったAV女優がベランダから落ちてニュースになったホテルの並びといったらわかるかなあ。 わかんないだろうね。 この人なんだけど。

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鰻屋は実にいい感じのお店だよ。 

入り口はカウンター席で奥に座敷があってね。

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僕らはまずうなぎの串六品を頼んで摘みにするんだけど、これが絶品なんだ。

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最近行ってないなあ。 ゴルフ大好きのおねえさん、元気かなあ。


一方、ゴルフは苦手だけど漫画大好きの僕としては、うなぎといえばこのキャラは外せない。

僕は数ある赤塚不二夫キャラの中でも、かなり好感を持っている。

あの先生がよく使うキャラ立て、イヤミやニャロメみたいなキテレツな言葉遣いをトレードマークにしないで、味のある人柄だけで売ったところがなかなかよい。

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そのウナギイヌをご当地のマスコットにしているのが浜松市。

さすが本場というか、やなせたかし作の我が浦和のうなこちゃんより大分クールだと思う。

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僕の弟がいっときその浜松に住んでたことがあってね。 かの街でも評判のお店のうなぎを送ってもらったことがあるんだけど、あれはでかくて美味かった。 

未だにカミサンとの間で語り草になってるほどだ。


ということで、最後はその浜松が誇る夜のお菓子のCMソング。

うなぎのじゅもん  作詞・作曲・歌 ぜんぶ小椋佳



https://www.youtube.com/watch?v=nBMXxDg8Hlw
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