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2016年11月30日17:32

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黒人俳優の「無礼」に2つの反応 混じり合うか保守の二大潮流

 下記は、2016.11.30 付の産経ニュース【注目・ペンス次期米副大統領】です。

                       記

 ブロードウェーの人気ミュージカル「ハミルトン」を観劇したマイク・ペンス次期米副大統領(57)に対し、出演者の一人が舞台あいさつで政治的な発言をし、ドナルド・トランプ次期大統領(70)が謝罪を求める騒動に発展した。ツイッターでは観劇のボイコットを呼びかけるハッシュタグ(検索ワード)が登場したが、ペンス氏は「感情を害されることはなかった」と冷静に答えた。2人の反応は、トランプ政権の行方を左右する保守の2つの潮流を浮き彫りにした。

 劇場を後にしようとするペンス氏を引き止め、カーテンコールで政治的な発言をしたのは黒人俳優のブランドン・ビクター・ディクソン氏(35)。初代財務長官を務めたアレクサンダー・ハミルトンを描いたミュージカルで、ハミルトンの命を決闘で奪った副大統領、アーロン・バーを演じている。

 「多様な米国である私たちは、あなたたち新政権が、国民、地球、子や親たち、そして奪うことのできない権利を守らないのではないかという不安を持っています」。ディクソン氏からのメッセージを聞いたペンス氏は笑顔で手を振り劇場を後にした。観客からはペンス氏に対してブーイングも飛んだ。

■ブランドン・ビクター・ディクソン氏■ 米ニューヨーク・ブロードウェーなどで活躍する米国の役者。コロンビア大卒。幅広い役柄を演じ、米演劇界最高の栄誉であるトニー賞にノミネートされたこともある。

 ディクソン氏の政治的な発言に怒りをぶつけたのはトランプ氏だった。ツイッターに「ハミルトンの出演者が非常に善良なペンス氏に無礼を働いた。謝れ」などと繰り返し投稿した。

 米CNNテレビなどの主要メディアはディクソン氏の発言を礼儀正しいものだったと伝えたが、保守系FOXニュースの女性キャスター、ジニン・ピロ氏は「副大統領に講釈を垂れるな! あなたたちはヒップホップやダンスを舞台で踊ったりすることは少し知っているのかもしれないが」と批判した。

 ピロ氏は、ペンス氏に対するディクソン氏や観客の振るまいを白人への憎悪を広げる「逆人種差別」だと主張し、ハッシュタグ「ハミルトンをボイコットしよう(#boycotthamilton)」をチェックするよう呼びかけた。

 英領の西インド諸島から移民し、建国の父の一人に数えられるようになったハミルトンを描いたこのミュージカルは、多様性がテーマの一つで、マイノリティー(人種的少数派)が多く配役されている。バラク・オバマ米大統領(55)や民主党の大統領候補だったヒラリー・クリントン前国務長官(69)が絶賛したのも当然だ。

 ピロ氏は2人が観賞したときに出演者は政治的な発言をしなかったとして、公平性を疑ったが、たとえ制作者や出演者が民主党を支持していても、出演者が観客に不快感を与える発言をするなど非常識だ。

 しかし、ペンス氏の反応は違った。他の観客からのブーイングで劇場に迎えられたペンス氏は、同行していた娘たちに「自由とはこのように聞こえるものだよ」と教えた。

 騒動の後にFOXテレビに出演したペンス氏はディクソン氏の発言に問題はないとし、「支持候補が大統領選で勝たず、非常に落胆している人々がいることは理解している。トランプ氏は全ての米国人のための大統領になろうと心の底から考えているので、皆さんには安心してもらっていい」と語った。

■マイク・ペンス氏■ 米共和党の政治家。2001年からインディアナ州選出の下院議員を6期務め、13年から同州知事。トランプ次期大統領から副大統領候補に指名された。

 人気コメディー番組「サタデー・ナイト・ライブ」で、偽トランプ氏に「君のおかげで私は弾劾されないよ」と語らしめるほどの安定感をみせるペンス氏。下院予算委員長を経てインディアナ州知事を務めている経歴から共和党主流派、非主流派ともに顔が広い。ただ、新政権で力を発揮できるかはトランプ支持層の2つの潮流を統合できるかにかかっている。

 一つは既存の共和党指導部に代表される伝統的な保守層の流れ、もう一つは「オルトライト」(オルタナティブ右翼)と呼ばれる保守思想に影響されたトランプ支持層の流れだ。

 人種の違いを見つめようという「人種現実主義」の立場を取り、オルトライトの代表的な存在として民主党から「白人至上主義者」と批判されるジャレッド・テイラー氏は産経新聞のインタビューに、「オルトライトは共和党がいう今までの保守派に取って代わろうとする」運動であると説明する。

 オルトライトはオバマ政権の行き過ぎた平等主義に加え、2012年大統領選で共和党候補、ミット・ロムニー元マサチューセッツ州知事(69)がオバマ氏に敗北した後にラインス・プリーバス共和党全国委員長(44)がマイノリティー重視の党改革報告書をまとめるなどしたことで「白人のことを考えない」(テイラー氏)ことへの不満を強めていた。

 既存政治家への白人層の不満は、トランプ氏を政治経験や軍歴を持たない初めての大統領に押し上げる原動力となった。

 トランプ氏はプリーバス氏を大統領首席補佐官に起用する一方、首席戦略官兼上級顧問にスティーブン・バノン氏(62)を充てる人事を決めた。バノン氏は保守系ニュースサイト「ブライトバート・ニュース」会長からトランプ陣営に入り、選挙戦を率いた人物でオルトライトとの関係が深いとされる。

 「ハミルトン」出演者の政治的発言に対するトランプ、ペンス両氏の反応の違いは、トランプ、バノン両氏の強硬路線と、ペンス、プリーバス両氏の穏健路線が接点を見いだせていないことを暗示しているといえるだろう。
(ワシントン 加納宏幸)

. http://www.sankei.com/premium/news/161130/prm1611300005-n1.html
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