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2016年10月26日07:08

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「エドセルの愚」

 人工知能(AI)が話題になって居ます。これまでのコンピューターは「専門家が教え込んだデータを記憶して、データベースを作り、人間が決めた定義で解析し、出てきた結果を人間が見て判断する」という仕組みであったのに対して、人工知能(AI)は「機械が自ら定義し、自ら学習し、判断し結論に導く」として、「ロボティックス」や「IOT(物のインターネット)」{フィンテック」などに活躍が期待され、「スマートシティ」「自動車の自動運転」「生活介護ロボット」「工業用ロボット」「スパコン創薬」「信用調査」「個人認証・生体認証」「3Dプリンター医学応用」「仮想現実・3D投影」「先端医療機器」などのシステムが開発されつつあると言われています。お聞き及びの通り、アメリカでは「グーグル」が自動運転車を発表、2020年ごろには衝突回避・自動走行支援機能搭載の「完全自動運転車」が出て来るのではないかと言われています。日産は自動運転機能を搭載したミニバン「セレナ」を発売、アメリカの電気自動車メーカー「テスラ」はAIを使った高速道路走行向けの運転補助ソフトの配信を介したと報じられています。

 一方IBMの「ワトソン」というAI活用のコンピューターは、保険金の支払い業務を正確かつ迅速にするために「かんぽ生命」が導入し、他の大手損保会社でも導入の計画が持ち上がっていると言い、3台メガバンクでも「ワトソンの導入で顧客からの問い合わせの精度を上げる計画だ」と言います。このためにグーグルやアップル、フェースブックやマイクロソフトなどの大手IT企業はスペシャリスト集団である「ベンチャー企業」の吸収合併を繰り返し、2015年から2024年までの10年間で世界のAI関連企業の総売上高は56.1倍に急成長すると予測されています。このため今金融業界では、「グローバルAIファンド」と言う「投資信託」が脚光を浴びて、注文が殺到しているそうです。僕がなぜそんなに詳しいのか?それは証券会社のセミナーに行ってきたからです。

 さてここからが今日の本題。韓国の囲碁の名人がコンピューターの「AIシステム」に負けたから、急に人気が出てきたAIですが、だからと言っていくら優秀なコンピューターでも人間の頭脳に取って代わることはできません。所詮、コンピューターは人間の道具なのです。早い話がAIが「ノーベル賞級の発明ができるか?」と言えばできません。なぜならAIは過去の莫大なデータの中から特性や傾向を分析して、「最適解」を見つけ出すことは得意でも、まだだれもやっていない、データがない世界をAIが創造することは不可能なのです。さらに、表題に挙げた「エドセルの愚」が起きます。前に何度か書きましたからご記憶の方もいらっしゃると思いますが、アメリカの自動車会社フォードの2代目の経営者「フォード2世」が世界一の車を作りたくて、世界中の車のフロントグリルやテールランプ、バックミラーやバンパーなどのデザインの良いものを寄せ集めて車を作りました。その車は「エドセル」と名付けられ華々しく売り出されたものの、売れ行きはサッパリだったので、「エドセルの愚」として語り継がれているものです。

 つまり、結婚相手を「コンピューター相性診断」で選ばせるより、「合コン」で話してみなくては、本当の相手の良さは発見できないのであって、昔から「水清ければ、魚棲まず」と言われるように、「ヒトはきれいなものだけでは満足せず、玉石混交だからきれいなものに憧がれる」のです。世間でパステルカラーが人気が高いからと言って、パステルカラーの絵ばかりを描いていると世界中パステルカラーだらけになって、味気ない世の中になります。つまり人口知能(AI)はあくまで過去のデータの中から識別した傾向の中からしか組み立てられず、独創性のある、あるいは芸術性の高い「世界初」や「個性的な「個人のオリジナル」を描き出すことは困難だし、同時にそれが「エドセルの愚」のように大島優子の鼻と前田敦子の眼と沢尻エリカの唇と吉永小百合の耳を組み合わせても「美人」は生まれないと思うのです。

 であるならば、実際にAIが普及したときに、例えば自動運転車にみんなが乗った時に、交通停滞が起きれば、みんながAIの同じロジックでう回路を探し、そこでまた停滞が起き、一層停滞を倍増させる。例えばあなたが僕のように後期高齢者になって介護が必要になった時に、「優しい介護師」よりも「介護ロボット」の方を選ぶだろうかと思います。いくら僕につきっきりの介護ロボットで、深く学習してくれたとしても、ヘマもしない、毎回型通りの扱いしかしない、何の感動もない、「怒る」と学習して次回には仕返ししてくるようなロボットが本当に好きになれるだろうかと思います。

 確かに「ディープ・ラーニング」が始まれば、世の中は一変するでしょう。子供の教育でも「電卓の登場」で掛け算割り算の筆算が減ってしまったように、パソコンやワープロの普及で漢字の書き取りが減ったように、学習内容に大きな変化をもたらすかも知れません。でも決して人工知能(AI)が人間に取って代わり、人間の頭脳のすべての代役を務めるとか、AIが日本文化を創造すると言うような事にはならないのではないかと思います。

 と言う訳で、この「投資信託」への投資は見送ることにしました。それよりももっと具体的に「AIを使って今までできなかったことを可能にする」技術開発(例えば人間の手では困難な超微細手術機械のカプセルを飲み込んで、消化器の手術を外部からリモコンで操作する機械の開発)などAIを活用すれば実現できるのではないか?そのような「個別案件の夢」に投資したいと思います。「なんでもできる道具」は「専門道具」と同じ結果は得られない経験をいっぱいしてきましたから、いつもの専門道具を「小さく生んで大きく育てる」路線で堅実に対応したいものだと思います。
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