古戦場めぐり「関ヶ原の戦い�ぁ�最後決戦地（岐阜県関ケ原町）」
◎『関ヶ原北部地区』
○「松平忠吉・井伊直正陣跡碑」(関ケ原町関が原908)
東首塚境内の東隅に、「松平忠吉・井伊直政の陣跡」があります。以前は首塚より東へ200mほど行った場所にあったとされていますが、大正時代に現在地に移転されました。関ケ原の戦いで、井伊直政は事実上の総大将で先鋒役の意識が強く、直政の娘婿で初陣でもある松平忠吉に手柄を立てさせたい一念でした。東軍先鋒は福島隊と決まっていましたが、午前8時頃に、福島隊の先頭隊長・可児才蔵の制止を振り切り、宇喜多隊へ発砲し開戦となりました。その後、直政と忠吉は島津隊を追撃し、大きな戦果を挙げますが、2人とも傷を負ってしまいます。特に、直政の傷は深く、その傷がもとで2年後にこの世を去ってしまいます。鎧・兜・槍などの武具の全てが赤一色に染められていた、直政率いる井伊隊は、「井伊の赤揃え」と呼ばれています。井伊隊は、「武田の赤揃え」＝「最強部隊」として定着していた武田家の滅亡後、その遺臣を徳川家康から託されると同時に、天下に知られた赤揃えを継承しました。この赤い集団が戦場に現れると、敵陣は恐怖し浮き足立ったといわれています。
○「東首塚」(関ケ原町関が原908)
JR関ケ原駅からほど近い場所に、東首塚があります。ここに、東首塚の目印ともいえるスダジイの大木があります。首塚のすぐ横には、討ち取られた武将達の首を洗う首洗いの古井戸があります。家康が首実検した際に、首級の汚れを落としたといいます。戦国時代は首実検の後、戦死者の弔いをするのが慣わしだったそうです。また、昭和6年に移築された護国院大日堂と唐門があります。東首塚対して西首塚は胴塚とも呼ばれ、あるいは東西両軍の武将に分けて葬られた首塚であるともいわれます。実際のところは、東西どちらの兵であったか分からない者が大半であったと伝えられます。どちらの首塚もよく整備されており、今なお供養が丁重に執り行われていることが分かります。
○「田中吉正陣跡碑」(関ヶ原町関が原)
田中隊は、ここから石田隊に向かって兵を進め、笹尾山麓より討って出る先手の兵と激突します。本隊が300ｍほど引き下がります。そこに、他の東軍の諸隊の兵が食らいつきます。というように、両軍間で激しい白兵戦が展開されたといいます。三成が自分の意志で、残党狩りの吉政配下の兵の手に落ちたのは、合戦後6日目のことだったと伝わります。関ケ原の戦いで勝利した田中は、伊吹山中に逃亡していた石田三成を生きたまま捕縛するという大功を挙げました。それもあってか、戦後、筑後国柳川の32万石大名に取り立てられています。
○「陣場野公園・徳川家康最後陣跡碑」(関ケ原町関が原959)
現在の時刻でいうと、午前8時頃に始まった関ヶ原の戦いですが、西軍有利で合戦が進む中、戦いがたけなわとなると、徳川家康は全軍を鼓舞するためにあえて桃配山を下り、１�劼曚瀕イ譴榛�尾山の東南１�劼里海涼呂頬楝發鮨覆瓩泙后�ここで家康は、陣頭指揮に当たるとともに、戦が終わると部下の取ってきた首を実験しています。最後陣跡の中央の土壇には、「床几場（しょうぎば） 徳川家康進旗験馘處」と刻まれています。
【徳川家康最後陣地床机場】
家康の陣場野の床机場が、この付近だといわれています。関（しょうぎば）原の合戦後、徳川家康は家臣が持ってきた敵の首を確かめて、首実検場といわれています。これとは別に、関ケ原バイパスの陣場野信号付近に出て、その後、この床机場へさらに軍を進めたという説もあります。どちらにせよ、最終的に家康が本隊を進めた場所が、この床机場付近になります。
○「関ケ原町歴史民俗資料館」(関ケ原町関が原894)
大きな白い建物と、立ち並ぶ武将の陣旗が目印の歴史民俗資料館です。館内は撮影禁止ですが、中の資料は甲冑や火縄銃などはモチロン、関ケ原合戦の経緯の説明があり、実際に合戦で使用された武具などをはじめ、かなりの数がありますので見ごたえがあります。徳川家康、石田三成の兜の複製や、戦国武将の肖像など多数展示されています。大型ジオラマは、電光を使って戦いの流れを分かりやすく説明してくれます。関ケ原の戦いの様子を描いた合戦図屏風や、甲冑・火縄銃など古戦場から出土したものを展示しています。隣接するミュージアムショップでは、ここでしか手に入らない武将家紋入りぐい飲み、武将ミニのぼり旗など、関ケ原合戦に縁のある武将のオリジナルグッズがずらりと揃っています。
○「黒田長政・竹中重門陣跡碑(岡山烽火場)」(関ケ原町関が原732)
岡山烽火場跡は、その名の通り、関ヶ原東方の小山の上に位置します。西方に位置する西軍大将石田三成の陣などが、しっかり見える絶好の好位置にあります。丸山という地にあるため「丸山烽火場」ともいわれます。山の中腹にある金刀比羅神社の説明板によると、東軍武将生駒一政が黒田長政・竹中重門とともに陣を構えたこの地において、必勝を期して国元（讃岐）から持参した金刀比羅宮の御神像を松の枝にかけておき、合戦後、住民がそれをもらいうけ祭祀したといいます。関ケ原の戦いの時、ここ山頂から狼煙があがり戦闘開始の合図となったといいます。山頂に立つと、右のほうの小山の上に西軍大将石田三成陣跡、左奥の方には西軍から東軍に寝返った小早川秀秋の陣があった松尾山がよく見えます。
黒田官兵衛の息子・長政と竹中半兵衛の息子・重門が、この岡山で陣を敷き、霧が晴れたのを見計らって、この場所から狼煙をあげ東軍に攻撃の合図をしました。竹中重門は、関ケ原合戦でははじめ西軍を支持しており、犬山城の石川貞清を援助したりしていましたが、井伊直政の仲介もあって東軍として参陣します。その後、居城である菩提山城を徳川家康に提供し、本戦では、幼なじみの黒田長政軍に合力するカタチで奮戦します。さらに関ケ原合戦からまもない9月19日、伊吹山山中で西軍の武将である小西行長を捕縛するなどの活躍をし、後に家康から直筆の感状を受けています。
○「最後決戦地碑」(関ケ原町関が原1202)
西軍有利な陣形で臨んだ戦いでしたが、小早川と脇坂ら4隊の裏切りは、たちまちにして戦況を一変させました。小早川勢の大谷隊への突入と同時に、西軍の配色が濃くなり、各軍の兵士の浮足立つなか、石田隊は集中攻撃を受けながらも、最後まで頑強に戦いました。笹尾山を前にしたこの辺りは、最大の激戦のあったところです。石田三成の陣がある笹尾山を望む場所に、関ケ原最大の激戦となった最後決戦地があり、関ケ原合戦の決着がついた場所とされています。小早川の寝返りによって戦況は一変し、東軍有利となり、東軍は石田三成の首を狙って戦いを繰り広げました。関ヶ原合戦時、石田三成隊は東軍の複数部隊を相手に味方が敗走するなか、激突していたのは黒田長政とか細川忠興とかで、かなりの奮戦ぶりだったといいます。周りは主に田んぼで、碑自体も農道の中にポツンと立っているという、何とも哀愁が漂います。
【関ケ原合戦図屏風（関ケ原町歴史博物館所蔵）】
この屏風絵は、関ケ原全体を南方上空から俯瞰した構図で描かれています。全体で3つの扇に別れ、右扇は主に東軍の主力と東へ突出していた石田隊などの激戦。中扇は東軍主力と西軍主力との激闘の模様で、井伊や福島などの戦闘が中心。左扇は待機を続ける小早川隊や大谷吉継などの部隊が描かれています。
○「笹尾山・石田三成陣跡碑」(関ケ原町関が原4008)
石田三成の陣所跡は、関ヶ原盆地の北西部、笹尾山にあります。現在、この笹尾山には石碑のほか馬防柵(ばぼうさく)や展望台が用意され、観光地として整備されています。石田三成の本陣から、家康の陣があった場所など古戦場全域を見渡すことができます。笹尾山一帯の石田隊6000余は、正面に竹矢来の柵を二重に配置し、前衛隊長の島左近らの指揮のもと、すさまじい死闘を展開しました。小早川らの裏切りは、戦況を一変させ、西軍の実践兵力は3万5000前後に激減し、西軍の敗色濃厚となるや、最早これまでと三成は北国街道沿いに敗退していきました。三成が家禄の半分も与えてまでも仕官させたといわれる島左近は、前日の杭瀬川の戦で中村隊を破り、本戦では石田隊の先手として布陣します。黒田・田中らと奮戦後、家康本陣に迫ろうとしましたが、銃弾を受けて討ち死にしたともいいます。通説では、黒田勢の鉄砲頭・長菅政が高所に登り50挺の鉄砲で間断なく射撃してきたため、さすがの島も利を失い、乱戦中の命を落としたと伝わっています。蒲生郷舎は、左近とともに、三成隊の先陣として終始右翼から奮戦激闘を続けました。そのため、黒田・細川・加藤の隊は、容易に笹尾山を攻めることができませんでした。しかし西軍劣勢となるや、織田有楽の勧告に腹を立てた郷舎は、敵中に躍り込みました。その後、蒲生郷舎は有楽の家臣に討たれ戦死したとも伝えられています。
○「奥平貞治の墓」(関ケ原町玉573)
JR関ケ原駅から北東へ約4km弱の場所に、「奥平貞治の墓」があります。関ケ原の戦いで貞治は、家康の意を受けて西軍の裏切りを約束していた小早川秀秋隊の監視をしていました。秀秋の裏切りの後には、軍の先頭に立ち松尾山を攻め降り大谷勢と奮戦し、玉村あたりで討ち死にしたと伝えられています。この墓は、元治元年（1864）10月に子孫の奥平新左衛門源貞昭がこの地に建立しました。その後、さらに不破古跡保存会によって、墓の横に碑も建てられています。奥平貞治は、奥三河・亀山城を本拠に持つ有力国人奥平貞勝の子として生まれた。関ケ原合戦では、西軍との激戦に身を挺した結果、戦死しました。もともと、兵力の高い小早川軍と共に戦った貞治は、まさか自分が戦死するとは思っていなかったことでしょう。裏切り者の小早川に激怒し、士気が高まった西軍部隊の猛攻が予想以上のものだったのです。実は、この合戦で命を落とした武将は、東軍にはほとんどいません。そんな中、命を落としてまで戦った奥平家には、のちに家康から多大な恩恵が与えられたといいます。
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