古戦場めぐり「長浜城と石田三成（滋賀県長浜市）」
○「長浜城」(長浜市公園町)
長浜城は天正元年（1573）、羽柴秀吉（豊臣秀吉）が浅井長政攻めの功で織田信長から浅井氏の旧領を拝領した際に、当時今浜（いまはま）と呼ばれていたこの地を信長の名から一字拝領し長浜に改名しました。小谷城で使われていた資材や、あらかじめ竹生島に密かに隠されていた材木などを見つけ出し、それらを使用し築城したといいます。
【長浜城歴史博物館】(長浜市公園町10)
長浜城は現在、長浜城歴史博物館として人気の観光スポットとなっています。館内は、常設展示・企画展示をそれぞれ期間ごとに展示を替えしながら公開されており、長浜市をはじめ周辺地域の歴史、地元ゆかりの戦国武将にスポットを当てた内容となっています。ミュージアムショップもあり、歴史好きなご家族にはおすすめの博物館です。
○「長浜駅前の三献の茶の銅像」
長浜駅前ロータリーには、「三献の茶の銅像」が建っています。石田三成と豊臣秀吉の出会いのエピソードとして有名な、「三献の茶」の一幕を表現した銅像です。
【三献の茶のエピソード】
長浜城主となった秀吉は鷹狩の帰り、領内の観音寺に立ち寄り茶を所望します。汗をかいた秀吉の様子を見た寺の小姓・佐吉少年は、一杯目は大きな茶碗にぬるいお茶をたっぷり出し、秀吉が二杯目を所望すると今度は先ほどより少し熱いお茶を茶碗に半分ほど出しました。さらに秀吉がもう一杯所望すると、三杯目は小さな茶碗に熱いお茶を入れて出しました。秀吉は相手の様子を見て、茶の入れ方一つに気を配れる佐吉少年を気に入り召し抱えます。この佐吉少年が後の石田三成。三成が秀吉に取り立てられた時の有名なエピソードです。本当かどうか別として、後に官僚として頭角を現す知恵者で機転の利く三成はもちろん、ノリに乗っていた頃の秀吉の冴えっぷりも表している感じでなるほど納得な逸話です。
【石田三成】
石田三成は、寺小姓をしていた時に秀吉と出会って家臣となり、有能な文官能吏として重用されます。豊臣政権では五奉行の一人に数えられ、秀吉亡き後は天下統一に向けて動き出した家康の野望を見抜き、豊臣家の存続をかけ関ヶ原に挑みます。しかし、小早川秀秋の寝返りで西軍は破れ三成は敗走。伊吹山中で捕縛され、六条河原で処刑されました。悪いイメージに描かれることも多い三成ですが、直江兼続、真田昌幸、大谷吉継らと友情で結ばれ、善政を敷き民や家臣からも慕われたといわれます。前主君、筒井順慶亡き後、誰にも仕えることのなかった名将・島左近が三成の家臣となり、関ヶ原の最期まで忠義を果たしたことからも、三成には人を引き付ける魅力があったように思います。
○「石田八幡神社」(長浜市堀部町194)
長浜駅から東方に向かうと、堀部町に石田八幡神社があります。境内には「石田神社」と書かれた標柱もあります。
【石田三成一族家臣供養塔】
石田八幡神社の裏に、昭和48年に建てられた「石田三成一族家臣供養塔」があります。昭和16年に八幡神社の地中より故意に破壊された五輪塔の残欠が発掘され、墓石の残欠が石田三成の先祖に関係のあるものと推定されました。関ヶ原の戦いの後、徳川方の追求を逃れるため神社を隠れみのに里人が密かに埋め隠していたものと考えられ、地元で大事に供養されてきたそうです。
【三成辞世の句碑】
敷地内には、三成辞世の句が刻まれ句碑も立っています。
�狠淤犢召箘牡屬謀瑤垢�がり火と ともに消えゆく我が身なりけり��
筑摩江にともるかがり火が消えるように、自分も消えていくのだな・・。豊臣の存続を願って家康と戦い、六条河原に散った三成を思わずにいられません。
○「石田会館(石田三成屋敷跡)」(長浜市石田町)
八幡神社の南方にある石田会館は、石田三成屋敷跡といわれる場所です。三成の生家があったところです。こちらでは石田屋敷の堀の一部だったといわれる治部池の他、京都の大徳寺三玄院で発掘された三成の頭蓋骨の写真などが見られます。敷地内に三成の銅像があり、この銅像は平成2年に三成の390回忌に際して建立されたもので、京都大徳寺に葬られている遺骸と青森杉山家に伝わる肖像画を参考にして作られたそうです。
【西郷隆盛の詩碑】
敷地内には、西郷隆盛が読んだという次の関ヶ原軍記の詩碑も建っています。
�狹貔尚豬茣悒�原に戦う 鬢髪冠を衝き烈士憤る成敗存亡 君問う勿れ 水藩の先哲 公論あり��
先哲というのは水戸黄門のこと。西郷も三成を正しく見ていたようです。
【三成産湯の井戸】
石田三成は永禄3年（1560）、坂田郡石田村（長浜市石田町）に石田正継の次男として生まれました。石田会館の側には、産湯の井戸と呼ばれる場所が残っています。幼名は佐吉。父正継は浅井の家臣でした。佐吉少年は石田町からほど近い観音寺に小姓として預けられ、そこで秀吉に出会い家臣として取り立てられました。
○「大原観音寺」(米原市朝日1342)
石田町から東方、山ひとつ越えた米原市朝日に大原観音寺があります。三成が寺小姓をしていて、秀吉に取り立てられたお寺です。伊吹山旧四大寺の一つ。平安時代前期の仁寿年間、律師三修によって建立されました。観音寺は通称で、正式には伊富貴山観音護国寺といいます。もとは法相宗（ほっそうしゅう）に属していましたが、弘和（永徳）3年（1383）に天台宗に改めました。正元年間（1259-1260）に、現在地に移築されています。
【三献の茶のエピソード(三成水汲みの井戸)】
三成と秀吉の出会いの逸話「三献の茶」のエピソードとして、三成が茶を入れる水を汲んだといわれる井戸が寺内に残っています。
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