古戦場めぐり「禁門の変・蛤御門の変（京都府京都市）」
◎『禁門の変・蛤御門の変』
「禁門の変」（きんもんのへん）は元治元年（1864）7月19日、京都で起きた武力衝突事件です。蛤御門の変、元治の変、元治甲子の変とも呼ばれます。
時は幕末、ペリーが浦賀に来航してからの日本は開国か、それとも攘夷（外国人を追い出す）か、で国論が真っ二つに分かれることになります。長州藩は、最初のうちは公武合体派（朝廷(公)と幕府(武)が力を合わせて外国に対抗する）に傾きつつありましたが、後に攘夷派が長州藩のリーダー的存在になっていったことから、長州は攘夷派へと移り変わってきます。そして、外国船を長州藩単独で砲撃するなど、過激な行動を起していくようになりますが、この長州藩の急進的な行動や朝廷での影響力の拡大を、孝明天皇は快く思いませんでした。そこで、公武合体派の薩摩藩、会津藩の意見に孝明天皇も耳を傾け、遂に攘夷派を京都・朝廷から追い出すことになりました。長州藩にしてみれば、仲良しのはずだった朝廷から、いきなり出て行けです。この出来事を「八月十八日の政変」っていいます。さらに、長州藩に追い討ちをかけたのが池田屋事件。長州、土佐、熊本藩らの攘夷派がまた過激な計画を立てているとして、新撰組が旅館・池田屋に乗り込んだ出来事です。これによって、長州藩では多数の藩士が亡くなることになります。そして、長州藩が失地回復のために京都に乗り込み、罪の回復を要求することになるのですが、受け止めてもらえず、かくして長州藩は、公武合体派の排除、京都奪取の決行に踏み切ります。これが「禁門の変」の勃発です。
元治元年（1864）7月19日、総大将の福原越後・来島又兵衛らを中心に、大集団で京に迫ります。京には会津藩、新撰組、薩摩藩などが、陣を敷きこれを迎え討ちます。京都蛤御門付近で、長州藩兵と会津・桑名藩兵が衝突を開始し、戦闘が勃発しました。長州軍の軍勢はたったの3,000人ほどですが、幕府軍は総勢80,000人くらいいたそうです。一時は、福岡藩、筑前藩が守る中立売門を突破して、長州藩が京都御所内に侵入し優勢になります。その後、西郷隆盛率いる乾門を守っていた薩摩藩兵が援軍に駆けつけると、形勢が逆転して長州藩は敗退することになりました。そしてとうとう、指揮官の来島又兵衛や久坂玄瑞が死んでしまい、長州藩軍は壊滅状態になりました。激しい戦いではありましたが、1日で決着はついたようです。
今でも残る蛤御門には、禁門の変の際の弾痕が、いくつも残っています。そして、京を出て長州へ逃げ落ちていくときに自分たちで長州藩邸に、火をつけました。長州藩邸を燃やした火と、堺町御門のあたりから出た火は、京の街を燃やしつくすほどで3日間燃え続けたそうです。この火は、見ている間にどんどん焼け広がったことから、「どんどん焼き」と呼ばれたそうです。現在の中京区・下京区辺りすべてが焼かれてしまい、27,000世帯ほどの家が燃えてしまったそうです。この火で、当時の東本願寺や本能寺などのお寺も焼けてしまいました。この禁門の変で、このように長州勢は逃走の際に火を放ち大火事となったことから、京都の人々から恨まれることになりました。さらに御所内に向け発砲したため「朝敵」となってしまいました。そして、その後、長州藩は長州征伐や外国船砲撃の報復など踏んだり蹴ったりが続きますが、長州藩の藩論が倒幕に傾くと敵対していた薩摩藩とも同盟を組み、薩長同盟を実現し、倒幕の道を歩んでいくことになります。
○「蛤御門」(京都市上京区京都御苑)
蛤御門は、京都御苑に入る九つの門の内の一つでありますが、同門の脇には次の説明があります。
�犢掌融�代末期の1864年（元治元年）、この門の周辺で長州藩と、御所の警備にあたっていた、会津、薩摩、桑名藩との間で激戦が行われました。この戦いが「禁門の変（蛤御門の変）」で、門の梁にはその時の鉄砲の玉傷らしき跡が残っています。この門は新在家門と言われていましたが、江戸時代の大火で、それまで閉ざされていた門が、始めて解放されたため「焼けて口開く蛤」に例えて蛤御門と言われるようになりました。��
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