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2016年08月28日22:39

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ナノテクノロジーがもたらす未来>道ばたに野良ナノロボットが、独自の進化を遂げて、新しい生態系を作ることもあるのだろうか。>


3.ナノテクノロジーがもたらす未来

ナノテクノロジーという分野は、リチャード・ファインマンの「機械はどこまで小さくできるか」という問いに端を発するという。すでに社会に普及していて、例えば化学コーティング分野が活況とのこと。またMEMS(微小電子機械システム)市場は世界で400億ドル規模に発展している。
ナノテクノロジーの今後の成長イメージは、本書が紹介する次の予想が参考になりそうだ。




ナノテクノロジーは、現在のフォトリソグラフィのように成長するだろう。単独の量産テクノロジーとしてではなく、非常にコストのかかる、管理された環境のもとで。

MITロボット工学専門家ロドニー・ブルックス


ナノテクノロジーは近未来には3つの応用分野で活用され、やがてプログラム可能な物質や、レプリケーターの実現へと結びつく。


近未来:ナノテクノロジーの応用分野

応用分野の1つめは医療だ。飲んだあと電子的に追跡可能な錠剤「スマート・ピル」や、特定の標的に抗がん剤を送り込むナノ粒子などが考えられている。金と白金で構成される細菌サイズのナノロッドは、血管を走るナノカーとして機能する。また、たんぱく質やDNAを分析するラボ・オン・チップも実現する。

材料ではカーボンナノチューブが実用化される。長く大きなものが作れるようになることで、炭素ベースのコンピュータや、大容量の電力伝送実現が期待される。

3つめがシリコンチップの代替だ。ムーアの法則は2020年に量子論的限界を迎えるが、ナノテクノロジーを用いれば、原子1個1個を組み合わせたトランジスタや、個々の原子そのもので計算する量子コンピュータが実現できる。これらはシリコン製の現在のコンピュータを代替する。


世紀の半ば:プログラム可能な物質が普及

2050年ごろには、ナノテクの成果は目に見えるものではなくなっていく。ほとんどの製品が分子レベルの製造技術により改良され、超強靭になり、耐久性や導電性や柔軟性が向上する。

このころ注目されるのは「プログラム可能な物質」だ。例えば固形の砂粒状コンピュータチップ「Catom(Claytronic Atom)」は、表面の電荷を変えることで特定配置に並びかわる。インテルは2.5cmサイズのCatomをすでに試作していて、同社上級フェローのジャスティン・ラトナ―は「今後40年のうちに日常的なテクノロジーになる」と述べている。

Catomはデータさえダウンロードすれば消費者の手元で作り変わるので、製品はソフトウェア化し、ネットを通じて送られるようになる。


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世紀の終わり:レプリケーターの実現

レプリケーター(複製装置)とは「どんなものでも作れる分子アセンブラで、洗濯機ほどの大きさであり、基本的原材料を投入すると無数のナノロボットが分子単位に分解して組み直す」。ナノオーダーの世界は量子論が支配するため、「べたつく指」や「太い指」など課題は多いが、世紀の終わりには実現する。

欲しいものがボタンひとつで無償で好きなだけ手に入るようになったとき、社会はどう変わるのか。本書は次のような予想を紹介していた。
■資本主義が機能しなくなる
■欠乏や金という動機づけの要因がなくなり、自堕落で退廃した社会が出現する
■人口の一部はいつも怠けるようになり、社会に恒久的セーフティネットができる
■貧困や破滅といった不安は無くなるので、起業家精神に革命が起こり、新しい産業や機会を他者のために創出するようになり、社会の再興が新たに起こる


「欲しいものがボタンひとつで無償で」は実現できるか(私見)

本書の予想によれば、ナノテクノロジーは材料を加工したり、微小機械に機能を付加することから発展し、やがては物質そのものを操る技術となる。プログラム可能な物質やレプリケーターは、モノの価値をモノそのものから、モノの形を決めるソフトウェア(知的財産)に移す。

本書は未来の社会の前提を「欲しいものがボタンひとつで無償で好きなだけ手に入る」とした。しかし、価値がモノからソフトウェアに移り、目に見えなくなっても、それが無償になるとは限らないはずだ。現在の感覚だとソフトウェアなんてタダで当然とも思っちゃうけど、今後はむしろソフトウェアに富が集中するかもしれない。
こうした価値の遷移は3Dプリンタですでに始まっている。いま3Dプリンタが起こそうとする変化は、未来の社会の端緒として注目だ。

ところで本書では、制御不能になったナノロボットが自然界に溢れるグレイ・グーも予想していた。対策として、こうしたナノロボットを探し破壊する、免疫系の抗体や白血球のようにふるまうキラーロボットが普及するという。
道ばたに野良ナノロボットが隠れる未来、なんだかポケモンみたいでおもしろい。自然界に解放された彼らが独自の進化を遂げて、新しい生態系を作ることもあるのだろうか。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー以上転載ーー
http://hiah.minibird.jp/?p=2270#2
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