火縄銃からフリント・ロックへと方式は変わった。この時代の銃は全てマスケット銃、と
呼ばれる。マスケットの定義は「マズルローダーのスムースボア方式銃」となる。
マズルローダーとは、弾と火薬をマズルつまり銃口から込める、という意味である。現代
のライフル銃は全て銃身の後方部から込める。こういう方式はブリーチローダーという。
次にスムースボアというのは、銃身にライフルが切られていないという意味である。
日本の火縄銃にしても、一発撃つたびに銃口から弾と火薬を込めて撃っていた。またライ
フルを切るということは技術的にも難しかった。ライフルが切られていないと発射された
弾丸は回転がかかっていないから、ジャイロ効果による弾道安定作用は働かない。
当時の銃は現代のライフルに比べても、全長の長いものだったが、いくら銃身が長くても
ライフルが切られていなければ、有効射程距離は短い。どんなに頑張っても100m程。
必中距離となると50m程だ。
つまり敵との距離約50mくらいまで接近しないと、銃撃による効果は薄い。敵が無防備
で突っ込んできてくれれば良いが、相手もバカじゃないからそんなことは期待できない。
連発できれば、数撃ちゃ当たる方式もできるが、一発ずつ銃口から弾込めする方式では、
それも不可能だ。
17世紀のフランスで銃剣が発明される。銃身下部に剣をつけるわけだ。18世紀以降の
歩兵戦闘では、銃剣をつけたマスケット銃を装備した兵が横に並び、一斉射を加えてから
銃剣突撃するという戦いかたが主流になった。
ヨーロッパの列強諸国は、戦争に勝つためにより優秀なマスケット銃の量産を目指した。
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