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2016年02月24日00:29

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コルネリウス・マイスター指揮 ウィーン放送交響楽団

(2月22日、サントリーホール)
 マイスターは36歳と若いが、21歳でハンブルク国立歌劇場にデビュー以来世界の一流オペラハウス、オーケストラと共演を重ねており、今や立派なマエストロと言っていい。この組み合わせは2012年の来日のさいも聴いたが、そのときよりもオーケストラとの一体感が深まり、音楽がより緊密に表現され、マイスターの著しい成長ぶりを感じた。
 彼の指揮は若さを生かした溌剌とした勢いと生命力があり、しなやかで腰が強い。ウィーン放送響もマイスターと同じくしなやかですっきりとした響きと、ウィーンらしい雰囲気のやわらかな音色、そして土台のしっかりとした中低音を併せ持っており、両者がつくりだす音楽を聴いていると、ウィーン郊外のホイリゲで新酒の白ワインを呑んでいるような爽やかな気持ちになる。

 1曲目ベートーヴェンの「レオノーレ」序曲第3番から彼らの特長が全開、勢いと切れ味のある演奏に一気に惹きこまれる。トランペットのファンファーレは舞台裏ではなく、2階席最後部から吹かれ、会場いっぱいに輝かしく音が広がった。
 ベートーヴェンの交響曲第7番も聴かせどころの多い演奏で楽しめた。序奏がテヌートで始められたのには驚かされたが、すぐにリズム感抜群の音楽になっていく。第2楽章アレグレットのヴィオラとチェロによる対旋律は美しくよく歌う。終楽章のコーダは速度を思い切り速めるが、オーケストラに乱れがないのは感心した。
 ブラームスの交響曲第2番も緻密なスコアを余すところなく描き分けていく冷静で周到な指揮。第1楽章はゆったりと始め、第2主題もたっぷりと歌う。結尾のホルンソロも見事だった。第3楽章も美しい。第4楽章は目いっぱい盛り上げるのかと思ったが、それはここしかないという最後の最後までとっておかれた。こうした音楽の構築力からもマイスターの非凡さがうかがえる。
 アンコールはブラームス「ハンガリー舞曲第5番」とヨハン&ヨーゼフ・シュトラウス「ピチカート・ポルカ」は定番だが、3曲目のミア・ツァベルカ「有機的分離」はオーケストラ全員が身体を揺らしながら立ち上がったりして不協和音を弾き続け突然休止するユーモラスなもので、会場中が爆笑した。マイスターは7月に読響定期に登場、マーラーの交響曲第6番「悲劇的」を指揮するので、こちらも楽しみだ。
(c)Rosa Frank

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