鎌倉市さんぽ「祇園山ハイキング(本覚寺から白旗神社)」
◎『祇園山ハイキングコース』
JR鎌倉駅から本覚寺、妙本寺を経由して、八雲神社から祇園山への山道への上りに入り、尾根伝いに屏風山に上り宝戒寺に下っていく約4�劼離魁璽垢任后�
○「大巧寺(おんめさま)」(小町1-9)
鎌倉駅東口から東方、若宮大路を横切ると「大巧寺」(だいぎょうじ)があります。季節の花が咲く寺として人気を集めており、境内に産女霊神社があり安産祈願の寺です。もともとは十二所の「大行寺」という真言宗の寺でしたが、源頼朝がこの寺で戦評定を行い、大勝を収めたことから大巧寺と改め、元応2年（1320）現在地に移したといわれます。住職が妙本寺にいた日蓮に帰依し、弟子の日澄を開山としました。檀家を持たず、安産祈願の寺として存在する珍しい寺です。
【産女霊神社】
産女霊神は、産女（うぶめ）が転訛した名称「おんめさま」と呼ばれ、安産の神として信仰されています。第五世の日棟は、難産で死んだ秋山勘解由の妻の霊魂を鎮めるため産女霊神を奉ったとされます。
○「蛭子神社」(小町2-23)
北に向かうと「蛭子(ひるこ)神社」があります。小町の鎮守で、本覚寺にあったという夷三郎社（夷堂）がここに遷され、もともとこの地にあった七面大明神と宝戒寺にあった山王大権現を合祀して蛭子神社となりました。一説には、いざなぎの神といざなみの神との間に生まれた子が蛭子で、生まれながらの障害を持った子であったため、船で海に流されました。蛭子は海上でたくましく成長し、漂着した地で漁業・商業の神として崇められるようになり、現在では夷神として信仰されているといいます。
○「日蓮上人辻説法跡」(小町2-22)
さらに北に向かうと「日蓮上人辻説法跡」があります。建長6年（1254）に鎌倉に入った日蓮は、松葉ヶ谷に草庵をむすび、小町大路を中心に辻説法を行いました。この辺りは若宮大路幕府(雪ノ下1丁目)に近いこともあって、大変賑わっていた場所と考えられ、日蓮は毎日のように辻に立って民衆への布教を続けたといわれています。智学の研究によると、実際に日蓮が辻説法を行ったのは、現在の蛭子神社のある辺りとされています。大町2丁目の本興寺も日蓮が辻説法を行った場所とされ、「日蓮辻説法の碑」が建てられています。
○「本覚寺」(小町1-12)
戻って南に向かうと「本覚寺」があります。地元では「にっちょうさま」と呼ばれ親しまれています。寺伝によると、日出(にっちょう)上人は熱心に布教活動をしましたが、日蓮聖人同様激しい反対に遭いついに捕らえられてしまいました。そのときの鎌倉公方は足利持氏でしたが、その熱意に感心し、日蓮聖人ゆかりの夷堂のあるこの場所を与えたことから、永享8年(1436)に本覚寺が建立されました。本尊は釈迦三尊。文永11年(1274)に佐渡流罪を解かれ鎌倉に戻った日蓮上人は、この夷堂に滞在して布教を再開しました。その後、甲斐国の身延山に入って久遠寺を建立し本核的に日蓮宗の布教を行いました。本覚寺分骨堂には、身延山から分骨した日蓮上人の分骨が納められています。
○「妙本寺」(大町1-15)
本覚寺から東に向かうと「妙本寺」があります。この地は頼朝の信任厚かった御家人・比企能員の屋敷があったところで、能員の末子・能本がこの寺を建立したと伝えられています。源頼朝亡き後の建仁3年（1203）9月、北条氏と比企氏との権力争いに二代将軍源頼家も絡んだ「比企の乱」が起きました。結果、比企一族は北条氏によって滅ぼされ、頼家は伊豆修禅寺に幽閉された後、翌年暗殺されました。
【比企一族の墓(供養塔)】
祖師堂の右横には、比企一族の供養塔が建てられています。
【一幡の袖塚】
祖師堂の右前に「一幡の袖塚」があります。二代将軍源頼家の嫡子・一幡は、比企の乱で焼け死んだと伝えられています。順当であれば三代将軍になりえた一幡は、6歳という年齢でこの世を去りました。袖塚には、比企の乱後、焼け跡から出てきたという一幡の袖が祀られています。
【蛇苦止堂】
妙本寺境内の北方に「蛇苦止堂」があります。比企の乱の後、二代将軍源頼家の側室であった若狭局（能員の娘）は、家宝を抱えて井戸に飛び込み自害したと伝えられています。北条政村は、比企の邸跡に若狭局を蛇苦止明神として祀る社「蛇苦止堂」を建立したといいます。
【妙本寺の庚申塔】
妙本寺総門の少し手前の左手、塀を窪ましたところに庚申塔ではありませんが、1基の帝釈天王と書かれた大石があります。
○「常栄寺(ぼたもち寺)」(大町1-12)
妙本寺総門から南に向かうと「常栄寺」(ぼたもち寺)があります。創建は慶長11年（1606）で、寺号は「桟敷の尼」の法号「妙常日栄」にちなんだもの。日蓮が龍ノ口（藤沢市片瀬）の処刑場に護送される途中、この地に住んでいた桟敷の尼が、胡麻入りのぼた餅を捧げたという言い伝えから、ぼたもち寺と呼ばれています。
○「八雲神社」(大町1-11)
さらに南に向かうと「八雲神社」があります。この神社は、「八雲さん」「お天王さん」の愛称で親しまれている大町の鎮守で、新羅三郎義光が兄の八幡太郎義家の助勢（後三年の役）のため、奥州に赴く途中で鎌倉に立ち寄った際、疫病が流行っていたため、京都の祇園八坂社の祭神を勧請したのが始まりと伝えられています。室町時代には、佐竹屋敷の祠が合祀され佐竹天王とも称され、江戸時代には将軍より朱印も賜り、祇園さまとして尊崇されました。明治維新を迎え、鎌倉祇園社という名称から八雲神社へ改称されました。
【八雲神社の庚申塔】
鳥居を入ったすぐ参道左に3基の石塔(庚申塔は1基)があります。この寛文10年（1670）銘の庚申塔は、市の重要文化財に指定されています。
○「祇園山展望台」
八雲神社本殿の右手に、「祇園山ハイキングコース 祇園山0.3km」の道標があります。ここから祇園山ハイキングコースが始まります。少し上ると尾根道に出て、 ハイキングコースは左手へと続いていますが、右手へ少し行ったところに「祇園山展望台」があり、江の島や富士山などの眺めが最高です。
○「北条高時腹切やぐら」(小町3-11)
祇園山ハイキングコースを北に向かうと、途中に妙本寺への分岐(道標なし)はあるものの、ほぼ尾根伝いの一本道を北に向かいます。左へと回り込み民家へと下ったところに、「祇園山ハイキングコース1.0km、鎌倉駅1.2km」の道標があります。右手に「東勝寺舊蹟」の石碑があり、その奥に山腹に開けられた岩窟「北条高時腹切やぐら」があります。
○「東勝寺跡」(小町3-9)
舗装道路を少し行くと、右手の空地に「東勝寺跡」があります。元弘3年（1333）新田義貞の鎌倉攻めで、北条高時をはじめとする一族870余人が自刃したといいます。次の説明板があります。
《東勝寺は、13世紀前半に鎌倉幕府の三代執権北條泰時が創建した寺院です。 元弘3年（1333）、新田義貞らの鎌倉攻めの時、北條高時以下の一族郎党が ここにたてこもり、火をかけて最後をとげました。寺はその後直ちに再興され、室町時代には関東十刹の第3位に列する名刹となりましたが、 戦国時代には廃絶したとされています。北條得宗家の氏寺跡、鎌倉幕府滅亡の地として政治史的に極めて重要な遺跡で、昭和51年、平成8･9年に行った発掘調査により寺院跡の一部が確認されています。》
○「東勝寺橋」(小町3-4)
さらに西に下ると「東勝寺橋」があります。大正13年に滑川に架けられたアーチ橋で、当時の姿を保つ東勝寺橋は希少なものになっています。
【青砥藤綱伝説】
東勝寺橋西詰に「青砥藤綱旧蹟」の石碑があります。5代執権北条時頼に仕えていたとされる青砥藤綱は、夜、東勝寺橋で滑川に10文銭を落してしまったことから、家来に命じて50文の松明を買ってこさせ探させたといいます。「10文を探すのに50文を払うとは損だ」と笑われた藤綱は、「銭がそのまま川の中にあったのでは永久に使用されることはない。それより50文で松明を買えば10文は返ってくるし、商人も儲かる」といって笑ったといいます。なお、滑川の上流に青砥橋(浄明寺5丁目)があり、渡った先に「青砥藤綱邸跡碑」が建てられています。
○「紅葉山やぐら」(小町3-9)
右に回り込んで滑川に架かる宝戒寺橋を渡っていくと、すぐ右手に「紅葉山やぐら」があり、次の説明板があります。
《史跡「紅葉山やぐら」は昭和10年に発見され、五輪塔や納骨、それに海蔵寺十六井と全く同じものが出土しておりますが、その時代考証からも、北條執権ゆかりの納骨といわれております。平成11年の大崩落後の神奈川県教育委員会の調査でも十六井が再確認されています。鎌倉付近では、山腹の岩（第三紀層の凝灰岩質）をくりぬいて作った穴を「やぐら」と呼んでおり、鎌倉時代から室町時代における上層階級の墳墓とされております。この奥にある穴は、第2次世界大戦時の防空壕の跡ですが、鎌倉西口駅前公園にあるラングドン・ウォーナー博士（1881-1958、米国）の顕彰碑にもあるとおり、若かりし頃、東京美術学校（現在の東京芸術大学）に留学、岡倉天心に私淑した同博士（テオドル・ルーズベルト大統領の女婿）は「文化は戦争に優先する」と、 京都・奈良・鎌倉の三古都を中心に「日本の重要文化財リスト」を作成。そのおかげで多くの重要文化財が戦禍から救われました。この地域は、鎌倉幕府の実力者・旧跡「北條執権邸」（歴史的風土特別保存地区）内にあり、平成13年のNHK大河ドラマ「北條時宗」（第8代執権・1251-1284）生誕の地ともいわれ、文永・弘安の役の二度にわたる蒙古襲来を撃退。神風とともに、日本の歴史に名跡を残しました。
�爐發里里佞僚�行無常の鐘の声 永久に眠らぬ紅葉山やぐら�瓠’訛次�
○「宝戒寺(萩の寺)」(小町3-5)
少し西に戻ると「宝戒寺」があります。鎌倉幕府滅亡後、建武2年(1335)後醍醐天皇が足利尊氏に命じ、北条一族の霊を弔うために宝戒寺を建立させ、勅命により円観慧鎮を開山としました。国宝的人材を育成、修行させるための、円頓大戒（金剛宝戒）と天台密教の道場としての「戒壇院」が置かれました。廃寺となった東勝寺を、この場所に移したともいわれますが詳しいことは不明。秋には、200株ともいわれるシロハギが見事で「萩の寺」と呼ばれています。
【北条執権館跡】
宝戒寺が建てられている地は、代々の執権館があった場所で、北条義時以来の執権が住まいしたものと考えられています。
【北条一族の供養塔】
境内に入ってすぐ左に行くと「北条一族の供養塔」(宝篋印塔)があります。鎌倉幕府は、元弘3年（1333）新田義貞の鎌倉攻めによって滅びました。東勝寺では、北条高時以下の北条一族が自刃したと伝えられています。建武2年（1335）後醍醐天皇の命を受けた足利尊氏は、新田義貞の鎌倉攻めで焼失した東勝寺をこの場所に移し、そのときに北条高時らの遺骨も移されたと伝えられています。本堂の地蔵菩薩坐像の床下には五輪塔があって、北条高時の遺骨が埋葬されているといいます。
【宝戒寺の庚申塔】
宝戒寺参道の先、受付の手前の左側に4基の庚申塔があります。１基は独立しており、3基はそれぞれに一猿が彫られています。
○「筋違橋」(雪ノ下3-3付近)
宝戒寺から金沢街道を北に向かうと、すぐに鎌倉十橋の一つ「筋違橋跡」の石碑があります。ここは小町大路（若宮大路の東を平行に走る主要路）、横大路（八幡宮前の三の鳥居前を東西を走る主要道）、六浦路（金沢街道）の主要三街道の交わる場所にあたり、かつては鎌倉の中心地でもありました。かつてこの場所には、西御門方面から川が流れており筋違橋が架かっていました。
○「大倉幕府跡」(雪ノ下3-11)
清泉小学校の南西角に「大倉幕府跡」の石碑があります。治承4年（1180）10月鎌倉入りを果たした源頼朝は、大倉の地に御所を構えました。頼朝はこの御所で政治を行ったため、のちに「大倉幕府」と呼ばれるようになります。当初は、父義朝の邸があったという亀ヶ谷の旧跡（現在の壽福寺辺り）に御所を建てる予定でいましたが、岡崎義実によって義朝の菩提を弔うための堂宇が建てられていたことや、土地が狭かったため大倉の地を選んだのだといわれています。また、先祖源頼義がこの地に住んでいたことも選定理由の一つのようです。また、頼朝は大倉幕府（大倉御所）を守らせるため、西側(西御門)に畠山重忠、三浦義村を、東側(東御門)には和田胤長（和田義盛の甥）の屋敷を造らせました。なお、鎌倉幕府の所在地は3か所あり、頼朝が開いたここ「大倉幕府」（西御門3丁目、1180〜1225年）、その後、実朝死後に4代将軍藤原頼経が執務した「宇都宮辻子幕府」（小町2丁目、1225〜36年）、4代将軍藤原頼経から最後の9代将軍守邦親王まで続いた「若宮大路幕府」（1236〜1333年）があります。
○「白旗神社」(西御門2-6)
大倉幕府跡ら北に向かうと「白旗神社」があります。正治2年（1200）朝廷から「白旗大明神」の神号を賜り、北条政子によって創建されたと伝えられています。もとは上宮の西側にありましたが、明治18年源実朝を祀る柳営社と合祀され現在地に遷されました。祭神は源頼朝。黒漆塗極彩色の社で武衛殿と呼ばれました。
【源頼朝像と豊臣秀吉】
白旗神社にあった源頼朝坐像は、現在、東京国立博物館に収蔵されています。天正18年（1590）7月、小田原城を落とした豊臣秀吉が奥州へ向かう途中で鶴岡八幡宮を詣でて、頼朝像を撫でながら天下を語ったという逸話が残されています。秀吉は、頼朝像を見ると近くに寄っていき、「微小な身の育ちでありながら天下をとったのは、御身と吾だけである。しかし、御身の先祖は関東で威をはり、挙兵すれば多くの兵が従い天下をとるのも容易であったろうが、吾は名もない卑属から天下をとったのだから、吾の方が出世頭である」といったそうです。そして、「御身と吾は天下友達である」といって、像の背中を叩いたといいます。
○「源頼朝の墓(法華堂跡)」(西御門2-6)
白旗神社前の石段を上ると「源頼朝の墓」があります。頼朝が文治5年（1189）に建てた「法華堂」があった場所に建てられています。法華堂は聖観音像を本尊とした御堂で、頼朝の持仏堂として建てられ、その死後に法華堂と称されるようになります。この法華堂は、建暦3年（1213）の和田合戦時には源実朝が避難した場所でもあります。また、宝治元年（1247）に起こった宝治合戦では、五代執権北条時頼と戦って敗れた三浦泰村一族ら約500人が自刃した場所でもあります。法華堂は、偉大な将軍源頼朝が祀られていたことから、ここに逃げ込めば誰も攻め入ることはできませんでした。
源頼朝は建久9年（1198）12月27日、相模川橋の視察の帰りに落馬し、それが原因で建久10年（1199）正月13日、53歳で死去したとされています。相模川の橋は稲毛重成が亡き妻の供養のために架けたもので、暗殺されたのではないかという説もありますが、死因は不明です。
【鴨長明】
建暦元年（1211）に鎌倉を訪れた鴨長明は、頼朝の法華堂を参拝し、「草も木も なびきし秋の霜消えて 空しき苔をはらう山風」と詠んだといわれています。鴨長明が鎌倉を訪れたのは、源実朝に面会するためで、それをすすめたのが『新古今和歌集』の撰者でもある飛鳥井雅経でした。長明は京に戻った後、日本三大随筆の一つとされる『方丈記』を書いています。
【北条義時の墓】
平成17年、源頼朝墓東隣の山の中腹から北条義時のものと考えられる法華堂跡が発掘されました。調査の結果、１辺が8.4ｍの正方形の三間堂であったと推測されています。義時の法華堂は遺言によって建立されたとされ、『吾妻鏡』には、「故右大将(源頼朝)家法華堂の東の山上をもって墳墓となす」と記載されています。
【大江広元・毛利季光と島津忠久の墓】
北条義時法華堂跡とされる平場の上には、大江広元とその四男・毛利季光と島津氏の祖島津忠久の「やぐら」があります。中央が大江広元、左が子で毛利氏の祖となる毛利季光、右が源頼朝の子ともいわれる島津忠久の墓とされています。島津氏と毛利氏は、祖先を顕彰するため源頼朝墓のそばに墓を設けたと考えられます。
【三浦泰村一族の墓】
北条義時の法華堂跡の山裾には、宝治合戦で敗れた三浦泰村一族を葬ったとされる「やぐら」が残されています。宝治元年（1247）、5代執権北条時頼と戦って敗れた三浦泰村一族ら約500人は、源頼朝の法華堂で自刃しました。
○「西御門碑」(西御門1-6)
源頼朝の墓から西に向かうと「西御門」の石碑があります。現在の西御門という地名は、鎌倉幕府（大倉幕府）の西門があったことに由来しています。幕府には東西南北の門があり、西御門は大倉幕府と鶴岡八幡宮の間にあって、重臣三浦氏の館があった地域でもあり、かつては７つの寺があったといわれていますが、来迎寺と八雲神社が残されています。
○「来迎寺」(西御門1-11)
西御門碑から北に向かうと「来迎寺」があります。開山は「一向」といわれていますが、時宗開祖の「一遍」ともいわれてきました。一遍と一向は、ともに各地を遊行し踊り念仏を修したことから、一向の一向宗と一遍の時宗」が混同されるようになりました。しかし、正応6年（1293）鎌倉に大地震が起こり、亡くなった村人の菩提を弔うために来迎寺が建てられたということは判明しています。来迎寺の如意輪観音は、鎌倉地方独特の「土紋装飾」という技法を施した像で、源頼朝の持仏堂（法華堂）にあったものと伝えられています。地蔵菩薩像は宅間浄宏作と伝えられ、県の重要文化財に指定されています。この像は、現在は廃寺となった報恩寺の本尊だったものです。報恩寺→太平寺→法華堂を経て、この寺に移されました。
【太平寺跡】
この地には、かつて鎌倉尼五山の第一位であった大平寺があり、来迎寺階段の上り口には大平寺跡の碑があります。来迎寺裏のテニスコートが太平寺の跡といわれています。太平寺は、源頼朝が平治の乱で敗北したときに、命を助けてくれた池禅尼の恩に報いるために、禅尼の姪の「尼になりたいと思っている世の女人のために尼寺を建立したい」という願いを聞き入れ、その姪ために建てさせた寺がはじまりだと伝えられています。のちに、鎌倉公方の足利基氏の妻清渓尼によって中興され、以後、代々足利氏の息女が住職を勤め、鎌倉尼五山第一位として興隆をきわめました。しかし、弘治2年（1556）、安房の里見義弘が鎌倉に攻め入った際に、住職の青岳尼（義弘の最初の正室）が安房に渡ったため廃寺となっています。
○「西御門八雲神社」(西御門1-13)
「西御門八雲神社」は、西御門の来迎寺の参道入口の左手にあります。詳細は不明ですが、『風土記稿』にある「字大門の天王社」が前身と考えられています。祭神は須佐男尊。次の説明板があります。
《建立は定かではありませんが、『風土記稿』に因れば宇大門の天王社がもとだと考えられます。現在の社殿は天保3年(1832)の建造だと言われています。須佐男命は『古事記』『日本書紀』でも知られる神様で、特に須佐男命は乱暴で天照大神が怒って天の岩戸に隠れた神話や八岐大蛇（ヤマタノオロチ）を退治した伝説はよく知られています》
【八雲神社の庚申塔】
庚申塔は入口の鳥居の右手、後方に3基並んでいます。うち延宝8年(1680)銘の庚申塔は、年鎌倉市指定の有形文化財になっています。
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