■松崎久純「好きになられる能力」2015年3月光文社新書
副題は、“ライカビリティ 成功するための真の要因”。
キイ・ワードは、
“自分にとって大切なことは、自分以外の人により決められている。”
これって、内田樹さんが、贈与論で言うところの以下に似ていますよね。
“自分が欲しいものは、人から与えられることによってしか手に入れられない。”
人間は、人の間でしか生きられませんので、よく考えれば、その通りですが、
それに気づかないと、本当の幸せを、手に入れることができない生き物かも
しれませんね。
早速、本書の惹句を、ちと長いですが、紹介します。
“私達は、いくら実力があっても、専門分野で優れていても、
人から選ばれることがなければ運のない人生を歩むことになる。
しかし、誰もが専門分野の強化には一生懸命だが、
「人に選ばれること」については案外無関心である。”
“そのため自分を選ぼうとする人達を、無意識に追い払ってしまうことさえある。
仕事だけでなく、恋愛や友人関係でも同じこと。
私達は相手から好意をもってもらい、選ばれることなくして、
人生の成功を実現することはできないのだ。”
“本書では、この「好きになられる能力」(=ライカビリティ、Likeability)
に注目し、それを高めることを目指す。”
“とくに、してしまいがちな話し方やコミュニケーションのパターンに注目し、
改善するための原則を紹介。豊富な事例に触れながら、
自分のふるまいのパターンを意識化し、改善することを目指す。”
タイトルや、惹句から、お手軽な自己啓発本のように感じられるかも
しれませんが、さにあらず。とっても、真面目な本なんです。
著者は、1967年生まれで、企業の海外赴任者や海外拠点の現地社員を対象に、
組織マネジメント、生産現場指導のできるグローバル人材育成のプロコンサル。
人間社会の特性として、以下のようなものがあると、著者は言います。
A.私たちは何が正しいかを主張しても上手くいかず、
B.自分にとって大切なことは、自分以外の人により決められてしまい、
C.彼ら(自分以外の人)は、それを感情で決めている。
したがって、好感をもってもらい、人の気持ちを前向きにする能力、すなわち
ライカビリティが高ければ、有利に扱ってもらいやすくなる、とのこと。
まぁ、確かに人生の経験があるほど、胸に手を当てて考えれば、思い当たる
フシが多いのでは。
本書は、その仕組みだけではなくて、ハウ・ツー、すなわち具体的なノウハウ
まで開示されて、演習問題までついています。
一読して、なるほどなと思いましたが、私の場合は、還暦なので、今から、
自分に適用するには、ちと遅すぎました。
だから、「人間とは何か」という、道楽読書のテーマとして堪能しましたが、
まだこれからの人生の長い、若いマイミクさんは、ひょっとして必読かもと
思います♪
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