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2015年05月17日08:55

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軍艦史(48)

ペクサンが開発した榴弾を撃ち出せるカノン砲はペクサン砲と呼ばれた。ペクサン砲は、
1824年に退役した戦列艦を的とした実験において凄まじいまでの威力を見せた。カノ
ン砲であるから高速であり、命中した砲弾は戦列艦の木製の船体を突き破る。そして船体
の中に入って爆発するのだ。戦列艦は多数の大砲を搭載しているから、砲弾を撃ち出すた
めの火薬も当然大量に積載している。この火薬が誘爆したら・・・

どんな船でもひとたまりも無いことがわかるだろう。ペクサン砲の発明こそは戦列艦を時
代遅れにしてしまうほどのインパクトを持っていたのだ。しかし、だからといって戦列艦
に代わるものがすぐに出来るのかというと、そういうわけにもいかなかった。

現代の我々からすれば、木製がダメなら鉄製にすりゃ良いだけじゃないか、と思ってしま
う。しかし、例えば仮に現代、鉄製の船が完全に無力になるような兵器が登場し、鉄製の
船じゃダメなんだからダイヤモンド製にすりゃ良いじゃん、とばかりにすぐにダイヤモン
ド製の船が量産できるか?というとそれは無理だ、というのと同じことである。

当時は鉄だけで船を作る技術も無かったし、だいいち製鉄技術がまだ未熟で、大量かつ安
価に鉄材を作り出すことも出来なかったのだ。総鉄製の船の登場は当分先のことになる。
なので、当初は木造だった軍艦に、要所要所に鉄を貼って防御力を強化する策が取られた
のである。

しかしそういう鉄による装甲を施した船は、当然ながらスピードが遅くなってしまった。
重装甲を取るか機動性を取るかは20世紀における戦車の大命題であるが、19世紀にお
いては軍艦の大命題だったのである。

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