2017年6月25日現在、アメリカにて中古車として販売されているクレマーポルシェ935K4をご紹介します。
クレマーポルシェ935K4は、1981年シーズン半ばにデビューしたスプリント仕様のグループ5レースカーです。
当時ドイツレーシング選手権(DRM)のディビジョン2で猛威を振るっていたザクスピード製のフォード・カプリ・ターボに対抗するため、ほぼ完全なスペースフレーム構造を持った全く新しいマシンとして、この935K4が開発されました。
テールデザインに911の面影が残っていたK3から大きく変化したデザインは、もはやキャビン部分以外に911の面影は残っていません。
風洞設備を持たないクレマーは、アウトバーンを使用して空力開発を行っていました。
このマシンは2台製作されたうちの1号車で、DRMにおいてはイェーガーマイスターのオレンジのカラーリングで参戦していました。
しかし82年からレギュレーション改革によりグループC規定が施工されることになったため、81年限りでクレマーによる参戦は終了、2台とも放出され、このマシンはジョン・フィッツパトリックの手に渡り、アメリカのIMSA−GTシリーズにおいて84年まで活躍ししました。
その後何人かのオーナーの手に渡っていますが、その中にはカーコレクターとしても有名な俳優のニコラス・ケイジも名を連ねています。
935K4の特徴は空力性能を優先するために、これまでよりも自由にデザインを設定できるようにスペースフレーム構造を採用していることです。
それによって911とは似ても似つかない、まるで『ルーフの付いたグループ6カー』のようなデザインとなっています。
また他の935と違って、右回りのコースの多いDRMで戦うにあたり、重量配分の面で有利な右ハンドルを採用しているのも特徴です。
※ワークスが78年に開発した935/78はルマン専用だったため右ハンドルとなっています。
ボディデザインでは935K3と同じ2重構造のリヤウインドを採用してエアフローを改善し、その後端には特徴的なセンターステー方式のリヤウイングが取り付けられています。
エンジンはクレマーが935K3のために開発した3.2リッターのツインターボエンジンを改良したもので、当時は810ps/8000rpmという途方もないスペックを誇っていました。
トランスミッションは他の935と同じくポルシェ製G30型4速マニュアルトランスミッションを搭載しており、現在はルマンスペックのレシオで最高速は350km/h以上に設定されています。
余談ですがもう1台のK4も現在クレマーレーシングの元にはないため、クレマーでは新たに935K4を製作しているようです(笑)
☆クレマーポルシェ935K4 935K4−01 車両諸元
全長:4875mm
全幅:1996mm
全高:1180mm
ホイールベース:2560mm
トレッド(F/R):1550/1575mm
車両重量:1025kg
前後重量配分:39対61
エンジン形式:空冷水平対向6気筒SOHC12バルブツインターボ+空冷式ツインインタークーラ
ボア×ストローク:95×74.4mm
総排気量:3163cc
燃料供給装置:クーゲルフィッシャー機械式インジェクション
ターボチャージャー:KKK
最高出力:810ps/8000rpm
最大トルク:726Nm/6100rpm
トランスミッション:ポルシェG30型4速フルシンクロ
ステアリング機構:ラック&ピ二オン
サスペンション
F:マクファーソンストラット/コイルスプリング+アンチロールバー
R:トーションビーム/コイル+アンチロールバー
ブレーキ:クロスドリルドベンチレーテッドディスク
ホイールサイズ:F16インチ/R19インチ
ソース→【
http://www.classicandsportscar.com/classifieds/classic-cars/porsche/other-models/porsche-935-k4-coupe/3191569】
ソース→【
https://www.jamesedition.com/cars/porsche/935/1981-porsche-935-k4-for-sale-1136993】
参考資料:レーシングオン No.462
※2017年6月25日 加筆修正しました。
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