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2015年04月30日16:46

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2015/04/21(火)寄生獣@TOHOシネマズ錦糸町、其の一

完結編の上映を前に、復活上映があると言う事で、映画館で観て来ました。

もちろん、上映終了した作品を家で観る選択肢もあるのですが、映画館で観る良さが自分にはしっくり来るので、機会がある時は、出来る限り映画館で観ています。
そして、やはりそうして良かったと思える内容でした。


ここからネタバレです。










漫画を読んだばかりの自分でしたが、映画として成立させるための要素の再構築も、十分に納得できるもので、原作への愛情、情熱を感じました。
原作をものを映画化する場合は、そのまま全てを再現するのは非現実的だったり、かえって魅力を損なったりするのが常。
そうなると、どこを削ったり変えたりするかがキモになります。

その点で、登場人物が結構出なかったりしつつも、物語としての流れ、作品のテーマを保ったまま映画化されていると感じました。

母子家庭の設定になっているのも、ストレートに母子の関係性を描くためだと判るし、島田を弓矢形態のミギーで倒すのも、剣道部、弓道部を見学したのが伏線になっていて自然。
他にも色々な違いがありますが、全体的に筋が通り、伏線も行き届いた変更だと感じられるのが嬉しいです。


魅力的な登場人物や、続きが気になるエピソードが、次々と連なって進んでいく感覚も原作と同じ。

バトルとしては、島田との闘い、母親の身体を乗っ取ったAとの決着が山場。
そこでも、無理に甘いトーンで恋愛や感動で泣かせたりではなく、ギリギリの緊迫感と隣り合わせの中での感情表現なのが、とても好みでした。

また、表現として、直接的なエグい表現もストレートに描写されている点も、硬派な姿勢が伝わり、好印象でした。


CGとの融合の自然さも文句無し。
海外で映画化権が止まっていたのが、かえって日本でイメージ通りのものが生まれる良い結果になったと言えます。


個人的に、特に印象に残ったシーンが3つありました。

1つは、中華料理屋でのパラサイトとの闘い。
腕を切り落としたり、人を食べたりと言うシーンがストレートに描写されている事で、映画としてのスタンスを理解させられた、と言う思いがあります。


もう1つは、新一が自宅でパラサイトに乗っ取られた母親と対峙する前後の流れ。
我が身の危険を顧みずに火傷を追った事に象徴される母親の愛情と、そこに素直に頼ったり感謝を告げられなかった新一。

母親がパラサイト化している=人間としては死んでいる、と言う事を理屈では理解していながらも認めたくない。
その心情が、何とか生き延びた後の、呻く感情表現に表れていると感じました。

理不尽な現実を受け入れたくない、と言う思いは、怒りと混乱と悲しみの混じったような声そのもの。
だからこそ、悲しい事だと理解していても、心情的な受容の象徴である涙は素直に流せなくなってしまう、と言う事だと思います。
(ミギーと混じったからではなく、人としての心の防衛で、そうなっている)

そして、その理不尽な事実への怒りの部分への解決として、まず仇討ちを決意する、と言う流れになるのだと考えます。


最後は、島田に殺された学生の死体が並ぶ学校の廊下。

とても残酷でありながら、人が切断されて物のように並ぶシーンは、匂いのしない映画だからこそ、ある種の冷たい美意識を感じました。
黒サイドの乙一作品から受けるような、冷酷なシーンの雰囲気は、基本的に心情や無駄を排するパラサイトの姿勢の写し鏡なのだと思います。


…つづく。

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