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2015年04月07日22:39

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夢の小料理屋のはなし 30

雨の火曜日。
何か、桜も散っちゃって淋しくなるよねぇ。
おまけにちょっと肌寒い。
これじゃ、また熱燗が美味しくなっちゃうじゃないか。
けしからんな。
こんな日のあの小料理屋はさ、きっとジャズかなんか流れてて、女将さんが物憂げな顔で「今日も静かねぇ」なんて言いながら一緒に熱燗呑んじゃうパターンだと思うんだよ。
他愛も無い話をしながらさ、女将さんにうなじの辺りなんか見つつ、今日も良い夜だなー、なんて思って一日が終わる…みたいなね。
じゃあ、今宵もまったりと行きますかね。

カラカラカラ…

「アハハハハハハハ!」
ん?なんじゃ?
今日のBGMは思いっきりイギリス辺りのローカルFMラジオだ。
ミーちゃんと女将さんが大爆笑している。
「でね、私の友達はもっと凄くて、ジェームス・ディーンを呼ばせたらしいんですよ、イタコに。」
「駄目、もうお腹痛い。」
「ジェームス・ディーン、東北弁で喋ったらしいですよ、『てんごぐで、たのすぐやってますから、すんぱいすないでくださえ。』とか言ったんですよ、きっと。あんな悲しい人生の終わり方でたのすぐやってる訳無いっつーの。」
「ちょっと待って、もうミーちゃんの話面白過ぎて。」
腹を抱えて笑う女将さん。
軽く呼吸困難になるほど笑っている。
「あ、ちょ、お帰り。アハハハハ。」
どうだい、この意外な展開は。
よりによってイタコに外国人を呼ばせた人の話で盛り上がってるとは。
「だってさ、『こんぬづわ、マルルンモンローです』なんてイタコに言われたら、あなた笑いを堪える自信ある?アハハハハ。」
駄目だ、完全に笑いのツボを押されて泣きながら笑っている。
竹中直人か。
「てっきり雨の火曜日だから、静かなのかと思ってたんだけど。」
「お兄さん、残念でしたー。へへへ。」
笑いに笑っている女二人。

でもさ、女将さんと二人で過ごす静かな夜も良いけど、こういう感じで女の人達が楽しくしている雰囲気ってのは明るくて良いよね。
それだけで、元気を分けて貰える気になるもんな。

「はい、お疲れ様。小笹屋で良いわよね。」
そんな中、そっと出て来る絶妙な温度の熱燗。
あれ、あんだけ笑っててもちゃんと仕事してたのね。
女将さんらしいや。

予想と展開は違ってても、やっぱり僕はこのカウンターが好きだねえ。
さて、じゃあ僕もこれからミーちゃんの話で腹筋壊してみようかな、と。

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