あきる野市さんぽ「東秋留の鎌倉道・慈勝寺から松海道のエノキ」
◎『東秋留の鎌倉道』
鎌倉道とは、中世の頃、東国の武士達が自身の居館と武門の都鎌倉との往還に踏み固めた道筋です。主要な道筋には、「上ノ道」「中ノ道」「下ノ道」の３本がありましたが、その他にも多数の枝道や間道がありました。「東秋留の鎌倉道」もそんな支道のひとつであり、これには2筋の道筋があったといわれています。いずれも秩父方面からの鎌倉へ至る道ですが、一つは青梅市七日市場方面から多摩川を渡り、満地峠を越えて菅生に入ると菅瀬橋で平井川を渡り、瀬戸岡から雨間に入って観音坂を下り、東秋留橋下流の西光寺脇の渡し（雨間の渡し）で秋川を渡河し、八王子方面へ向かい相模に入って鎌倉へ至るというものです。もう一つは、羽村の川崎から羽村大橋下流付近(川崎の渡し)で多摩川を渡って草花の折立(折立八雲神社)に入り、草花丘陵の裾野(慈勝寺)に沿って多摩川崖下を進んで平井川(平高橋)を渡り、平沢(松海道のエノキまたは一本榎)、二宮(東秋留駅の西方)、野辺(日室塚)を経て、雨間東郷(西光寺脇)で先の鎌倉道と合流し、雨間の渡しを渡ったというものです。
http://homepage3.nifty.com/k_harada/kamakura_kusa/kamakura_kusa.htm
○「清流寺羽村別院」(草花1993)
青梅線小作駅から多摩川に架かる羽村大橋を渡ると、北西に「清流寺羽村別院」があります。本院は八王子市子安町の清流寺です。
http://www.honmon-butsuryushu.or.jp/temple_guide/kanto/tokyo/53011.html
○「比丘尼坂」(草花)
清流寺羽村別院の南、比丘尼平(草花2012)から下る坂が「比丘尼坂」です。昔、比丘尼が住んでいて、占いがよく当たると羽村から多摩川を渡り、「比丘尼坂」を登ってお参りにいったとか。現在も、堂守りの老婆が一人住んでいるようです。昔は非常な急坂でしたが、昭和8年に現在のように改修されました。次の『秋川昔話・比丘尼平』があります。
《鎌倉時代の初め、草花江里谷津の山奥に老尼（円寿院）が住んでいた。老尼は畠山重弘の娘で、下総国の千葉介常胤の夫人、畠山重忠の伯母だった。伯母の行方を探し出した重忠は伯母のために寺を建てた。この寺が慈勝寺で、老尼が初め住んでいたところを比丘尼平という。》
【江里坂】
比丘尼坂の坂上あたりから南から南西に上る都道250号を、「江里坂」といいます。以前は細く雑木林を通る淋しい坂でした。坂を下り「折立の渡し」（川崎の渡し、羽村大橋の下流）を渡り羽村へ出ました。江里坂下に薬師堂があり薬師如来が祀られています。
【折立坂】
草花1893から北西に下る坂が「折立坂」です。下ると正面に羽村大橋が見えます。昔は、坂下から折立の渡しで多摩川を渡った鎌倉街道の道筋です。今は途中で行き止まりなっています。馬頭観音があるといいますが見つかりません。かつて折立集落で使われていた四国井戸跡があります。
○「折立八雲神社」(草花1880)
江里坂から南に向かうと「折立八雲神社」があります。通称「天王様」と呼ばれ、折立地区の人々によって祀られた祠です。明治2年に草花神社に合祀されましたが、大正初期にふたたびもとの場所に祀られました。境内には、鬼源兵衛が持ち上げたという伝説の大石が伝わります。
http://blog.goo.ne.jp/daimatsuno/e/e96bc163099483a53666c630ad34edc0
○「花蔵院」(草花1740)
折立八雲神社から南に大澄山ハイキングコースを超えると、大澄山の西麓に「花蔵院」があります。弘長3年（1263）に創立されましたが、古くは花ノ岡の地にあり、園花山明王寺と称していました。
【山門】
正徳3年（1713）に造られた山門は、市の有形文化財に指定されています。
【湧水】
花蔵院に湧水があり、湧水は湧水池を成しています。
http://meisui.sakura.ne.jp/blog/index.php?e=396
○「草花神社」(草花1787)
花蔵院の南隣に「草花神社」があります。『秋川市史』によると創立年代は不詳で、元は十二天社と称し麓の集落に鎮座していたそうです。明治2年まで草花1476の平地に鎮座していましたが焼失し、明治7年に現在の地に再建されました。社号を十二天社から草花神社に改め、伊弉那岐尊、伊弉那美尊の二柱を祀りました。同時に、一村一社の命によって、周辺の集落（ 折立、高瀬、森山、西ヶ谷戸）の各鎮守を合祀しました。さらに、麓にあった社殿を現在の山腹に造営し、明治10年に村社に列せられました。その後、大正初期に入り各社分離の状態となって、折立、森山、高瀬の三地区は、元の場所に社を建て、現在は、草花、西ヶ谷戸の氏子によって、春秋の例祭がとり行われているそうです。
http://blog.goo.ne.jp/daimatsuno/e/8b48051b7a8362fc0c5b16446f17a51a
【まき坂】
草花神社の女坂は「まき坂」と呼ばれています。段丘を遠巻きに上るのでこの名にしたようですが。普通は女坂と呼びます。途中で男坂の石段へ出ます。
○「慈勝寺」(草花1811)
草花神社の東方に「慈勝寺」があります。文治4年（1188）畠山重弘の娘で畠山重忠の伯母にあたる円寿院のために創建されたと伝えられます。天正18年（1590）八王子城落城の際に伽藍は焼失しました。境内には都天然記念物のモッコクの巨木や市天然記念物のタブノキがあります。
【モッコクの巨木】
説明板に、「樹高21.5ｍ、幹回り2.4ｍで、これだけの高さのものはたいへん珍しい」とあり、都の天然記念物に指定されています。庭木として親しまれているモッコクですが、こんな巨木になるとはびっくりです。
【慈照寺のタブノキ】
お寺の裏に「慈照寺のタブノキ」があります。説明板には「ナンジャモンジャの木」ともあります。
http://rihaku.jugem.jp/?eid=217
【とよ(豊)坂】
慈勝寺の南にある「とよ(豊)坂」は、明治30年に河岸段丘がけずられて坂が作られました。深い所は３ｍも掘り下げられ坂が樋（とい）のような恰好になり「とい坂」といわれ、それが訛って「とよ（豊）」になったといいます。
○「花火資料館」(草花2510)
花蔵院の西にある「花火資料館」(株式会社ホソヤエンタープライズ)は、今は閉館され特別に依頼があれば開館するそうです。
http://www.hosoya-hanabi.co.jp/profile/index.html
○「陽向寺」(草花2542)
花火資料館の西に「陽向寺」があります。本尊は木造釈迦如来の坐像。応永3年（1396）の創立で、開山は玉仲建��禅師。初めは原小宮にありましたが、後に現在の地へ移転したといいます。慶安2年（1649）徳川家より寺領として高5石を賜っています。
http://loco.yahoo.co.jp/place/53354ea7508c52e924f10b4bcdc2c466ac3dfa93/
○「小宮神社」(草花2981)
陽向寺の南に「小宮神社」があます。一説に、承元元年（1207）社殿が建立されたと伝えられています。小宮明神と呼ばれ、武蔵七党の西党の小宮氏の氏神でした。その後、多摩郡小宮領八千石の総鎮守として小宮大明神と称し、小宮上野介憲明の祈祷所となり社殿を再建、寛正4年（1463）には梵鐘一口を奉納しています。この梵鐘は国認定重要美術工芸品です。
http://www.tokyo-jinjacho.or.jp/syoukai/24_nishitama/24113.html
http://members.jcom.home.ne.jp/nobish/1135komiya.html
【三匹獅子舞】
例祭日には一人立ち「三匹獅子舞」が奉納されます。
http://homepage3.nifty.com/tamanokyodogeino/nishitama/akiruno/komiyajinja/komiyajinja.htm
【長泉寺坂】
小宮神社の西側、草花の御堂会館前から北に上る坂は「長泉寺坂」と呼ばれています。坂上は多西小学校です。
○「大行寺」(草花3036)
小宮神社の南東に「大行寺」があります。建永2年（1207）隆豊上人によって開創されました。本尊は不動明王。開山当時、鎌倉武士で源頼朝から厚い信頼を受けた平山左衛門尉季重の祈願所でした。平山季重は、平安後期から鎌倉時代初期にかけて日野の平山を中心にして活躍した豪族で、「平家物語」の一ノ谷合戦の場面で熊谷直実などと共に登場する武将です。その後寛正年間（1460〜65年）には、小宮上野介憲明の祈願所になっていたと伝えられています。小宮憲明は国時代上杉氏の庶流で、武州一揆の主要構成員であり、またあきる野市西戸倉城山にあった戸倉城を築城したことで知られます。
http://teratabi.jp/jisya/jisya_info.php?key_id=031313228000055019881&sub_key=000001
○「代田坂」(原小宮)
大行寺の南の南北道路を下ると、平井川に架かる代田橋の南側から草花公園の南側を南東に上る坂は「代田坂」と呼ばれています。昔は大変急な坂道で、昭和8年に改修工事により現在のようになりました。坂下近くの小祠内にお地蔵さんがあります。
【原小宮の地名】
原小宮の地名は、平井川対岸の草花に鎮座する小宮神社の前方の平坦な地であることに由来するそうです。これは、平井川南の広く平らな一帯を「原の方の小宮」といっていたものが「原小宮」となったもので、もともとは小宮集落と一帯をなしていたものであろうと考えられています。
【草花公園】(原小宮353)
代田坂の北側、平井川の河畔に「草花公園」という公園があります。市民球場やプールが設置された公園ですが、小さいながらも広場があり、平井川の河畔という立地で散策も楽しめます。
http://www.city.akiruno.tokyo.jp/contents_detail.php?frmId=1488
○「桜株ととうがらし地蔵」(原小宮101)
代田坂の坂上に「桜株、小宮神社遥拝所跡の仮社殿、とうがらし地蔵」があります。桜株の傍らに「小宮神社一神門」の石碑があり、平井川を隔てて鎮座する小宮神社を遥拝する一番目の門として、江戸時代後期に安置されたものと考えられています。現在の桜は二代目ですが、初代の桜が枯れる前は桜の下によくお化けが出たといいます。とうがらし地蔵は、歯痛や腫れ物ができた時にとうがらしをあげると霊験があるといいます。もとは代田坂にありましたが、昭和8年の道路改修工事のためここに祀られるようになったそうです。桜株について、次の「秋川今昔物語」があります。
《昔、山桜の実をくわえた鳥が原小宮の上を飛んでいました。平井川近くに来るとその実を落としました。実が落ちた所は、小宮神社の遥拝所で、小宮大明神と彫った二尺ばかりの石碑が建っている近くでした。桜の実は芽をふきました。何年かたつと、地面から少し離れた所から生えた枝を四方へ伸ばすという、不思議な形をした桜の木になり、春になるときれいな花をいっぱいつけました。桜の木は年ごとに大きくなり、近くの小宮大明神と彫られた石碑を枝が取り囲むようになりました。それからも桜の木は育ち続け、碑は太い枝に抱き込まれ上の方をわずかに見せるだけになりました。その姿は、前を通る人の目を奪い、いつの間にか「原小宮の桜株」と言われるようになりました。》
http://blogs.yahoo.co.jp/nobikit/59260551.html
【かじ(鍛冶)坂】
代田坂の坂上から北東に平井川に架かる南小宮橋に下る坂は「かじ(鍛冶)坂」と呼ばれています。昔、坂の降り口に鍛冶屋が住んで農具などを作っていました。
○「平沢八幡神社」(平沢449)
代田坂の東方に「平沢八幡神社」があります。旧平沢村の鎮守として、鎌倉街道沿いに古くから鎮座しています。もとは平沢西寄りにありました太梅院が管理していましたが、その後、広済寺に遷って続けられてきました。明治元年の神仏分離令によって廃され、最寄りの神官において兼務されてきました。戦国時代、北条氏照が滝山城主となると、城の戌亥の方角に二宮神社・小宮神社と当社が一直線に並ぶため、滝山城の守護三社として特に信仰されました。
http://www.youtube.com/watch?v=2XLiVIUgbOY
http://blog.goo.ne.jp/daimatsuno/e/48207593ba84001411e3cde6082bdc49
【大六天坂】
平沢八幡神社の前から北東に下る坂は「大六天坂」と呼ばれています。坂下は平井川に架かる新開橋です。秋川病院の南に大六天の祠があり(平沢八幡神社のことか)、この名が付きました。
【クラブの坂（太梅院の坂）】
平沢八幡神社の南、平川南通りから東に下る鎌倉街道は「クラブの坂」（太梅院の坂）と呼ばれています。大正の末頃、太梅院の跡にできた平沢会館を「クラブ」と呼びました。それ以前は「太梅院の坂」と呼ばれていました。
【九曲坂跡】
平沢八幡神社の南東に「九曲（くまん）坂跡」があります。下の耕地へ下りる小さな坂で、曲がりがひどいのでこう呼んだようです。今は正面で行き止まりになっています。
○「八幡神社」(草花792)
平沢八幡神社から北に向かい、平井川に架かる新開橋を渡ると東方に「八幡神社」があります。高瀬地区の鎮守。明治2年に草花神社に合社されましたが、大正初年に再び分離しました。九月最終日曜日には例祭が行なわれ、「森山ばやし」が奉納されます。
http://komainumeguri.blog.fc2.com/blog-entry-798.html
○「松海道のエノキ(一本榎)」(平沢)
八幡神社から東に向かい平井川に架かる平高橋を渡り、南に向かうと鎌倉街道沿いに「無名の古墳」があり、墳丘上には秋川市の保存樹木である「松海道のエノキ」(一本榎)があります。また、墳丘上には小さな祠が祀られています
http://www.city.akiruno.tokyo.jp/contents_detail.php?frmId=1484
【無名の古墳】
この古墳には、古くから金の延べ棒が埋まっているという言い伝えがあったそうです。ただし、この延べ棒は「塚の東側に埋まっている」と伝えられているだけで、他には何もわからなかったのだそうです。やがてこの言い伝えも忘れさられた頃、道普請で塚を削ることになりました。人々の間では再び延べ棒の話題が持ち上がり、まるで宝探しでもするかのように塚を掘り崩したのだそうです。そして掘り始めてからしばらくして、誰かが墳丘の裾から壷を掘り出しました。人々の注目が集まる中、壷のふたを開けてみるとそこには金の延べ棒ではなく、一振りの刀が入っていました。その後、掘っても良いとされている場所を掘り進めましたが、ついに延べ棒は出てこなかったのだそうです。今でも、残されたどこかに金の延べ棒が埋められているのではないかといわれています
http://gogohiderin.blog.fc2.com/blog-entry-153.html
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