あきる野市さんぽ「南秋留・栃淵峠(古甲州街道)から切欠坂」
○「油平八幡社」(油平255)
五日市線秋川駅から滝山街道を南に向かうと、睦橋通り沿いに「油平八幡社」があります。創立年代は不詳ですが、『新編武蔵風土記稿』には「社頭に古棟札あり、裏に年号を録して慶□十三年とあり、慶下の一字剥落して見えず、恐らく慶長ならんか」とあります。旧八幡宮と称し、明治2年八幡社と改めました。
http://blog.goo.ne.jp/daimatsuno/e/8dd74b0ebca0c8ae1c7b71543b93e5b4
○「福徳寺」(油平246)
油平八幡社の南、滝山街道沿いに「福徳寺」があります。本尊は十一面観世音菩薩。古くは延命山福泉寺と称し、南北朝時代の貞治5年（1366）の創建で、開山は僧延福です。創建当時は油平西1丁目の旧太刀塚にありましたが、永正2年（1505）に現在地に移転しました。創建当時、足利氏の家臣がこの地で戦って負け、退陣の際に戦死者や武具などを埋めたとの伝説があり、明治8年に畑となった跡地を耕作中に矢の根数十本が掘り出されました。明治43年に、油平村の福泉寺と牛沼村の徳重院とが秋川の水難に遭ったあとで合寺し、双方の山号と院号とを一字ずつとって福徳寺としました。市指定文化財の山門があります。
【山門】
この門は、徳重院にあったものを昭和5年に移築したものです。構造は、本柱の前後に2本ずつ計4本の控柱を持つことから四脚門と呼ばれ、切妻造りです。移築の際に旧状を一部損ねてはいますが、旧材も使用されています。建築年代は18世紀初頭(江戸時代中期)と思われ、江戸時代中期の禅宗様式を伝える地方色豊かな門です。
【鬼子母神】
福徳寺の鬼子母神は、山門を入ってすぐ右手にあります。丸彫坐像で、その母の左手懐中に乳飲み子を抱き、右手は吉祥果を掌にします。鬼子母神は、もともと幼児を捕らえて食う悪鬼女でしたが、後に我が一子を奪われ、改心して児女を庇護する善神となります。その容像は天女形ですが、時に鬼神形を示す場合も見られます。前者にあっては諸児を抱き従えるのを常とします。
http://marunisasarindou.cocolog-nifty.com/blog/2011/05/post-e0ad.html
○「中村酒造」(牛沼63)
福徳寺の南隣に「中村酒造」があります。門前に「酒林」があり、説明板に説明があります。
【中村酒造資料館】
創業は文化元年（1804）、200年の伝統を誇る中村酒造に代々伝えられた酒造道具の数々を展示しています。資料館の建物は、明治17年建築の酒蔵を改造したものです。
http://www.chiyotsuru.jp/
○「金松寺」(下代継340)
圏央道の西側に「金松寺」があります。弘安元年（1361）足利基氏の草創という臨済宗建長寺派の寺です。
http://mikiomonya.jugem.jp/?eid=73
【くまの坂】
金松寺の墓地の東側から牛沼に抜ける坂を「くまの坂」と呼びます。「くま坂」とも呼ばれ、熊野権現の祠があるというのですが見当たりませんでした。
○「秋川神明社(秋川神社)」(牛沼88)
圏央道あきる野インターチェンジの北側、滝山街道沿いに「秋川神明社」(秋川神社)があります。もと日吉山王大権現と称し、神明神社と合祀して秋川神明社と改めました。公称「秋川神社」、俗社号は「みょうじんさま」といいます。伝えによれば、永禄年代末（1569年）一面の唐銅円鏡を鋳造しご神体にしたといわれます。秋川満水の際、引田の山王様のご神体が2度もここに流れついたので、人々は山王様はここが気に入っているらしいと考え、山王様を祀るようになったといいます。江戸時代は雨武主明神社と呼ばれていました。弘化3年（1846）の「社殿普請仕用帳」によると、386代目飛騨匠の後藤三次郎らによって、総檜造りにて四面に精巧な彫刻を施した社殿を造営しました。
【秋川神社のスギ】
神社正面に御神木のスギがあります。厚くうねった樹皮と、むき出しに伸びた太い根っこが特徴です。次の説明があります。
《スギはスギ科の常緑針葉樹です。このスギは樹高が20m、地面から1.2mの高さで幹周りが約4.3mあり、地表に伸びた根張りは特に見事です。神社の御神木として、今も大切に保護されています。》
【秋川神社に伝わる弓術・棒術の懸額】
秋川地区では、他の多摩地区同様幕末には武術が盛んになりました。市内にはいくつもの武道場が残っています。秋川神社にも、天然理心流・松崎和多五郎の奉納額が伝わります。
【山王様坂】
秋留橋から北に秋川神明社に沿って北東に上る滝山街道は「山王様坂」と呼ばれています。
http://blog.goo.ne.jp/daimatsuno/e/f4430108ef812573cd245d7194002271
○「栃淵峠(古甲州街道)」(牛沼)
秋留橋を渡り滝山街道の小松平信号の先、右手の資材置き場に折り返すようにして入る「古甲州街道」を行くと「栃淵峠」があります。栃淵峠は古甲州街道の要衝とされ、陣場街道の和田峠と並び重視されていたともいいます。現在では人の手が加えられ林道のようになっており、あまり古道の雰囲気はありませんがちょっと散策するには絶好の峠道です。路面状態は以外とよく勾配も緩くのんびりと歩けます。峠は山をきれいに二つに割っていて、気持ちのいい峠道です。八王子側に下り始めると直ぐ民家になります。下ってから直ぐの住吉神社の脇に石碑群があり、古くからの峠路の証といえます。
【古甲州街道】
古甲州街道は、武蔵府中（武蔵国府）を起点とし、多摩川を渡り日野を経て谷地川沿いに進んで、石川→左入→梅坪→丹木→留所→宮下と、概ね旧滝山街道秋川丘陵の南側沿いを通り、戸吹から【栃淵峠】を越えた後、秋川を渡り五日市を経て檜原から浅間尾根ルートを稜線沿いに進み、小菅村で山梨県に入り大菩薩峠を越え塩山から甲府に至る道でした。
http://minkara.carview.co.jp/userid/486530/spot/611391/
http://members3.jcom.home.ne.jp/toono/pass/tochi.htm
○「雨武主神社」(雨間1941)
栃淵峠から戻り東に向かうと、いきいきセンターの先、明神山から北に少し下がったところに「雨武主(あまむし)神社」があります。拝殿までは200段の急な石段が続き、周辺の杜にはこの辺りでは珍しいツガが自生しています。江戸時代は雨武主明神社と呼ばれていました。俗社号は「みょうじんさま」といいます。弘化3年（1846）の『社殿普請仕用帳』によると、386代目飛騨匠の後藤三次郎らによって、総檜造りにて四面に精巧な彫刻を施した社殿を造営しました。
http://risshi.life.coocan.jp/cubkh28.html
○「切欠坂(切懸通道)」(雨間)
雨武主神社から東に向かうと、七曲峠へと右に大きくカーブするところに「切欠坂」(きっかけざか)の標柱があり、コンクリートの階段を上ると切欠坂になります。あきる野市雨間方面から八王子市戸吹へは、今でこそ七曲峠を越える快適な道路ですが、以前は「切懸通道」（切欠坂）と呼ばれたもう少し東側のルートでした。『八王子市史』によると、「長さ800間（約1.4km)、平均幅員２間 加住村戸吹にて栃淵通八王子道（現国道411号、滝山街道）より分岐し、同所にて西多摩郡東秋留村雨間に至る」とあります。藪っぽい道に入ると、切欠坂の市境の部分に明治時代の郡界標があります。また、下戸吹交差点から少し入った旧道の傍らに古い道標があり、切欠峠の説明板があります。先ほどの階段の上にも同じ説明板があり、切欠峠のことが書かれています。これによると、「大正年間に七曲峠を越える車道ができ徐々に廃れていった。昭和46年までは切欠地区の方が年２回道普請を行い維持されてきたが、秋多町（現あきる野市）編入に伴い廃道となった」といいます。階段を上がって説明板の先のところに、文化３年（1806）の「山の神の碑」があります。平成15年に七曲峠が大幅に改修されていますが、その際にこうして旧道への入り口もきちんと残してくれているのはありがたいものです。
http://starling.jp/bike/tour/071208/071208.htm
http://blogs.yahoo.co.jp/go_go_wheels/44669508.html
○「東秋留橋」(雨間)
秋川は下流に3�匸�しで多摩川と合流します。平成20年に東側に新しい橋を一本増やし、それまでの東秋留橋は自転車と歩行者だけが通れるようになりました。昭和13年に橋が架けられるまでは、ここに渡し舟がありました。次の秋川の昔話「ごほう坂（待合坂）」があります。
《明治の初め、雨間のとばく場に飯能から「ごほう」という親分がやって来ていかさまばくちなどで村人を苦しめた。雨間村の甚八という男がごほうの卑怯なやり方に我慢ができず、ごほうに渡船場で酒を飲ませ坂下で待ち伏せて刃物でごほうを刺した。ごほうは地蔵院に逃げ込んだが命は助からなかった。甚八は服役し、模範囚で2年早く出所して畑などを耕し静かに暮らしていたが、いつしか村人の相談相手にもなり慕われるようになった。甚八を慕って13年も待ち続けた娘もいたが、甚八は「俺のような前科者にはもったいない」といって、一緒にはならなかったという。》
http://www.city.akiruno.tokyo.jp/contents_detail.php?frmId=1475
http://www.tjh.jp/bridge_story/river/detail.php?rid=112000000&no=2&bk=1
○「西光寺」(雨間1076)
東秋留橋の北詰に「西光寺」があります。文明2年（1470）順興法師を開基とし、亮千によって創建されました。慶長18年（1613）火災により焼失、寛永13年（1636）に再建されました。
【観音堂】
観音堂には、聖観世音菩薩とともに養蚕の神様といわれる馬鳴菩薩も安置されています。
http://www.tendaitokyo.jp/jiinmei/8saikoji/
【観音坂】
西光寺の前から西方向、南秋留ふれあいの道に上る坂は「観音坂」と呼ばれています。坂名は西光寺観音堂によります。
○「丸山家長屋門」(雨間1031)
西光寺の西方、南秋留ふれあいの道を西に行くと鳥居場会館の北に「丸山家長屋門」があります。丸山家は江戸時代の初め頃から雨間村の地主で、八王子千人同心の組頭も勤めてきました。
○「雨武主神社の鳥居場」(雨間980)
丸山家長屋門の西方、南秋留小学校の東の崖上に「雨武主神社の鳥居場」があります。対岸の南方、秋川南岸の雨間村の氏神「雨武主神社」への参拝は大変なので、天保3年（1832）にここに一の鳥居を立てて、遠く離れた神社を遥拝できるようにしました。鳥居場からは、秋川の先に雨武主神社のある明神山がよく見えます。また、鳥居場の左側の道脇に石碑がありますが字が読めませんでした。
http://risshi.life.coocan.jp/cubkh28.html
○「上田坂の庚申塔」(雨間810)
南秋留小学校の北側から南方向に下る坂は、「上田（かみた）坂」と呼ばれています。上田（神田）へ下る坂でこう呼ばれました。上田坂の坂上の鎌倉街道沿いに、宝暦4年（1754）銘の「庚申塔」があります。
○「西秋留石器時代住居跡」(牛沼265)
庚申塔のある道に入り、南秋留小学校を左下に見ながら崖上を左に大きく回り込んでいくと、縄文時代中期の住居跡群「西秋留石器時代住居跡」があります。崖下に秋川を望む秋川左岸の河岸段丘上にあり、昭和７年東京府によって発掘調査が実施され、当時まだ事例の少なかった縄文時代中期（約4,000年前）の敷石住居跡などが5軒も発見され、一躍注目されました。フェンス内の地面に並んでいる石が、敷石住居跡のようです。
http://www.portaltokyo.com/guide_tama/contents/c47017sekki.htm
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