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2013年03月24日00:00

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ドイツ第三帝國兵器シリーズ28 Ju86

 Ju86はユンカース社が製造した、排気タービン過給器付ディーゼルエンジン搭載の単葉双発機で、爆撃機タイプと民間旅客機用タイプがあります
 1933年4月にヘルマン=ゲーリング陸軍大尉(SA大将)を大臣として発足したドイツ航空省は、ヴェルサイユ条約の規制のため戦闘機などの開発を民間機の名目で行っていましたが、1934年初頭にハインケル社とユンカース社に対して新型爆撃機開発が命じました。この指示によりハインケル社が開発したのがHe111で、ユンカース社が開発したのがJu86です。He111が楕円翼なのに対し、Ju86はJu52《http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1794972989&owner_id=250900》の系譜を引く強いテーパー翼で、同社の急降下爆撃機Ju87も同様翼型をしています。
 開発条件には、爆撃機用と旅客機仕様の機体を同時に開発し、迅速に飛行テストさせるという項目も付加されていたため、ユンカース社では、1934年11月にジーメンスウントハルスケ社の空冷星型9気筒SAM9エンジン搭載の爆撃機型試作原型第1号機Ju86ab1を、1935年1月には同じエンジンを搭載した民間輸送機型試作原型2号機Ju86ba1を初飛行させました。
 その後、ユンカース社は、より高性能な水冷上下対向直列6気筒12ピストンディーゼルエンジンであるユモ205Cの開発に成功したため、Ju86ba1のエンジンを転換した民間輸送機型試作原型3号機Ju86cbを製作、良好なテスト飛行成績が得られ、Ju86は航空機用ディーゼルエンジンの歴史に残る機体となったのです。
 一方、方向安定性や操縦性に関してはテスト飛行の結果が思わしく無く、操縦性については、主翼のテーパー角を変化させる事により対処されました。その後のテストの結果、同時に製作されたHe111と比べると速度性能は劣ったものの、軍用型・民間型とも量産される事が決定されました。
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 Ju86には以下のようなヴァージョンがあります。
★Ju86A
 最初の軍用型は、増加試作あるいは先行量産とも言えるJu86A-0で、7機が生産されました。二基のユモ205C-4ディーゼルエンジンを装備し、1000kgの爆弾が搭載可能でした。防御火器としては、3挺の7.92mmMG15機関銃を装備していました。
 本格的な量産型はJu86A-1になります。
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★Ju86B
 民間旅客機向け機体で、10人の旅客を載せる事が可能でした。増加試作型のJu86B-0のみが少数生産され、民間航空会社に納入されました。
★Ju86C
 初の民間旅客機向け量産機で、Ju86B-0を改良したストレッチ(長胴)型・ユモ205Cエンジン搭載のJu86C-1のみが生産されました。ルフトハンザ航空へ納入されましたが、大戦中、軍用輸送機として用いられたケースもあったようです。
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★Ju86D
 爆撃機型量産機。A-1型の縦安定性に難があったため、胴体尾部を延長して燃料タンクを設けた改良型としてJu86D-1のみが生産されました。当然A-1型よりも搭載燃料が増加しています。
 コンドル軍団に配備されてスペイン内戦に投入されましたが、ディーゼルエンジンの整備に手間がかかった上に機体構造が脆弱である事が判明し、同時に投入されたHe111に対して明らかに性能が劣ると評価され、生産は打ち切られてしまいました。A-1型とJu86D-1型を併せて476機が生産されました。
 要目は以下の通りです。
・全長 17.87m
・全高 5.06m
・全幅 22.50m
・翼面積 82.00
・自重 5150kg
・最大重量 8200kg
・最高速度 高度3000mで325km/h
・巡航速度 200km/h台後半
・上昇限度 5900m
・航続距離 1500km
・発動機 ユンカース「ユモ」205C-4水冷直列6気筒ディーゼル 600馬力×2基
・乗員数 4名
・武装 7.92mm機銃×3
・爆弾最大搭載量 800kg(100kg爆弾×8or50kg爆弾×16)
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★Ju86E
 Ju86D-1型の機体を見直し、エンジンを信頼性の高い空冷星型9気筒のBMW132エンジンに変更した爆撃機型。BMW132Fエンジン(810hp)搭載のJu86E-1型と、BMW132Nエンジン(860hp)搭載の出力強化タイプであるJu86E-2があります。
 1937〜38年に生産され、両タイプの合計総生産数は450〜520機程度と推定されます。
 1939年のポーランド戦までは爆撃機として使用されましたが、その後は第一線を退き、訓練・輸送・対ゲリラ用攻撃機として運用されました。
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★Ju86G
 1938年4月、離着陸時や地上での視界を改善するため、E-2型の機首を丸くスムースな形状に改めた爆撃機型Ju86G-1の生産が開始されましたが、同年6月、Ju86のドイツ空軍向け通常型爆撃機タイプの生産は打ち切られました。
 Ju86G-1の要目は以下の通りです。
・全長 17.50m
・全高 5.10m
・全幅 22.50m
・翼面積 82.00
・自重 5200kg
・最大重量 8230kg
・最高速度 378km/h
・巡航速度 300km/h前後
・上昇限度 7700m
・航続距離 1400km
・発動機 BMW132N空冷星形9気筒 860馬力×2基
・乗員数 4名
・武装 7.92mm機銃×3
・爆弾最大搭載量 1000kg(250kg爆弾×4or100kg爆弾×8or50kg爆弾×16)
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★Ju86K
 輸出用民間機型で、以下のタイプがあります。
・Ju86K-1:R-1690(750hp)エンジン搭載の南アフリカ連邦、及びスウェーデン王国向けの輸出機体です。南アフリカ空軍のJu86Kは輸送や沿岸哨戒に当たった外、1940年にイタリア領東アフリカ帝國でイタリア軍と交戦しています。
・Ju86K-2:ハンガリー王国でのライセンス生産機で、ミストラル・メジャーエンジン搭載です。
・Ju86K-4:スウェーデン王国向け輸出機で、ペガサスVI(730hp)エンジンを搭載していました。スウェーデン軍ではB-3Aと呼ばれました。
・Ju86K-5:スウェーデン王国向け輸出機で、ペガサスXII(870hp)エンジンを搭載していました。スウェーデン軍ではB-3Bと呼ばれました。
・Ju86K-13:スウェーデン王国でのライセンス生産機で、SAAB社にて製作されました。マーキュリーXXIV(965hp)エンジン搭載のB-3Cと、マーキュリーXIX(890hp)エンジン搭載のB-3Dがありました。両タイプ合わせて16機以上がライセンス生産され、1956年まで運用されていました。
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★Ju86P
 ユンカース社では1940年にG型を改造して、長大な主翼と与圧操縦席を備え、乗員を2名とした高々度用のP型を試作しました。エンジンは空冷星型9気筒エンジンから、水冷上下対向直列6気筒12ピストンのユモ207Aディーゼルエンジンに換装されましたが、このエンジンは、排気タービン過給器とインタークーラーを装備し、出力は880馬力まで高められていました。
 P型は、当時の連合国軍戦闘機が飛行出来なかった高度12000m以上での作戦行動が可能で、40機のG型が高々度爆撃用のP-1型、及び高々度写真偵察用のP-2型に改造されました。
 P型は、主翼スパンが15.6mに拡大され、銃座も廃止されています。
 P型は1940年夏から部隊配備され、バトル=オヴ=ブリテン・東部戦線・北アフリカ戦線で成功を収める事が出来ました。これに対抗し、英国のウェストランド・ウェルキンや、ソ連のヤコブレフYak-9PDといった高々度迎撃戦闘機も登場して来ましたが、二年間の間、P型は常に逃げ切っていました。
 しかし遂に1942年8月、エジプトでスピットファイアVの高々度改造型によってP型は初めて撃墜されてしまい、さらに2機が失われた事から、1943年にはP型の運用は取り止められました。
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★Ju86R
 ドイツ航空省がP型に変わる高々度仕様Ju86の開発を進めた結果、作られたタイプです。主翼幅をさらに拡大して32.0mとする事で翼面積を増し、エンジンを950馬力に強化して、13000mの高度を飛行可能にしましたが、試作のみに終わりました。
 以下のヴァージョンがあります。
・Ju86R-1:高々度偵察機型です。
・Ju86R-2:高々度爆撃機型です。
・Ju86R-3:過給器付きユモ208エンジンを搭載した高々度性能向上型です。

 Ju86R-1の要目は以下の通りです。
・全長 16.50m
・全高 4.10m
・全幅 32.00m
・翼面積 97.60
・自重 6750kg
・最大重量 11540kg
・最高速度 高度9150mで420km/h
・巡航速度 250km/h前後
・上昇限度 13000m
・航続距離 1577km
・発動機 ユンカース「ユモ」207B-3水冷直列6気筒ディーゼル 950馬力×2基
・乗員数 2名
・武装 無し
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★Ju86Z
 輸出仕様民間機型で、Ju86Cとはエンジン等が異なります。
 スイス航空・満洲航空・南アフリカ航空・ロイドボリビアーノ航空(ボリビア)・チリ国営航空・ABA(スウェーデン)・TAPポルトガル航空等で使用されましたが、第二次世界大戦中には各国軍に徴用された機体も多かったようです。
 満洲航空所属のJu86Zです。
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 Ju86各種ヴァージョンの総生産機数はドイツ製の物に限ると822機でした。
また、Ju86をベースとした高々度爆撃機として四発機のJu186と六発機のJu286を開発する計画がありましたが、実現しませんでした。
 2008年のアメリカ映画“Defiance”に、パルチザン討伐に従事するJu86Eがチラっと出て来ます。

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