術後に見たいくつかの鮮やかな夢

『私はエルヴィス・コステロにインタビューすることになっている。彼が指定してきた取材場所は湾岸沿いの殺風景なエリア、倉庫群のひとつで開催されているポップアート展の会場だという。彼のすがたを見つけると横には野宮真貴がいた。インタビュー開始。ところが私が何を訊こうとしても横から野宮真貴が邪魔してきてその答えを先取りしてしまう…。

ところが主人公はエルヴィス・コステロでも野宮真貴でもなく、そこで催されていたポップ・アート展。LEGOが使うようなケバい原色を随所にちりばめた美術作品がいくつか展示されていて、しかも会場を訪れている不思議ちゃん系の女の子たちが皆そろってベレー帽やらバッグやら、とにかく彼女たちは身体のどこかにその目が痛くなるような原色をあしらっていた…』

術後しばらく見た夢はとにかく色彩豊かな、スケールの大きい、そしてそれらは短編中心のものばかり、今までに見たことのないものばかりでした。上に書いた夢の他にも、スター・ウォーズやエイリアンに出てきそうな広大なる宇宙空間に連なる基地の全貌とか、中国の奥地を思わせる雄大な山河だとか、とにかく奥行きがありかつ色彩も鮮やかなのでした。

ひょっとしてあれらは三途の川への一里塚だったのではといまでも本気で思っています。それが証拠に身体が回復すると、つまり術後3〜4日後以降はこの手の夢をさっぱり見なくなり、以前からひんぱんに見ていた内容のものばかりになってしまいました。ちょっぴり残念だけど、かといってその鮮やかな夢が再び見れるような状況になりたいとはけっして思いません。